「求人メディア」の情報 雇用対策に活用を 厚労省の研究会

厚生労働省の研究会はWEBサイトなどで企業の求人情報を提供する「求人メディア」から情報を集める仕組みを整備し国として労働市場の実態を把握し雇用対策に生かすべきだとする報告書をまとめることになりました。

雇用を仲介する人材サービスは厚生労働省の許可を受け雇用契約の成立をあっせんする「職業紹介業」と「ハローワーク」、それにWEBサイトやSNSで企業の求人情報を提供する「求人メディア」があります。

厚生労働省が去年12月に行った実態調査で仕事を探した人に採用につながったサービスを聞いたところ「ハローワーク」は12%で「求人メディア」は37.6%に上りました。

一方で、現在の法律では「求人メディア」は国の許可や届け出が必要ない一方で提供される求人情報は急増しルール作りを進めるべきだという指摘が出ています。

このため厚生労働省はことし1月有識者でつくる研究会を設置し議論を続けてきましたが、13日開かれる会合で報告書をまとめることになりました。

それによりますと「求人メディア」から企業の求人数などの情報を集める仕組みを国として整備すべきだとしています。

ハローワークの情報による有効求人倍率などの統計はありますが、労働市場の実態をより把握し雇用対策に生かすべきだと指摘しています。

また、厚生労働省によりますと「求人メディア」が提供する求人情報に記載された賃金や労働時間などが実際の条件と異なるとしてトラブルも起きています。

こうしたことから報告書では求人情報は正確かつ最新のものを掲載することやトラブルについて苦情を受け付ける体制の整備、それに個人情報の使用などで不利な取り扱いがないようにして安心して仕事を探すことができる環境をつくるよう求めています。

厚生労働省はこの報告書をもとにことしの秋から労使の代表などでつくる審議会での議論を始め来年度の通常国会に職業安定法の改正案を提出したい考えです。

スマホアプリで求人情報を提供

東京・港区の採用サービス会社「ウォンテッドリー」はインターネットのサイトやスマートフォンのアプリで求人情報を提供する求人メディアです。

会社は2010年に設立され、10年余りで個人のユーザー数はおよそ300万人、登録する企業数は4万社に増加していて、転職を希望する20代や30代の利用が多いということです。

この会社が運営するサイトではIT業界などを中心に8万件を超える求人情報があります。

利用する人は地域や職種、採用形態などを検索して求人情報を掲載する企業に面談を申し込むことができます。

この会社では、本格的な選考の前に企業の担当者と話すことができる機能を導入しているほか、求人を出した企業の担当者などに将来のビジョンや社会への思い、それに企業の理念を詳しく記述してもらうなど工夫しているということです。

また掲載される求人情報に不適切なものがないかチェックも重視しています。

会社では専門のスタッフを置いて、求人情報が掲載される前に違法な内容が含まれていないか毎日チェックしているほか『記載された情報と実際の条件で違いがある』など利用者からの苦情を受け付ける窓口を設けているということです。

仲暁子代表は「規模が小さく名前が知られていなくても価値観があう会社はたくさんあるのでそういった出会いの機会を提供したいとこれまで事業を続けてきた。雇用の流動化は今後進みこれまでは会社が個人の適性に合ったキャリアや次のステップを設計してくれていたがそうではない時代になっていくと思う」と話しています。

「求人メディア」掲載の件数 3倍近くに急増

転職や就職を仲介する人材サービスは、これまでは専門的なスキルを持つ人を中心に求職者と求人者の間の雇用をあっせんする「職業紹介」や、国のハローワークの利用が一般的でした。

その一方で、インターネットの普及などで仕事を求める人に求人情報を提供する「求人メディア」と呼ばれるサービスが広がり、利用する企業や求人数が増加しました。

「求人メディア」の中には、最近では企業のサイトなどから求人情報を集めてネット上で掲載する「アグリゲーター」と呼ばれるまとめサイトや、SNSを使って働く人と企業をつないで求人情報をやりとりする「ソーシャルリクルーティング」、それに求職者の職歴などの情報をデータベース化し企業に提供する「人材データベース」などの新たなサービスが出ています。

厚生労働省によりますと、2018年度にこうした「求人メディア」に掲載された求人件数は1477万件で、2009年度の513万件から3倍近くに急増しています。

厚生労働省が去年12月に行った実態調査では求職活動を行った人に採用につながったサービスを聞いたところ、「ハローワーク」が12%にとどまった一方、「求人メディア」が37.6%に上っています。

求人情報提供 国の許可や届け出必要なし

求人メディアは求人情報を提供するのが主な業務であるため、現在の法律では国から許可を受けたり届け出をしたりする必要はありません。

厚生労働省によりますと、このサービスを行う企業が新たに出て正確な数やサービスの実態がわからないのが現状で、掲載された賃金や労働時間などの求人情報が実際の条件とは異なるというトラブルも出ています。

東京労働局によりますと、「就労場所が実際とは明らかに違う」とか「募集がすでに終了して時間がたっている求人が掲載されていて人寄せの架空求人だ」などの相談が寄せられていて、昨年度(令和2年度)求人を出した40の事業所に行政指導を行ったということです。

厚生労働省は、こうした例は把握できただけの一例でトラブルの数の全体像はつかめていないとしています。

また、求人メディアの間では個人情報の管理や扱い方が問題となるケースも出ているということです。

業界団体が独自の基準

全国67社の「求人メディア」でつくる「全国求人情報協会」では、求人情報を掲載する際の独自の基準を設けています。

具体的には加盟する「求人メディア」に対し、賃金や労働時間などの内容が正確であるか確認をとって掲載することや、受け付けた企業についてこれまでに苦情が寄せられたことがなかったかを確認すること、それに新たに求人情報の掲載を申し込んだ企業について実際に訪問するなどして事業の内容をたしかめることなどを求めています。

また、加盟する企業に対し求人情報についての問い合わせや苦情を受け付ける窓口をきちんと設置するよう働きかけたり、トラブルとなったケースを求人メディアの間で共有し未然に防ぐための研修を行ったりしているということです。