政治

ことしの防衛白書 台湾情勢を緊張感を持って注視する必要

ことしの防衛白書は、競争が激化するアメリカと中国の関係を分析する項目が初めて設けられました。両国の関係について「政治・経済・軍事にわたる競争が一層顕在化してきている」と指摘し、中国が軍事活動を活発化させている台湾情勢を、緊張感を持って注視する必要があるとしています。
13日の閣議で報告された防衛白書には、アメリカと中国の関係を分析する項目が初めて設けられました。

米中関係について「政治・経済・軍事にわたる競争が一層顕在化し、相互にけん制する動きが表面化している」としたうえで、両国の軍事的なパワーバランスの変化が、インド太平洋地域の平和と安定に影響を与えうると指摘しています。

そして、台湾に対し中国が軍事活動を活発化させる中、アメリカのバイデン政権がトランプ政権と同様に軍事面で支援する姿勢を鮮明にしていると分析するとともに、台湾情勢の安定は「わが国の安全保障はもとより、国際社会の安定にとっても重要だ」と明記し、緊張感を持って注視する必要があるとしています。

また白書では、気候変動が安全保障に与える影響を分析した項目も初めて設けられ、気候変動による水や食料の不足が土地や資源を巡る争いを引き起こすなど「社会的・政治的な緊張や紛争を誘発するおそれがある」と指摘しました。

そのうえで、各国で気候変動を安全保障上の課題と捉える動きが広がっているとして、省内に立ち上げた「気候変動タスクフォース」で安全保障に与える影響への分析を進めるとしています。

中国・ロシア・北朝鮮の軍事動向

防衛白書では、各国の最新の軍事動向や国防政策を分析していて、このうち中国については31ページを割いて記述しました。

この中で「透明性を欠いたまま、継続的に高い水準で国防費を増加させ、軍事力の質・量を広範かつ急速に強化している」と指摘し、日本と、国際社会の安全保障上の強い懸念となっていると警戒感を示しています。

そして、海警局に武器の使用を認めた「海警法」は、法律が適用される海域があいまいで「主権などが認められていない事項について法を執行すれば国際法に違反する」と指摘しています。

また沖縄県の尖閣諸島周辺で、去年、海警局の船が過去最長となる57時間以上にわたって領海に侵入したことなどを指摘し「独自の主張をする中国の活動は、そもそも国際法違反であり、力を背景とした一方的な現状変更の試みを執拗に継続し、事態をエスカレートさせる行動は全く容認できない」と厳しく批判しています。

一方、ロシアは、中国と連携強化の動きがみられるとしたほか、北方領土での動向として、択捉島と国後島に地対空ミサイルを実戦配備するなど「活動を活発化させている」と分析し、動向を注視する必要があるとしています。

また、北朝鮮の弾道ミサイルの能力について「発射の兆候把握や早期探知、迎撃を困難にさせる技術を導入しているとみられる」とし、日本の安全に対する重大で差し迫った脅威だとしています。

日米同盟とクアッド

防衛白書では、航行の自由や上空の飛行の安全の確保など、グローバルな安全保障上の課題に取り組むため、日米同盟を基軸としつつ、普遍的価値を共有する国々との緊密な連携を図るとしています。

このうち、アメリカとの関係強化は「国家間の競争が顕在化する中で、これまで以上に重要になっている」として、バイデン政権発足後も首脳会談や外務・防衛の閣僚協議、それに防衛相会談など、あらゆる機会を通じて連携強化に取り組んでいるとしています。

そのうえで、多国間の防衛協力を推進していくとし、去年、日米両国にオーストラリア、インドを加えた「クアッド」と呼ばれる枠組みで実施した共同訓練を紹介し「『自由で開かれたインド太平洋』を維持・強化していく意思を具現化した」として極めて重要な4か国の協力を引き続き追求するとしています。

防衛力整備の状況

防衛白書では、この1年で検討を進めたミサイル防衛システムなどを解説しています。

このうち、配備を断念した新型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」について代替策として「イージス・システム搭載艦」2隻の建造を決めたとし、今後、搭載艦に備える機能や具体的な設計を、引き続き検討していくとしています。

また、各国がレーダーやミサイルの性能を向上させる中、自衛隊員の安全を確保しつつ、敵の射程圏外から攻撃できる能力を向上させるため、長射程の巡航ミサイル「スタンド・オフ・ミサイル」の整備に取り組んでいることを強調しています。

特に、去年12月には、陸上自衛隊の「12式地対艦誘導弾」の射程を大幅に伸ばす開発を進め、護衛艦や戦闘機などからも発射できるようにすることを閣議決定し、攻撃に対する抑止力の向上につながるとしています。

一方、防衛省が優先的に防衛能力を強化すると位置づける宇宙領域では、ミサイルの探知や追尾などの技術を高めるため「衛星コンステレーション」と呼ばれる小型衛星群の調査・研究を進めていくとしています。

気候変動と安全保障

ことしの防衛白書では、気候変動が安全保障に与える影響を分析した項目を初めて設けました。

この中で、気候変動による水や食料の不足は土地や資源を巡る争いを引き起こすなど「社会的・政治的な緊張や紛争を誘発するおそれがある」と分析した上で、各国で気候変動を安全保障上の課題と捉える動きが広がっているとしています。

また異常気象は、大規模災害の増加や感染症の拡大を招き「軍に対する災害救援活動、人道復興支援活動、治安維持活動、医療支援などの任務に出動する機会の増大が見込まれる」と指摘した上で、気候変動の課題を重大な関心をもって注視する必要があるとして、省内に立ち上げた「気候変動タスクフォース」で安全保障に与える影響への分析を進めるとしています。

岸防衛相「台湾情勢を一層注視していく」

岸防衛大臣は閣議のあとの記者会見で「中国が軍事力の強化を急速に進める中で、中台の軍事バランスは全体として中国に有利な方向に変化をしている。こうした中で、台湾を支援する姿勢を明確にするアメリカに、中国が反発を示している状況を客観的に分析した」と述べました。

そして「台湾を巡る情勢は一層緊張感を持って注視していく。国の防衛には国民の理解と支援が不可欠であり、1人でも多くの人に理解を深めてもらいたい」と述べました。

また、日本の防衛力の整備について「わが国を取り巻く安全保障環境は非常に厳しく、これまでとは抜本的に発想を変えることも必要だ」と強調しました。

韓国 日本公使らを呼び 竹島の記述など抗議

ことしの防衛白書で、島根県の竹島を「わが国固有の領土」と記載していることについて、竹島を「トクト」(独島)と呼んで領有権を主張している韓国外務省のイ・サンリョル(李相烈)アジア太平洋局長は、ソウルにある日本大使館の相馬総括公使を呼んで抗議しました。

韓国外務省は、イ局長が「歴史的、地理的、国際法的に明白な韓国固有の領土であるトクトに対する不当な領有権の主張を繰り返したことについて、強く抗議し、直ちに撤回するよう求めた」と説明しました。

日本大使館によりますと、これに対し相馬総括公使は「竹島は歴史的事実に照らしても、かつ国際法上も明らかに、わが国固有の領土である」と述べ、韓国側の申し入れは受け入れられないと反論したということです。

一方、韓国国防省も日本大使館の防衛駐在官を呼んで、竹島を巡る記述に抗議したほか、海上自衛隊の哨戒機が韓国軍の駆逐艦から射撃管制用のレーダーを照射されたという内容などが盛り込まれたことについて、深い遺憾を表明し、是正を強く求めたと発表しました。

中国 台湾問題介入 許さず

ことしの防衛白書でアメリカと中国の関係を分析する項目が初めて設けられ、台湾情勢が明記されたことについて、中国外務省の趙立堅報道官は13日の記者会見で「日本はこのところ立て続けに中国に物申し、正常な国防建設と軍事活動を不当に非難しており、強烈な不満と断固たる反対を表明する」と述べました。

そのうえで「台湾問題は純粋に中国の内政であり、いかなる国がいかなる方法で介入することも決して許さない」と述べ、強く反発しました。

また、沖縄県の尖閣諸島について趙報道官は「中国の領土であり、その海域をパトロールすることはわが国固有の権利だ」と述べ、独自の主張を展開しました。

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