8月前半のワクチン供給量 今夜 都道府県に提示へ 厚労省

7月に入って新型コロナウイルスワクチンの自治体への供給量が全国的に減少する中、厚生労働省は、8月前半の供給量を12日夜、都道府県に示すことにしています。このうち一定量の在庫があると見なした自治体については人口に応じて配分する「基本計画枠」を1割減らす方針で、自治体からはワクチンが不足するのではないかと懸念の声も出ています。

7月に入って、国から全国に配送されるファイザーのワクチンが減少し、自治体では、希望する量が届かず、予約の受け付けを一時停止する動きなどが相次いでいます。

こうした中、厚生労働省は、8月2日と9日の週に全国に配送するおよそ1万箱について、12日夜、都道府県ごとの配分を示す予定です。

このうち8000箱は「基本計画枠」として12歳から64歳の人口に応じて市区町村に割り当てますが、今回からは、「VRS」=ワクチン接種記録システムで一定量を超える在庫があると国が見なした自治体については、配分するワクチンの量を1割削減する方針です。

これに対し、自治体の中には、VRSへの接種記録の入力が追いついていなかったり、2回目の接種分として一定量のワクチンを確保したりしているところもあり、実際に使用できる在庫の量は限られるという指摘が出ています。

このうち東京 豊島区では、これまでにおよそ16万回分のワクチンが配送されたのに対し、VRSの接種記録はおよそ11万回で、この差に当たる5万回分程度が在庫と見なされるおそれがあります。

このため、区の担当者によりますと、基本計画枠が1割削減される可能性が高いということです。

豊島区ではすでにワクチンが足りず、接種の予約をキャンセルしたり、新規の受け付けを見合わせている診療所などもあるということです。

一方、国は、基本計画枠から削減した分を「調整枠」として都道府県ごとに割り当てる方針で、都道府県が調整してワクチンが不足している市区町村などに配分するよう求めています。

厚生労働省は「全国にはワクチンの在庫が一定量あるはずなので、今後、有効に活用しながら、ワクチンが供給されるペースに合わせて接種を進めてほしい」としています。

東京 豊島区「必要なところに必要な量の配分を」

東京 豊島区は、7月8日までにおよそ16万回分のワクチンが供給されています。

区内のおよそ200の診療所で個別接種を行っていて、VRSの接種記録は12日の時点でおよそ11万回となっています。

豊島区以外に住民票がある人が接種することも多く、6月末時点でおよそ2万回に上っていますがこうした接種は豊島区のVRSの記録には計上されないということです。

このため、国が在庫とみなす量ほどワクチンは残っていないとしています。

豊島区ではすでにワクチンが不足していて、予約の受け付けを見合わせたり、キャンセルしたりする動きが相次いでいるということです。

豊島区のワクチン接種担当の直江太部長は「在庫を抱えているということはない。ターミナル駅もあり区民以外の方にも多く打っているのに、在庫があると判断されてしまうのは大変不利な状況だ。必要なところに必要な量を配分していただきたい」としています。

今回の配分方法は

厚生労働省によりますと、全国に配送するファイザーのワクチンの量は、6月21日からの2週間が1万6000箱=1872万回分だったのに対し、7月5日と12日の週は合わせて1万1000箱、19日と26日の週は合わせて1万600箱と徐々に減る計画です。

8月2日以降は2週間ごとにおよそ1万箱となる予定です。

国は、このうち8000箱を「基本計画枠」として12歳から64歳の人口に応じて市区町村に割り当てる方針ですが、「6週間分の在庫がある」と見なした自治体については、今回から配分するワクチンを1割削減するとしています。

8月2日からの2週間で配分するワクチンについては、7月8日までに「VRS」=ワクチン接種記録システムに登録された接種回数と、これまでに配送されたワクチンの量を比べその差を在庫と見なします。

例えば、今月8日の時点でVRSに登録された接種回数が10万回で、これまでに15万回分のワクチンが配送された自治体は、5万回分の在庫があると見なされます。

この在庫と、VRS上の直近の接種回数から算出した6週間分の接種に必要なワクチンの量を比べ、在庫が上回った場合は削減の対象になります。