新型コロナ 感染再拡大の東京都 重症患者数40~50代で増加

新型コロナウイルスに感染して重症となった患者は、感染が再拡大している東京都では40代から50代で増加し、ことし春以降の感染拡大の「第4波」のピーク時をすでに上回っています。
専門家は感染対策を続けながら、ワクチンの接種を進める必要があると指摘しています。

重症者数 全国は減少も 東京都では増加

全国の重症患者数は、ことし5月26日の1413人をピークに減少が続き、10日時点で428人となっています。

一方で、感染が再拡大している東京都では、先月26日には37人だったのが、10日時点で63人と増加しています。

東京都は特に40~50代の重症者が増加

特に増えているのが40代から50代の重症患者です。
▽先月18日には4人でしたが徐々に増え、
▽先月27日には11人、
▽そして今月6日には26人と、
感染拡大の第4波で最も多かった5月11日の25人を超えました。

▽今月7日には28人となっています。

一方、60代は感染拡大の「第4波」では、5月18日が29人で最も多くなりましたが、徐々に減って、先月下旬からは10人前後が続いています。

また70代以上では、5月28日に34人になって以降、減少傾向が続き、今月7日の時点では19人で、より高齢の世代では増加が抑えられています。

厚生労働省の専門家会合は、高齢者ではワクチン接種が進み、重症患者の増加が抑えられている一方、接種が進んでいない40代や50代で重症患者が増えていると分析しています。

政府の分科会のメンバーで、東邦大学の舘田一博教授は「40代50代に接種が進んでいない状況の中で、感染が再拡大すると重症例が増えて、医療のひっ迫につながるリスクがある。しっかりと感染対策を取って、時間稼ぎを行いながら、接種を進めて行く大事な時期だ」と話しています。

都内の重症入院患者 幅広い世代で増加

新型コロナウイルスの重症患者を受け入れている東京 文京区の東京医科歯科大学附属病院では、入院患者が幅広い世代で増え始めていて、警戒感を強めています。

病院では今回の感染拡大で、新型コロナに感染して入院する患者が先月下旬以降増加し、9日の時点で12人が入院しています。

このうちの3人は感染力が強いインドで確認された変異ウイルス「デルタ株」への感染が確認されたということです。

植木穣病院長補佐によりますと、これまでの感染拡大で多かった高齢世代だけでなく、幅広い世代の患者が入院しているということです。

9日の時点で、重症患者は50代と70代の2人で、重症患者が入院する病棟では現在はまだ対応できる状態ですが、重症患者の治療には医師や看護師など多くの医療スタッフが必要で、病院では今後、デルタ株への置き換わりが進んで感染がさらに広がり、患者が増えることを警戒しています。

植木病院長補佐は「これまでの感染拡大では、若い人の入院が先に増えて、その後、高齢者が増える傾向があり、今は感染の波の前半部分を見ているのかもしれない。今、高齢の患者ではワクチンを打てていない人が入院している傾向があるので、ワクチンの効果はあると考えている。東京では新規感染者数も『第4波』のピーク時近くの数に達し、緊急事態宣言が出されても世の中が驚かなくなっている。次の感染の波の高さ次第では、また一気に病床が埋まることも考えられ、懸念している」と話しています。