熱海 土石流 99歳母背負い逃げた男性 高齢者避難の難しさ語る

熱海市での土石流の発生直後に、99歳の母親を背負って逃げたという75歳の男性が9日、取材に応じ、高齢者避難の難しさを語りました。

熱海市伊豆山に住む後藤光雄さん(75)は、車いすで生活している99歳の母親と2人で暮らしています。

土石流が発生した当日は、熱海市が「高齢者等避難」の情報を出していましたが、避難所の小学校は、およそ400メートル離れた高台にあり、母親とともに自宅に残っていて、土石流の発生に気付いてから急いで避難を始めたといいます。

後藤さんは「近くでものすごい、ごう音と悲鳴が聞こえたので、家の外をのぞき、自宅の手前まで土石流が電柱や木を巻き込みながら流れ込んでいる光景を目の当たりにしました。その後、ベッドで寝ていた母を急いで背負い、はだしのまま家を出て、数メートル先の高台に登り、空き家に駆け込みました」と切迫した状況を語りました。

結果的に、自宅は大きな被害をまぬかれましたが、後藤さんは「まさか、こんな大きな災害になるとは予想しておらず、土石流を目にしたときは死を覚悟しました。自分1人であれば事前に逃げることもできましたが、高齢で長く歩けない母親を背負ったまま遠くまで逃げることは難しく、どうすればよかったのか、今もわかりません」と、高齢者だけの世帯での避難や判断の難しさを語りました。