五輪 “無観客”で問われる開催意義 運営の大幅見直しも

開幕まで9日で2週間となった東京オリンピックは、東京都での新型コロナウイルスの感染の再拡大の影響で、東京など1都3県ではすべての会場で観客を入れずに開催されることになりました。

競技会場の大部分が無観客となる異例の大会は、開幕まで時間がない中で運営の大幅な見直しを迫られるほか、大会開催で何を残すことができるのかが改めて問われることになります。

2週間後の今月23日に開幕する東京オリンピックの焦点となっていた観客の扱いは、8日、大会組織委員会や政府、IOC=国際オリンピック委員会など5者による会談で、東京、神奈川、埼玉、千葉の1都3県の会場はいずれも観客を入れずに開催されることが決まりました。

新型コロナの感染拡大によって史上初めて延期された東京オリンピックは、開幕の2週間前に観客の扱いが変わり、競技会場の大部分が無観客となる異例続きの大会となります。

組織委員会は、ボランティアの配置計画や観客を輸送する予定だったバスの運行、それに医療体制の再構築など、大会運営の大幅な見直しを残りわずかな期間で迫られることになります。

また、アスリートの活躍にとって欠かせない観客が不在となる大会がオリンピックやスポーツの未来に何を残すことができるのかも、改めて問われることになります。

記者会見で組織委員会の橋本会長は「コロナという大きな課題に直面する中で大会を開催できることが1つの大きなレガシーになっていくのではないか」と話していました。

医療体制も見直しへ

東京オリンピックが1都3県では無観客で開催することが決まったため、医療体制も見直される見通しです。

組織委員会は、東京大会の期間を通じて、当初1万人程度の医療従事者に競技会場などで活動してもらう計画でしたが、新型コロナの影響で医療現場がひっ迫していることなどから計画を見直し、ことし5月には、3割程度削減した7000人程度の医療従事者で大会に対応する方針を示していました。

組織委員会の武藤事務総長は8日の会見で、観客を入れることを想定して準備していた医療従事者はほとんど確保できていることを明らかにしたうえで、無観客開催となった1都3県では体制を縮小できる見通しになったことから、活動日数を削減したり人数そのものを削減したりするなど、医療従事者の負担を減らすための見直しを行うとしています。

東京都 小池知事「五輪が変化のきっかけに」

開催都市・東京都の小池知事は8日夜開いた臨時の記者会見で「人の流れを抑制して感染拡大を防止する観点から無観客となった。会場で直接、見たいということで楽しみにしていた方々もたくさんいると思う。断腸の思いだが、ぜひ、家族で、自宅で、安全・安心に大会を存分にご覧いただきたい」と述べました。

都内では感染の拡大に歯止めがかからず、12日から4回目となる緊急事態宣言が出され、酒を提供する飲食店に休業が要請されるなど、これまでより強い措置が取られます。

小池知事は「何としても感染の拡大を抑え、安全・安心な大会として成功に結びつけていくことが東京や日本の貴重なレガシーになると考えている」と述べました。

また、記者から、「緊急事態宣言ということでいろいろな思いを持つ人がいるが、なぜこのタイミングで大会を開くのか」と問われると、「コロナ禍で世界中の方々もいろんな思いをしてきた。スポーツの力がさまざまな形で世界中に伝わって励みになり、オリンピックが変化のきっかけになることを期待をしている」と述べ、開催への理解を求めました。

米 サキ報道官「大会の開催を支持」

東京オリンピックが首都圏の1都3県では無観客で開催されることが決まったことについて、アメリカ、ホワイトハウスのサキ報道官は記者会見で「日本政府はこれまで大会の開催や準備にあたり人々の健康が最優先だと強調していて、われわれも準備の過程で日本政府と緊密に連絡を取ってきた。われわれは大会の開催を支持している」と述べて理解を示しました。

また、大会にあわせてファースト・レディーのジル夫人が来日するかどうかについては「まだ検討中だ」と述べ、今週末に先遣隊を東京に派遣することを明らかにしました。

一方、アメリカ政府で新型コロナウイルス対応にあたるファウチ博士は「大会では厳格とも言える感染対策が取られることになっていて、ジル夫人が日本を訪問できない理由はない」と述べました。

仏 スポーツ担当相「まだウイルスとの闘いには打ち勝ってない」

東京オリンピックが首都圏の1都3県では無観客で開催されることが決まったことについて、3年後のオリンピック・パラリンピックの開催国であるフランスのマラシネアヌ・スポーツ担当相は8日、ツイッターに「アスリートたちが観客と会えないのは悲しい。われわれはまだウイルスとの闘いには打ち勝っておらず、日本の当局を信頼している」とコメントしました。