東京五輪 都内の全会場で無観客開催へ 東京の緊急事態宣言受け

最大1万人まで観客を入れて開催される予定だった東京オリンピックは、東京都で新型コロナウイルスの感染が再び拡大し4回目の緊急事態宣言が出されることなどを受けて、都内のすべての会場で観客を入れずに開催することになったことが、大会関係者への取材でわかりました。

大会組織委員会と政府、東京都、IOC=国際オリンピック委員会、IPC=国際パラリンピック委員会の5者は、ことし3月に海外からの観客の受け入れ断念を決め、国内の観客については先月、会場の収容定員の50%以内で上限1万人を原則とすると決めていました。

一方で、今後の感染状況などによっては無観客も含めて対応するとしていました。

しかし、都内の感染拡大に歯止めがかからず、政府が今月12日から東京都に4回目の緊急事態宣言を出すことを決めたことなどを受けて、都内の会場で開催される競技については一転して観客を入れずに開催することが決まりました。

組織委員会によりますと、オリンピックの一般向け観戦チケットは363万枚が販売されていましたが、都内の会場についてはすべて払い戻しの対応が取られることになり、これに伴って、900億円と見込まれていたチケット収入は大幅に減ることになります。

一方で、東京以外の競技会場がある自治体については、このあと開かれる会議で各県の知事の意向を聞いて観客を入れるかどうか決めるということです。

東京以外の8道県の競技は

東京オリンピックの競技会場がある東京都以外の8つの道と県での観客の取り扱いも注目されます。

まん延防止等重点措置が延長される、
▽千葉県では、レスリング、テコンドー、フェンシングとサーフィン
▽埼玉県では、バスケットボールとサッカー、それにゴルフ
▽神奈川県では、野球・ソフトボール、サッカー、セーリングが行われる予定です。

また、
▽札幌市では、サッカーのほかマラソンと競歩、
▽宮城県ではサッカー、
▽福島県では野球・ソフトボール、
▽茨城県ではサッカー、
▽静岡県では自転車が行われることになっています。

五輪観客の議論の経緯

東京オリンピック・パラリンピックの延期が決まったあと、大会組織委員会やIOC=国際オリンピック委員会は、安心で安全な大会開催を目指すため観客を減らすことを検討してきました。

組織委員会と東京都、政府、それにIOCとIPC=国際パラリンピック委員会はことし3月、5者による会談を開き、変異した新型コロナウイルスの影響が予測できないことなどから海外からの観客受け入れの断念を決めました。

一方で、国内の観客数の上限については先月の5者会談で、
▽オリンピックは会場の収容定員の50%以内で上限1万人を原則とすることを決め、
▽パラリンピックは今月16日までに決めるとしていました。

その後、都内の新型コロナの感染者数が増加に転じたことなどを受けて、組織委員会は、政府による緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の対応を見たうえで改めて観客の扱いを議論する方針を示していました。

大会のボランティアは

大会のボランティアからは「しかたがない」という受け止めとともに、今回の判断に至る過程で見通しの説明がなかったことに不満の声があがっています。

都が募集したボランティアで東京・町田市に住む長谷川紀生さん(67)は、大会が1年延期になったあとも筋肉トレーニングなどを続けて準備を進めてきました。

ただ、都のボランティアは観客の案内が主な活動になるため、無観客だと活動の場がほとんどなくなる可能性があります。

長谷川さんは「残念だが、緊急事態宣言が出ることを考えると受け入れざるをえない。しかたがない」と話しています。

そのうえで、決定が開幕の直前になったことについて「いきあたりばったりに扱われている気がする。開催都市のトップとして『こう考えているから待ってほしい』などと私たちに発信がなかったことに不満が残っている。ボランティアにとって、たとえ最悪の結果だとしても、こうなるという見通しを早めに示してくれていれば受け止めも変わったと思う」と話しています。

また、長谷川さんは、「なぜ感染を抑えることができなかったのか、科学的なデータを示して振り返り、説明してほしい」と話しています。