東京に4回目の緊急事態宣言 政府決定 沖縄は延長 8月22日まで

新型コロナウイルスの感染の再拡大が続く東京都に対し、政府は、今月12日から来月22日まで、4回目の「緊急事態宣言」を出すことを決定しました。また、沖縄県に出されている「緊急事態宣言」を来月22日まで延長することになりました。

沖縄県を対象にした「緊急事態宣言」と、東京や大阪など10の都道府県に適用されている「まん延防止等重点措置」の期限を3日後に控え、政府は夕方、新型コロナウイルス対策本部を開きました。

この中で、菅総理大臣は「東京を中心とする首都圏は、先月末以降、感染者数の増加が続いている。重症者の数や病床の利用率は低い水準にとどまっているが、変異株の影響を考慮し、再び全国への感染拡大を波及させないためにも対策を強化する必要がある」と述べました。

そして、東京都については、感染の再拡大に歯止めがかからないことから今月12日から来月22日まで、4回目となる「緊急事態宣言」を出すとともに、沖縄県に出されている宣言も来月22日まで延長することを決定しました。

今月23日に開幕する東京オリンピックは、開催期間すべてが宣言の時期に含まれることになります。

また、「まん延防止等重点措置」は、埼玉、千葉、神奈川と大阪の4府県では、来月22日まで延長し、北海道、愛知、京都、兵庫、福岡の5道府県は、今月11日の期限をもって解除することも決めました。

これによって、来月22日までの間、宣言の対象地域は、東京と沖縄の2都県に、重点措置の適用地域は、埼玉、千葉、神奈川、大阪の4府県になります。

菅総理大臣は「ワクチンの効果が明らかとなり、病床の状況などに改善が見られる場合には、前倒しで解除することも判断する。先進国でも例のない速さで接種が行われており、総接種回数は5400万回を超え、高齢者のおよそ7割、全国民の3割が1回の接種を終えている。今後、接種が進む市町村に多くのワクチンを配分できるよう見直しを行い、配分量をできるかぎり早期にお示しする。企業や大学などの接種も、受け付けた申請の精査を速やかに行って、確実に対応していく」と述べました。

営業時間短縮に応じた事業者へ協力金先渡しも

政府は、飲食店での感染対策を強化するため、宣言の対象地域では、飲食店に酒の提供停止を要請するほか、重点措置の地域でも、原則、提供停止を要請し、知事の判断で、一定の要件を満たした店では、午後7時まで提供できるようにするとしています。

また、営業時間の短縮要請に応じた事業者への協力金を先渡しできる仕組みを導入して支給を迅速化するほか、酒を販売する事業者に対し、提供停止に応じない飲食店との取り引きを行わないよう要請するとしています。

一方、宣言が出されている地域のイベントの開催制限については、会場の収容定員の50%までか、5000人のいずれか少ないほうを上限とし、時間は、原則、午後9時までとする基準を維持するとしています。

菅総理大臣は、8日夜7時をめどに記者会見し、宣言を出す理由などを説明して、国民に理解と協力を呼びかけることにしています。

西村経済再生相「ワクチン接種が進む中、将来の姿を」

西村経済再生担当大臣は記者会見で「ワクチン接種が進む中、きょう、分科会の場で、専門家に対し、希望する国民のすべての人がワクチンを打ち終える前の8月や9月の段階で、国民がどういったことが可能になるのかや、ステージの基準をどう考えたらよいのかについて、将来の姿をぜひ描いていただきたいとお願いした。海外の治験や国内のデータの分析も含めてお願いできればと考えている」と述べました。

政府分科会 尾身会長「接種広がれば安心感」

政府の分科会の尾身茂会長は、8日夜、西村経済再生担当大臣とともに行った記者会見で「これまで呼びかけてきた『3密』や『5つの場面』といった環境、特に飲食店かどうかにかかわらず酒を飲む場面で感染リスクが高くなることが科学的な証拠でも明確に分かってきた」と述べ、感染対策を改めて徹底するよう呼びかけました。

そして「インドで確認された変異ウイルス『デルタ株』への置き換わりが進み、40代、50代で重症化する人が増えるという新たな要素が出てきている。9月ごろになってこの年代の希望者の多くが接種を終えると医療の負荷が下がるという安心感が出てくる。さらに10月、11月になってもっと若い年代の人たちにも接種が広がれば、さらなる安心感が出てくる。それまでの間、感染拡大や医療のひっ迫がないように、なんとかそこまでたどりつきたい。これが今回の宣言発出の最も重要なポイントだ。なんとか今回で最後の緊急事態宣言にしたい」と強調しました。

さらに長期的な見通しについて、尾身会長は「今回のウイルスの性格や感染対策の歴史を考えると、人口全体の6割くらいがワクチンを打ったとしても、集団免疫の獲得は必ずしも起きないと思う。さらにウイルスが変化して、来年になれば、もう一度ワクチンを打たなければならないことになると考えている。コロナウイルスは『ゼロ』にはならず、季節性インフルエンザのようになる可能性が高いと考えている。そうした状況では国産のワクチン開発や、それに治療薬の開発を進めることが重要だ」と述べました。