「医療ひっ迫すれば大阪も宣言検討 必要」大阪 医療専門家

大阪府は7日、政府に対して、まん延防止等重点措置の延長を要請しました。医療現場でコロナ患者の治療に当たる、大阪府の専門家会議のメンバーの1人は「若い患者が増え、次の波に入りつつあるのを強く実感している。もし、今後、重症患者が増え医療がひっ迫すれば、大阪も緊急事態宣言を検討する必要がある」と危機感を示しています。

大阪 泉佐野市にある、りんくう総合医療センターは新型コロナの重症患者用に6床、中等症の患者用に28床を確保して、患者の受け入れを続けています。

この病院で治療に当たる医師で、大阪府の専門家会議のメンバーでもある倭正也感染症センター長は、現状について「若い人を中心に入院患者が増え、発熱などの症状で検査を受ける人の数も先週半ばから特に増えてきている。若い感染者の同居の家族や友人に感染が広がる傾向があり、次の波に入りつつあるのを強く実感している」と危機感を示しました。
そのうえで、大阪府がまん延防止等重点措置の延長を政府に要請したことについて「高齢者のワクチン接種は進んではいるものの、まだ希望する全員にいきわたる状況ではなく、65歳未満への接種は進んでいない。若年者でも重症化のリスクがある変異ウイルスのことも考えると、感染対策をきちんとして拡大を食い止めなければ、重症病床が足りなくなり医療がひっ迫するおそれがあるので、重点措置の延長は適切な判断だったと思う」と評価しました。

今後の見通しについては「東京では7日、900人を超える感染者が発表されたが、大阪も東京と同様に人の移動が多い都市なので、2週間ほどたつと同じように増えている可能性もある。もし、重症患者が増え医療がひっ迫すれば、大阪も緊急事態宣言を検討する必要がある」として、今後の状況の変化によってより厳しい対応が必要になるという考えを示しました。

一方、次の大きな感染拡大に備えて大阪府が進める対策については「第4波のときは患者の受け入れや転院がスムーズにできず、治療が遅れてしまうことがあった。今は病床にまだ余裕があり、保健所などに働きかけて、できるだけ早く患者に入院してもらうようにしていて、息切れなどの呼吸器の症状が出る前の段階で、抗ウイルス薬などを投与していくことで重症化させずに治療できている。今後、感染者が増えても、こうした早期治療ができる医療体制の整備が重要だ」として、病床の拡充などがどこまで進むのかが重要なポイントになるという認識を示しました。