10軒以上で蛇口盗み転売と供述 コロナで価格高騰の銅狙いか

滋賀県内の廃業中の宿泊施設に侵入したとして逮捕・起訴された夫婦が、水道の蛇口ばかりをねらって10軒以上の施設で盗みを繰り返したと供述していることが捜査関係者への取材でわかりました。蛇口には新型コロナウイルスの影響で高騰している銅が使われていて、夫婦は盗んだ蛇口を転売していたということです。

長野県塩尻市の無職、大倉一公被告(40)と妻のひろみ被告(34)はことし5月、滋賀県東近江市にある廃業中の宿泊施設に侵入したとして、逮捕・起訴されました。

捜査関係者によりますと、2人はその後の調べに対し、銅などでできた水道の蛇口ばかりをねらって滋賀県長浜市にある文化財を収蔵する県の施設など10軒以上で盗みを繰り返したと供述しているということです。
長浜市の施設は以前、県の保養所として使われていて、2人は収蔵されていた文化財には手をつけず、風呂場などの蛇口20点余りを盗んだ疑いがあるということです。

2人は「生活費を稼ぐため関西や中部の宿泊施設などに侵入して蛇口を盗み転売していた」などと供述しているということです。

銅の価格は、新型コロナウイルスのワクチン普及による経済回復への期待感などから世界的に高騰し、ことし5月には史上最高値を更新しています。

蛇口が大量に盗まれる事件はことし5月に神奈川県でも起きるなど、全国各地で相次いでいて警察は注意を呼びかけています。

金属取り扱い業者「買い取り価格 1年で2倍に」

滋賀県内で金属の取り引きを行う業者によりますと、蛇口は加工しやすいよう銅と亜鉛を混ぜた合金でできているものが多いということです。

業者は「ことしに入って銅の価格が大幅に値上がりしたことで、蛇口の買い取り価格も去年と比べておよそ2倍になっている」と話しています。

専門家「価格高騰 コロナの影響も」

銅の価格はことし5月に史上最高値を更新し、その後も高い水準が続いています。

その背景について、金属市場に詳しい楽天証券経済研究所の吉田哲さんは「世界の銅の消費のおよそ半分を中国が占めている。その中国が新型コロナウイルスの影響から回復し、経済活動が活発化して銅の消費量が増えるという期待が高まったことがある」と分析しています。

また、「新型コロナからの経済回復のためにアメリカをはじめ主要国の金融緩和によって一般社会に資金が増え、余るようになった。その一部が価格が上昇している銅の市場にも流れ込み価格を押し上げる要因となった」と指摘しています。

そのうえで今後の銅の価格の見通しについて「世界各国で環境問題への対応が迫られ、脱炭素が進むと、電気自動車など電化が進んで銅の需要はさらに増えることが予想される。価格は長期的には緩やかに上がっていくと考えられる」と話しています。