「また…」 東京 4回目の緊急事態宣言 暮らしはどうなる?

新型コロナウイルスの感染の再拡大が続く東京都、今月12日から来月22日まで4回目の緊急事態宣言が出されることになりました。沖縄県に出ている宣言も延長されます。お盆休みや子どもたちの夏休みの大部分、それに東京オリンピックの開催期間も宣言の期間に含まれることになりました。私たちの暮らしはどうなるのでしょうか?

“宣言”東京に4回目 沖縄も延長

沖縄県を対象にした緊急事態宣言と、東京や大阪など10の都道府県に適用されているまん延防止等重点措置の期限を3日後に控え、政府は夕方、新型コロナウイルス対策本部を開きました。
東京都については感染の再拡大に歯止めがかからないことから、今月12日から来月22日まで4回目となる緊急事態宣言を出すとともに、沖縄県に出されている宣言も来月22日まで延長することを決定しました。

今月23日に開幕する東京オリンピックは、開催期間すべてが宣言の時期に含まれることになります。

“まん延防止措置”埼玉 千葉 神奈川 大阪で延長

また、まん延防止等重点措置は
▽埼玉、千葉、神奈川と大阪の4府県では来月22日まで延長し
▽北海道、愛知、京都、兵庫、福岡の5道府県は今月11日の期限をもって解除することも決めました。
これによって来月22日までの間
▽宣言の対象地域は東京と沖縄の2都県に
▽重点措置の適用地域は埼玉、千葉、神奈川、大阪の4府県になります。

“宣言”対象地域 飲食店に酒の提供停止を要請 政府

政府は、飲食店での感染対策を強化するため
▽宣言の対象地域では飲食店に酒の提供停止を要請するほか
▽重点措置の地域でも原則、提供停止を要請し、知事の判断で一定の要件を満たした店では午後7時まで提供できるようにするとしています。

▽営業時間の短縮要請に応じた事業者への協力金を先渡しできる仕組みを導入して支給を迅速化するほか
▽酒を販売する事業者に対し、提供停止に応じない飲食店との取り引きを行わないよう要請するとしています。

一方、宣言が出されている地域のイベントの開催制限については、会場の収容定員の50%までか、5000人のいずれか少ないほうを上限とし、時間は原則午後9時までとする基準を維持するとしています。

東京都 “宣言”での措置決定

東京都は8日夜、新型コロナウイルスの対策本部会議を開き、緊急事態宣言のもとで実施する措置を決定しました。

酒の提供停止を再び要請

それによりますと
▽酒やカラオケ設備を提供する飲食店などに対しては休業を要請します。提供しない場合は午後8時までの時短営業を要請します。都は先月21日から、利用を1グループ2人まで、滞在時間を90分までなどの制限を設けて酒の提供を認めていましたが、3週間で再び提供の停止を求めることになります。

▽床面積の合計が1000平方メートルを超える大規模施設に対しては休業要請は行わず、引き続き時短営業を要請します。
時間は
▽デパートやゲームセンターなど客が自由に出入りできる施設は午後8時まで
▽劇場や展示場などの施設がイベントを開催する場合や映画館は午後9時までです。

イベントについては
▽開催時間を午後9時までとしたうえで
▽人数の上限は5000人で、定員の50%以内とするよう要請します。

都民に対しては
▽日中も含めた不要不急の外出と移動を自粛し
▽特に帰省や旅行などの都道府県をまたぐ移動は極力、控えるよう求めます。

東京都 小池知事「強力な措置を講じていく」

対策本部会議の中で小池知事は「今回の緊急事態宣言は国の強い危機感のもとで発出されるものであり、都としても国と危機意識を共有するものだ。人の流れの抑制や基本的な感染防止対策の徹底に向けて、実効性のある一層強力な措置を講じていく」と述べました。

そのうえで「措置のポイントは3つある。1つ目は飲食店の対策の強化。2つ目は重症者が増えている50代に的を当てた、いわば『50代問題』への重点的な対応。3つ目はワクチン接種の推進だ。この3つの柱の対策の徹底により、これ以上の感染拡大を何としても食い止めていく」と強調しました。

デパート各社(8日・15時時点)

デパート各社の対応です。
▽そごう・西武▽松屋▽東武百貨店▽京王百貨店
基本的に国と東京都からの要請に沿って対応する方針だとしています。

▽三越伊勢丹▽高島屋▽大丸松坂屋▽東急百貨店▽小田急百貨店
要請の内容を確認したうえで検討するとしています。

また、飲食店に対して酒を提供しないよう要請が出た場合は、ほとんどのデパートが従うとしています。

大手居酒屋チェーン各社(8日・15時時点)

大手居酒屋チェーン各社の対応方針です。
▽外食チェーンのコロワイド
国や東京都の要請内容に全面的に従う方針です。要請があれば焼き肉やレストラン業態では営業時間を短縮する方針です。酒類の提供停止を要請された場合は「甘太郎」などの居酒屋業態の多くは休業も検討することにしています。

▽ワタミ
要請に全面的に従うとしています。酒類の提供停止を要請された場合は「ミライザカ」や「三代目鳥メロ」など、都内にある居酒屋業態の70店舗を休業する方針です。

▽「白木屋」など展開するモンテローザ
▽「庄や」などを展開する大庄グループ
対応を検討中としていて、正式な要請の発表後に公表するとしています。

外食チェーン(8日・15時時点)

外食チェーンの対応方針です。
<ファミリーレストラン>
▽「ガスト」や「バーミヤン」を展開する、すかいらーくホールディングス
▽サイゼリヤ
▽デニーズ
▽「ロイヤルホスト」や「てんや」を展開するロイヤルホールディングス
いずれも要請に沿って対応する方針です。
<牛丼チェーン>
▽すき家▽吉野家▽松屋
要請に沿って対応することを検討しています。

東京 きょうの新規感染は…?

都内では8日、新型コロナウイルスへの感染が新たに896人確認され、1週間前の木曜日より223人増えるとともに、19日連続で前の週の同じ曜日を上回りました。

また、インドで確認された「L452R」の変異があるウイルスへの感染も98人確認されました。1日の発表としてはこれまでで最も多くなっています。

“4週間後 1日・約1500人の感染確認も”

東京都のモニタリング会議では強い危機感が示されました。

新規陽性者数の増加比は高い値で推移し、専門家は「感染が再拡大している」と指摘したうえで、現在の増加比が続くと
▽3週間後の今月28日には1日・1000人を超えて今の1.91倍のおよそ1192人となり
▽4週間後の来月4日には今の2.36倍のおよそ1478人と、年明けの第3波とほぼ同じレベルになると分析しました。

さらに、人の流れの増加や感染力が強い変異ウイルスの影響で増加比がさらに上昇すれば、年明けの第3波を超える急激な感染拡大の危険性が高くなると強い危機感を示しました。

一方、インドで確認された「L452R」の変異があるウイルスの陽性率は先月27日までの1週間で14.7%で、その前の週より6.3ポイント増えました。陽性率は上昇が続いています。

居酒屋「また宣言、厳しい…」

緊急事態宣言について都内の居酒屋などの反応です。

調布駅前の「天神通り商店街」にあるそば店は前回の緊急事態宣言中、都の要請に従って時間を短縮して営業した結果、売り上げは感染拡大前の半分以下だったということです。店主の清水崇郎さんは「協力金をもらっても『焼け石に水』の状態です。前回の宣言が終わって以降、常連客に支えてもらって何とかやってこられましたが精神的にも厳しいです」と話していました。

また、同じ商店街にある居酒屋の店主、藤岡朋成さんは「前回の緊急事態宣言の時には休業していて、ようやく再開できたところにまた宣言となると厳しいです」と話しています。

酒店「前回の宣言終わり、これからという時に…」

老舗の酒店からも不安の声が聞かれました。明治時代から続く、飛田給駅近くの店は地元の飲食店などに酒類を卸していますが、感染拡大前に比べて売り上げは3割から4割ほど下がったといいます。

店主の萩原治さんは、緊急事態宣言について「得意先の中にはすでに『1か月休む』と伝えてきた人もいます。前回の宣言が終わりようやくこれからという時だったので、カウンターパンチのようでショックです」と話しています。

沖縄“宣言”延長期間に夏休み 観光業界は?

一方、8日の感染確認は35人で先週木曜日を28人下回った沖縄県でも緊急事態宣言が延長されることになりました。今回の宣言の期間中には夏休みも含まれ、観光業界ではとまどいが広がっています。

ホテル「最もかき入れ時、途方に暮れている」

那覇市のホテルでは、今月下旬の4連休は予約で客室がほぼ満室になるなど県外からの問い合わせが増えていたということですが、今後は予約のキャンセルが相次ぐことが予想されるということです。

このホテルでは従業員にワクチン接種を始めたほか、ワクチン接種を終えた宿泊客に沖縄の特産品を配るなど感染防止対策を徹底して宿泊客が減らないよう取り組んでいます。

「パームロイヤルNAHA」の高倉直久総支配人は「延長の期間が長いことに驚きました。最もかき入れ時の8月中旬が緊急事態宣言の期間にかかるので途方に暮れています」と話し、とまどいを隠しきれない様子でした。

観光団体“甚大な影響” 延長の撤回要求

また、沖縄の観光業界の代表などは県に対し、延長の撤回を国に求めるよう申し入れました。
沖縄県内の観光関連団体の代表などでつくる沖縄ツーリズム産業団体協議会のメンバーは県庁を訪れ、下地芳郎会長が照屋副知事に要請書を手渡しました。

この中では、県内で感染状況が減少傾向にありワクチン接種が進んでいるにもかかわらず、宣言を延長することは業界を厳しい状況に追い込み甚大な影響を与えるとしています。そのうえで、県に対し、延長の撤回を国に求めるよう要請しています。

下地会長は「観光産業を含め、沖縄の経済界としては納得できないという気持ちを強く持っている」と訴え、別のメンバーは「必死の努力を一瞬で砕かれた。このような状況では抑制が効かなくなる」とか「もうすぐゴールと思っていたが崖の下に立たされているようで憤りを感じている」などと、強く抗議しました。

照屋副知事は「玉城知事を通して県民の声をしっかり政府に伝えたい」と述べました。

経済界の反応は?

東京都への4度目の緊急事態宣言と沖縄県での宣言延長が日本経済に与える影響について、民間のシンクタンクなど3社によると、GDP=国内総生産をおよそ5000億円から1兆円押し下げると試算されています。経済界の反応です。

“夏休み直撃” 旅行業協会は補償求める考え

全国の旅行会社でつくる「日本旅行業協会」は夏休みの旅行シーズンを直撃するとして、政府に対し補償を求めていく考えを示しました。
全国1100余りの旅行会社でつくる「日本旅行業協会」の役員は都内で記者会見を開き、協会の副会長でJTBの高橋広行会長は「高齢者を中心にワクチンの接種が進み夏休みの旅行の申し込みは徐々に回復してきていたが、間違いなく大きな影響を受ける」と述べました。

また、同じく協会の副会長でワールド航空サービスの菊間潤吾会長は「1番の旅行シーズンとなる夏休みを前に宣言が出されるということで、大変苦境にさらされる」と述べました。

そのうえで宣言にともなうキャンセル料は多くの場合、利用者に求めずに旅行会社が負担していることを踏まえ、日本旅行業協会として旅行会社への補償を国に求めていく考えを示しました。

日商 三村会頭「感染対策と経済活動 両立の道を」

日本商工会議所の三村会頭は記者会見で「もちろん自粛しなければいけないが同時に生活もしなければいけない。緊急事態宣言に入ってもどうやって経済活動を一定に保つのかという観点は絶対に必要で、飲食店などが感染対策を講じながら業務をどう続けるか、両立を可能にする道を検討すべきだ」と述べました。

経団連 十倉会長「あらゆる手を打たないと」

経団連の十倉会長は大阪市内で行った会見で「インドで確認された感染力の強い変異ウイルス『デルタ株』が広がっている。大きなリバウンドを抑えるためには、あらゆる手を打たないといけない。感染対策を徹底してきた中小の飲食店の皆さんには申し訳ないと思うが、宣言が出るのはやむをえないと思う」と述べました。

そのうえで「宣言が出ている間にワクチン接種を加速させて集団免疫を冬場までに作ることが日本経済回復へのいちばんの早道だ」として、ワクチンの接種のスピードを早めることが感染の収束に向けて重要だとの認識を改めて示しました。