厚労省専門家会合 “感染再拡大強く懸念 東京都の対策徹底を”

沖縄県に出ている緊急事態宣言や首都圏などに出ている、まん延防止等重点措置が7月11日に期限を迎えるのを前に、新型コロナウイルス対策について助言する厚生労働省の専門家会合が開かれました。

首都圏では全国の感染者数の3分の2を占め、感染の再拡大が強く懸念される状況で、特に東京都では50代以下を中心に入院者数や重症者数が増加に転じているとして、対策の徹底が必要だと強調しました。

専門家会合は、現在の感染状況について、全国でも増加傾向に転じたと評価しました。

地域別にみると、緊急事態宣言が出されている沖縄県では減少が続いているものの、10万人当たりの感染者数は依然として高い水準にあり、夜間の人出が増加が続き、感染者数が減少するスピードは鈍化しているとしています。

一方で、東京都では、重点措置が適用されている中で、前の週の1.2倍を超える感染者数の増加が続き、50代以下を中心に入院者数や重症者数が増加に転じていて、40代、50代の重症者数は前回、ことし春の感染拡大の時期と同じ水準になっていると分析しました。

東京都では、感染者の増加傾向や検査の陽性率の上昇などから感染拡大が続くと予想され、今後の4連休や夏休みなどで県境を越えるような移動が活発になって、さらなる感染拡大や各地への波及が強く懸念されるとしています。

さらに専門家会合は、首都圏の感染者数は全国のおよそ3分の2を占めていて、周辺や全国に感染を拡大させないためにも対策の徹底が必要だと強調しました。

また、感染力が強いと指摘されるインドで確認された変異ウイルス「デルタ株」については、クラスターが複数発生し、今後、置き換わりが進むとして、注視する必要があるとしています。

専門家会合は、ワクチンの接種が進み、感染者のうち高齢者が占める割合が去年秋以降で最も低くなるなど、効果がみられてきている一方、感染のリスクが高い場所や感染経路に着目して、戦略的に接種を進めるとともに、若い世代を中心にワクチンに対する懸念や不安を払拭(ふっしょく)することが必要だと指摘しました。

さらに、首都圏以外でも感染者が横ばいから増加に転じた地域があり、感染が急増すれば入院病床がひっ迫するという予測もあるとして、感染拡大の予兆がある場合には機動的な対策で急拡大を抑制すること、それに今後の4連休や夏休みに向けて求められる対応を発信することが必要だと強調しました。

新規感染者数の傾向は

7日行われた厚生労働省の専門家会合で示された資料によりますと、新規感染者数は、6日までの1週間では前の週と比べて、全国では1.09倍で増加傾向が続いています。

地域別にみると、緊急事態宣言が出されている沖縄県では0.81倍で、依然、感染者数が多いものの減少傾向が続いています。
まん延防止等重点措置が適用されている地域のうち、特に首都圏の、
▼東京都と千葉県は1.22倍、
▼埼玉県は1.27倍、
▼神奈川県は1.06倍などと、
増加傾向が顕著になってきています。

また、感染者数は少ない状態であるものの、
▼大阪府は1.15倍、
▼京都府は1.23倍、
▼兵庫県は1.36倍と、
増加傾向となっています。

一方、
▼北海道と福岡県では1.01倍で横ばい、
▼愛知県は0.83倍で減少傾向となっています。

人口10万人当たりの6日までの1週間の新規感染者数は、
▼東京都が、緊急事態宣言が出ている沖縄県より多い30.29人、
▼沖縄県が26.91人と、
感染状況が最も深刻な「ステージ4」の目安の25人を超えていて、
▼神奈川県で16.39人、
▼千葉県で15.85人と、
「ステージ3」の目安の15人を超えています。
全国では8.99人となっています。

脇田座長「早めに感染拡大抑制する対策必要」

厚生労働省の専門家会合のあと会見をした脇田隆字座長は「首都圏では新規感染者数の増加が続いていて、特に東京都では感染者数が急増している。東京では40代、50代の入院者数や重症者数の増加が目立ち、40代、50代の重症者数はすでに第4波を超えている。きょうの会合では、東京で感染者数が増加すると入院病床のひっ迫が起こるというシミュレーション結果も示され、医療提供体制がひっ迫する前に、早めに感染拡大を抑制する対策が必要だという議論があった」と話していました。

そして「これから4連休、夏休み、お盆などがあり、県境を越えるような移動も活発になってくる。感染拡大につながるような、ふだん会わない人と会うことが増える。どういった対策を求めていくのか、速やかに発信していくことが必要だ」と話していました。

田村厚労相「厳しい対応していかざるをえない状況」

田村厚生労働大臣は、専門家会合の冒頭「新規感染者の数は全国的に増加傾向に入っている。東京では50歳代以下を中心に入院者や重症者の数が増えていて、沖縄は病床使用率が減少傾向だが、まだ若干高い状況だ」と述べました。

また、首都圏の状況について「今までの傾向では、首都圏で感染者が増えると、その後、全国に波及していく。注意していかなくてはならない」と指摘しました。

そのうえで、今月11日に期限を迎える、まん延防止等重点措置などの扱いについて「期限が近づいてきているが、東京の状況などをみると、厳しい対応をしていかざるをえない状況だ」と述べました。

さらに「ある繁華街では、午後9時や10時でも飲食店の3割から5割が開いているところもある。どのようにルールにのっとって協力をお願いし、実効性のある対応をしていくか、考えていかなければならない」と述べました。