尾身会長 五輪・パラなどで感染拡大懸念 “効果的対策を”

首都圏で新型コロナウイルスの感染拡大の傾向がみられることについて、政府の分科会の尾身会長は、東京オリンピック・パラリンピックや夏休みなどにより、他の地域に感染を拡大させる懸念があるとして、効果的な対策を講じる必要があると強調しました。

7日開かれた衆議院厚生労働委員会の閉会中審査で、政府の分科会の尾身会長は、東京の感染状況について「『デルタ株』への置き換わりがかなり進行していて、若い年代や中年層にも感染が拡大している兆候がすでにみられている。中年層の重症者が増えると、医療のひっ迫が起こることがありえる」と指摘しました。

そのうえで「7月から9月にかけては、日本のコロナ対策の取り組みの中でも最も重要な時期の1つだと思う。これから夏休みやお盆、さらにオリンピック・パラリンピックがあり、首都圏での感染が拡大している中、それが他の地域に感染を拡大させる懸念がある」と述べ、効果的な対策を講じる必要があると強調しました。

また、東京オリンピックの観客について、尾身会長は「私どもは前から、無観客が望ましいと申し上げている。大会関係者の人を一部入れる必要もあると思うが、なるべく最小限にすることが、矛盾したメッセージを出さないために非常に重要だ」と述べました。

一方、ワクチンの職域接種をめぐり、山本厚生労働副大臣は、今の時点で申請が承認されていない会場では、来月9日の週以降に接種を開始できるよう手続きを進める考えを示しました。

日本医師会中川会長「五輪前に強い措置とらざるをえない懸念」

日本医師会の中川会長は、記者会見で「首都圏の1都3県では新規感染者数の増加傾向が顕著で、特に東京では感染者が急増する懸念がある。このままでは、まん延防止等重点措置の延長はもとより、オリンピックの開催より前に緊急事態宣言の発令という強い措置をとらざるをえない懸念があり、引き続き感染防止対策の徹底が必要だ」と述べました。