社会

「デルタ株」“置き換わり進み 拡大の兆候…” 世界でも猛威

「感染の再拡大が強く懸念される」
厚生労働省の専門家会合は首都圏の感染状況をこう指摘し、特に東京都は感染者の増加傾向が顕著になっています。
その一つの要因とされるのが変異ウイルスです。都内では6日「デルタ株」などインドで確認された「L452R」の変異があるウイルスへの感染確認が過去最多の94人でした。
政府の分科会の尾身会長は「『デルタ株』への置き換わりが進行し、若い世代や中年層にも拡大している兆候が見られている」と指摘し、強い危機感を示しています。

「デルタ株」全国で計304人の感染確認

厚生労働省は自治体と連携して新型コロナウイルスの感染者の一部の検体を抽出し、遺伝子を解析して変異ウイルスの広がりを調べています。

それによりますと、5日までの1週間(6月29日~7月5日)に全国で合わせて80人がインドで見つかった変異ウイルスの「デルタ株」に感染していたことが分かったということです。

前の1週間に報告された人数(6月22日~28日・71人)を9人、率にして12%上回っています。
これまでに感染が確認されたのは、全国20の都府県で合わせて304人となっています。その内訳です。

▽東京都が61人
▽千葉県が48人
▽神奈川県が41人
▽大阪府が31人
▽愛知県が27人
▽兵庫県が24人
▽静岡県が17人
▽埼玉県が16人
▽群馬県が10人
▽広島県が8人
▽鹿児島県が4人
▽京都府、奈良県、沖縄県が3人
▽茨城県、三重県が2人
▽新潟県、長野県、岐阜県、香川県がそれぞれ1人

厚生労働省は、自治体からまだ報告が上がっていない可能性もあり、自治体が公表した人数とは異なる場合があるとしています。

尾身会長「9月にかけては最も重要な時期の1つ」

「デルタ株」など変異ウイルスは、首都圏での感染再拡大の要因の一つと指摘され、政府の分科会の尾身会長は7日、強い危機感を示しました。

尾身会長は衆議院厚生労働委員会の閉会中審査で、東京の感染状況について「『デルタ株』への置き換わりがかなり進行していて、若い年代や中年層にも感染が拡大している兆候がすでに見られている。中年層の重症者が増えると、医療のひっ迫が起こることがあり得る」と指摘しました。

そのうえで「7月から9月にかけては日本のコロナ対策の取り組みの中でも最も重要な時期の1つだと思う。これから夏休みやお盆、さらにオリンピック・パラリンピックがあり、首都圏での感染が拡大している中、それが他の地域に感染を拡大させる懸念がある」と述べ、効果的な対策を講じる必要があると強調しました。
また、厚生労働省の専門家会合も首都圏の感染状況について「感染の再拡大が強く懸念される」としたうえで、「デルタ株」のクラスターが複数発生する中、今後、置き換わりが進むとして注視する必要があると指摘しました。

「デルタ株」 104の国・地域で報告

「デルタ株」の感染は世界でも拡大しています。WHO=世界保健機関の報告書によりますと、今月6日の時点で「デルタ株」の報告があった国や地域の数は前の週に比べて7増え、104になったということです。

WHOは、ことし4月以降この変異ウイルスが報告された国や地域の数を公表していて、4月27日の時点ではインドやアメリカなど少なくとも17の国だったのが、およそ1か月後の5月末には60の国や地域に増え、さらに1か月後の先月末には96の国や地域に拡大していました。

このほかの変異ウイルスも…

このほかの変異ウイルスは、
▽イギリスで確認された変異ウイルス「アルファ株」の報告があった国や地域は前の週から1増えて173
▽南アフリカで確認された「ベータ株」の報告があった国や地域は前の週から3増えて122
▽ブラジルで確認された「ガンマ株」の報告があった国や地域は前の週から2増えて74となっています。

報告書では、世界全体の新規の感染者の数が2週連続で増加しており、感染拡大が続く変異ウイルスの状況について監視を続ける必要があるとしています。

感染深刻 インドネシアでは…

「デルタ株」が猛威を振るっている1つがインドネシアです。「デルタ株」の広がりなどから、インドネシアでは7日、新たに確認された感染者は3万4379人で死者も1000人を超えました。現地在住の日本人も亡くなっています。
2002年から首都ジャカルタで生活し、日本人向けの生活情報誌の編集長をしている中野千恵子さんは「6月下旬から急激に感染者が増える中で、私が知っている方も残念ながら亡くなってしまった。日本人は栄養状態もよく、感染対策にかなり気を遣っている人が多い。それでも感染して亡くなってしまうのを見て、自分自身どんな対策をとったらいいのか不安を感じる」と話しています。

また、今月3日からジャカルタで行われている大幅な行動制限について「ここまでいろんな通りが封鎖される状況は19年間で初めてだ。事態の異常さを感じる」と話しています。

ショッピングモールは休業しているもののスーパーマーケットは営業していて、商品が不足したり混乱したりしている様子はないということです。

感染が拡大する中で外国人向けのワクチン接種などの情報については「インドネシアでは情報が混乱しやすく変更も多い。正しい情報がなかなか入手できないのは不安だ」と話していました。

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