熱海 土石流 死者7人 安否不明者27人に

7月3日に静岡県熱海市で起きた土石流は発生から4日目となり、警察や自衛隊などが捜索や救助を急いでいます。市によりますと6日、新たに3人の死亡が確認され、土石流による死者は合わせて7人となりました。安否不明者はこれまでに27人にのぼっていて市や県などはほかにも安否不明者がいないか確認を進めています。

熱海市の伊豆山地区で7月3日の午前10時半ごろに起きた土石流では120棟余りの住宅が被害を受け、女性4人の死亡が確認されています。

発生から4日目となり、警察や消防、自衛隊が捜索や救助活動を急いでいますが、市によりますと6日、男性1人と女性2人の合わせて3人の死亡が新たに確認されました。これで土石流による死者は合わせて7人となりました。

また、市は亡くなった7人のうち新たに小磯尚子さん(61)の身元が確認されたと発表しました。

一方、依然としてどれくらいの人が被害にあったのかわかっておらず、熱海市は市が把握している安否不明者が22人になったことを明らかにしました。

これとは別に、静岡県は住民から警察に寄せられた情報などをもとに、5人の安否不明者を公表していて現時点で安否不明者は合わせて27人となりました。

市や県などはほかにも安否不明者がいないか確認を進めています。

県は心当たりのある人は熱海市役所災害対策本部、0557-86-6443まで連絡してほしいとしていて、情報収集とともに安否の確認を急いでいます。

氏名公表も無事の男性「所在確認できるよう支え合いたい」

土石流が起きた熱海市の伊豆山地区で、安否不明者として5日夜、静岡県が氏名を公表した1人、石井裕隆さん(36)は自分の名前が公表されたことを知り、5日、市に無事であることを連絡しました。

熱海商工会議所で観光業者の経営をサポートしている石井さんは6月25日、東京オリンピックの聖火リレーのランナーとして、新型コロナウイルスの影響で主力の観光業が大きく落ち込んだ熱海市に元気を届けたいとコースを駆け抜けました。

しかし7月3日、石井さんの住む伊豆山地区は土石流で多数の住宅が流され、大きな被害を受けました。

石井さんは3日の午前、市内の旅館で聖火リレーのトーチを展示してもらうため自宅を離れていました。

外出から戻ると石井さんの自宅の周りが土砂に飲み込まれていたため、そのまま避難し、5日まで妻の実家に滞在していたということで、自宅はその後、土砂に埋まってしまったということです。

そして5日夜、県が公表したこの地区の安否不明者の名簿に自分の名前が載っていると知人から連絡を受け、すぐに市に連絡をしたということです。

石井さんは「今後は、町内会の交流を密にするなどして早期に所在が確認できるよう近隣の人と支え合いたいと思います。今は救助活動が最優先ですが、聖火リレーの経験も踏まえて市の復興に向けて取り組んでいきたい」と話していました。

国土地理院 最新の航空写真を公開

熱海市で発生した土石流について国土地理院は6日、現場の最新の航空写真を公開しました。その結果、土砂がおよそ2キロにわたり海岸線まで流れ下るなど今回の土石流の全体像が見えてきました。

国土地理院は6日午前10時前、土石流の現場を航空機を使って撮影しました。

それによりますと、土石流は発生したとみられる場所から1キロほどは細い状態で流れ下り、下流の住宅地付近に達すると水平方向に広がっている様子が確認できます。
国土地理院がこの写真をもとに分析した結果、土石流の範囲は
▽海岸線までの長さがおよそ2キロで
▽幅が広いところでおよそ160メートルにわたっていることがわかりました。

国土地理院では「上空からの写真により、今回の土石流の全体像が見えてきた。今後の復旧活動や災害対策に役立ててほしい」と話しています。

この航空写真は国土地理院のホームページから見ることができます。

盛り土があった土地の所有者“危険性認識せず”

今回の土石流の最も上流側の崩れた盛り土があった土地の登記簿によりますと、平成18年の時点では小田原市の不動産業者が所有していましたが、平成23年に熱海市の男性に権利が移っています。
男性の代理人の河合弘之弁護士が取材に応じ「男性は平成23年に、崩れた盛り土の場所を含むおよそ40万坪の土地を購入した。崩れた場所については、傾斜で段になった畑だと認識していたものの、盛り土があることは説明もなかったし、全く知らなかった。買ったあと、廃車が埋まっていると熱海市から言われて取り除いた。男性に責任はないと思う」と話しました。

購入したいきさつについては「男性は事業家で、土地の購入を持ちかけられる。いい物件だと思えば、目的を決めないでとりあえず買って、いい事業が思いついたら行う。崩れた土地については、社員研修で800本の木を植えたと聞いてはいるが、特定の目的はなかった。購入を持ちかけた人物や前の所有者とは連絡が取れない状態だ」と説明しています。

また、結果的に所有している土地が崩れたことについては「実質的な管理は、地元の会社の社員がちゃんとしていたと思うが、男性は『びっくりだ』、『残念だ』と話していて、法的な責任はないと思う。ただ、二次災害が起きないように県や市の指導を受けながら適切な処置をしなければいけないと考えている」と話していました。

盛り土規制 県の条例では…

静岡県によりますと、土の採取や盛り土を規制する県の条例では、事業者側から盛り土を行う計画の届け出があれば内容にかかわらず受理することになっています。

ただし、条例では「崩壊や流出などによる災害が発生するおそれがある場合は、知事や市町長が計画の変更を勧告できる」と定められています。

届け出は
▽1ヘクタール以上の盛り土は県へ
▽1ヘクタール未満の盛り土については市や町が受け付けます。

県は計画の届け出書で事業者側が記した盛り土の流出対策に不備があると判断すれば、届け出を受理せずに対策の再検討を求める実質的な審査を行っているということです。

一方、市に届け出があった場合にどのように対応するかは市の判断に委ねられるということです。今回崩れた盛り土について、熱海市は届け出のいきさつも含めて調べています。

菅首相“捜索・救出 生活再建の支援に全力”

棚橋防災担当大臣は6日、土石流が起きた熱海市を視察したあと総理大臣官邸を訪れ、現地の状況などについて菅総理大臣に報告しました。

このあと棚橋大臣は記者団に対し、菅総理大臣から安否不明者の捜索と救出や、生活再建の支援に全力を挙げて取り組むよう指示を受けたことを明らかにしました。

そのうえで「熱海市長などからは、ライフラインとしては特に水道と道路の復旧が緊急の課題だと要請があり、菅総理大臣から最大限ライフラインの確保に努力するよう指示をいただいた」と述べました。

加藤官房長官「少ない雨量でも警戒を」

加藤官房長官は午後の記者会見で「土砂災害警戒区域や河川の氾濫により浸水が想定される区域にお住まいの皆さんには警戒をしていただく必要がある。被災地を含む静岡県伊豆では、これまでの雨で地盤が緩んでいるところもあり、少ない雨量でも土砂災害の発生のおそれもあるので厳重な警戒をしていただきたい」と述べました。

そして「熱海の土石流は直前の大量の降雨のみでなく、長時間にわたって降り続いた累積の雨量が原因となったと考えられ、被害がすでに発生している地域はもちろん被害が発生していなくても大雨に関する警報が出されている地域にお住まいの方は、自治体からの避難情報や気象情報に十分注意し、早め早めにみずからの命を守る行動をとっていただきたい」と呼びかけました。

熱海市長「市も全力で検証していきたい」

静岡県熱海市の斉藤栄市長は6日夜の会見で、土石流の最も上流部で崩れた盛り土について、「盛り土がされた経緯は10年以上前の話になる。現在、緊急事態であり十分に精査されていないが私は本件は大変重要だと考えている。川勝知事もしっかり検証すると言っているので、市も全力で検証していきたい」と述べました。