コロナ感染拡大のインドネシア 在住日本人が10日間で5人死亡

新型コロナウイルスの感染状況が悪化しているインドネシアで、5日までの10日間に現地在住の日本人5人が相次いで感染して亡くなっていたことが分かりました。

インドネシアではインドで確認された変異ウイルス「デルタ株」が広がるなどして6日、新たに3万1189人の感染が確認され、728人が死亡し、いずれも過去最多となりました。

新型コロナウイルスの感染者の治療のための病床はインドネシア全体で75%、首都ジャカルタでは94%まで埋まり、医療体制がひっ迫しています。

ジャカルタにある日本大使館によりますと、6月26日から7月5日までの10日間で現地在住の日本人5人が相次いで感染して亡くなっていたことが分かりました。

亡くなったのは、日系企業の駐在員や現地で長く生活している人たちで、40代の人も含まれているということです。

日本大使館が初めて現地在住の日本人の死亡を確認した去年12月以降では、この5人を含めて合わせて10人が死亡しています。

邦人看護師「先手打つべきだった」

インドネシアで日系企業の駐在員とその家族の医療支援をしている看護師の久津沢りかさんは、6月11日ごろから感染者の入院が難しくなり、危機感を強めていたといいます。首都ジャカルタの病院には近隣の州からも患者が搬送され、病床がひっ迫しているということです。

久津沢さんは「PCR検査で陽性となった場合、本来ならば病院で胸部のCT検査や血液検査をして初期評価をする必要があるが、いまはできる状態にない。具合が悪い人でも自宅で待機しなければならず、入院できずに亡くなっている人もいる。これだけ感染者が一気に増えると病院は対応できない」と話しています。

感染拡大を受けてインドネシア政府は6月中旬から段階的に経済活動や市民活動を制限してきましたが、感染状況が深刻なジャカルタで大幅に規制が強化されたのは7月3日になってからでした。

久津沢さんは「インドネシアはインドの感染拡大から学び、先手を打つべきだった」と指摘しました。

そして現地の日系企業に対して「ほかの日系企業の動向にあわせて動くのではなく、さらに状況が悪化したときに、すぐに帰国できる態勢を整えるなど、自社としての対応を考える必要がある」と呼びかけています。