熱海 土石流 安否不明者29人に 人命救助に重要な72時間経過

今月3日に静岡県熱海市で起きた土石流は人命救助にとって重要とされる発生からの72時間がすぎ、警察や自衛隊などは捜索や救助を急いでいます。県は6日午後、住民から警察に寄せられた情報などをもとに新たに5人の安否不明者を公表し、これまで熱海市などが発表した安否不明者と合わせると29人となりました。

熱海市の伊豆山地区で今月3日の午前10時半ごろに起きた土石流ではおよそ130棟の建物が流され、女性4人の死亡が確認されています。

災害で生存率が急激に下がるとされる発生からの72時間がすぎ、警察や消防、自衛隊が捜索や救助活動を急いでいます。

ただ、依然としてどれくらいの人が被害にあったのかわかっておらず、県と市は住民基本台帳をもとに被害を受けた地域に住んでいたとみられる人の所在の確認を進め、これまでに安否不明者24人の名簿を公表していました。

さらに6日午後、県は住民から警察に寄せられた情報などをもとに新たに5人の安否不明者を公表しました。

これまで市などが発表した安否不明者と合わせると29人になります。

県は心当たりのある人は熱海市役所災害対策本部、0557-86-6443まで連絡してほしいとしていて、情報収集とともに安否の確認を急いでいます。

断水長期化で体調悪化懸念

土石流が起きた熱海市伊豆山では6日も断水が続いていて、自宅に残る高齢者も多い中、長期化による体調への影響に懸念が出ています。

熱海市の伊豆山では6日午前9時時点で全域で断水が続いているほか、一部の住宅ではガスも使えない状況が続いています。

地区の仲道公民館の前に設けられた給水所には、6日朝も自宅に残っている高齢者などが訪れ水を受け取っていました。

80代の女性は「お風呂に入れないのが困ります」と話していたほか、別の高齢の女性は「水が出ないので困っています。冷凍していたごはんを食べて、何とか過ごしています」と話していました。

町内会によりますと地域には自宅に残っている高齢者も多いものの、すべての家の見回りをすることは難しく、長期化で体調に影響が出ないか懸念しているということです。

仲道町内会の高橋照幸副会長は「断水のため、お風呂やトイレを使えない状況が続いています。いつ解消されるのか分からないのが不安です」と話していました。

土石流発生の上流部をドローンで調査 国交省

現場の上流部では、国土交通省の緊急災害対策派遣隊=TEC-FORCEがドローンを使って上空から現場周辺を撮影し、土石流が発生した状況などを詳しく調査しています。

国土交通省中部地方整備局は熱海市で土石流が発生した今月3日から専門家などおよそ30人の隊員で構成する「TECーFORCE」を現地に派遣していて、大規模な土石流の発生の起点となった可能性がある上流部周辺でドローンを使って上空から撮影し、調査を行っています。

6日も土石流が発生したとみられる上流部を見下ろせる場所で調査が行われ、隊員たちはドローンを飛ばし、上流部の断面などを上空から詳しく撮影していました。

ドローンを使った調査は当面続けられ、土砂の崩れ方を映像をもとに詳しく調べるほか、調査に立ち入ることができる場所がないかなどの分析も行うということです。

ドローンを使った調査を担当する国土交通省中部地方整備局の奥山剛さんは「ドローンを使うことで、目視できない場所の撮影を行うことができました。県や自衛隊などが、作業を続ける中、2次被害が出ないようドローンを使った調査もいかし全体像を把握して現場の変化を注視していきたい」と話していました。

気象庁“今夜からあすは雨 熱中症にも注意”

気象庁は、熱海市を含む伊豆地方の今後の気象の見通しについて説明しました。

大気の状態が不安定になっていて、6日夜からはところによって雷を伴う雨が降るほか、7日は局地的に激しい雨が降るおそれがあるとしています。

また、6日と7日は日中の最高気温が30度近くまで上がる見込みだということです。

気象庁は「熱海市などでは少ない雨量でも土砂災害などの危険度が高まるおそれがあり、最新の気象情報に留意してほしい。蒸し暑い状況も続くため熱中症などにも十分注意してほしい」と話しています。

気象庁 臨時の観測所設置 あすから観測開始

気象庁は、熱海市伊豆山で復旧作業などに活用してもらおうと、臨時の気象観測所を設け7日から観測を開始します。

気象庁によりますと、土石流が発生した熱海市伊豆山では今後の復旧作業などで詳細な気象に関する情報が必要になるとみられることから、臨時の気象観測所を設置することになったということです。

気象庁は、伊豆山の小学校の校庭に雨量計や温度計などを設置し、7日午後4時から降水量と気温、風向・風速の観測を開始することになりました。

現地で観測したデータは衛星通信によってリアルタイムで送られ、気象庁のホームページで確認することができるということです。

気象庁は「現地で作業に当たる人は降水量や気温のデータをホームページで確認してもらい、土砂災害への備えや熱中症対策を進めてもらいたい」としています。

加藤官房長官 「警察など安否確認 人数を精査」

加藤官房長官は閣議のあとの記者会見で、6日朝の段階で24人の安否確認を続けているとしたうえで「これ以外の方についても警察などの関係機関で安否確認を行っている方がおり、現在、その数などについては精査がなされている」と述べました。

そのうえで「これまでの雨で地盤が緩んでいる所もあり、少しの雨でも災害が起きるおそれがあるので、地域の皆さんには厳重な警戒をしていただきたい。政府においても2次災害に注意しつつ、引き続き救命救助活動や安否不明者の捜索、被災者の支援に全力を尽くしていく」と述べました。

赤羽国土交通相 「人命救助を最優先に」

赤羽国土交通大臣は閣議のあとの記者会見で「引き続き被災自治体の支援ニーズの収集にあたるとともに、自治体などの関係機関と連携を密にしながら、人命救助を最優先に対応していく」と述べました。

また、崩れた斜面で盛り土が行われていたことについては、静岡県が土石流との関連を調査をしているとしたうえで「関係省庁と全国の盛り土自体の総点検をする方向で考えていかなければいけないと問題意識を持っている。今回と同様の場所があるかないかも含めてしっかりと対応していかなければならない」と述べました。

岸防衛相「人命救助に全力」

岸防衛大臣は閣議のあとの記者会見で、陸上自衛隊と航空自衛隊合わせて980人の態勢で現場の救助活動などを進めているとしたうえで「土石流による被害を受けた地区の住民の安否を自治体が確認している状況であり、引き続き関係省庁や自治体と密接に連携し、安否不明の方々に対する人命救助に全力をあげて対応する」と述べました。

野上農相“被害状況の確認進める”

野上農林水産大臣は6日の閣議のあとの記者会見で、ドローンなどを活用して被害状況の確認を進めたうえで、被害が拡大するおそれがないか調べる考えを示しました。

この中で野上農林水産大臣は、熱海市で起きた土石流について「県の調査に協力し、これまでに林野庁の災害担当官を派遣した。きょうもドローンによる調査を実施する予定だ」と述べ、上空から被害状況の確認を進めたうえで被害が拡大するおそれがないか調べる考えを示しました。

そのうえで、今回の大雨で各地で被害が出ていることを踏まえ「状況を速やかに把握し、農林水産業の影響を最小限にするようにしたい」と述べ、被災した自治体と連携を強めながら必要な対応にあたる姿勢を強調しました。