接種後 発熱2日以上続く人は受診を 新型コロナ症状の可能性も

新型コロナウイルスのワクチン接種が進む中、厚生労働省は、接種のあと発熱が2日以上続く人などは、副反応でなく、新型コロナウイルスによる症状の可能性もあるとして、医療機関の受診を呼びかけています。

発熱や頭痛などの副反応はワクチン接種の翌日に最も出やすく、厚生労働省の研究班によりますと、1回目の接種の翌日には
▽ファイザーのワクチンで2%、
▽モデルナで4%の人に
37度5分以上の発熱が確認されています。

一方、新型コロナウイルスの症状と見分けるのが難しく、感染している人がワクチンの副反応と思い込んで、検査を受けるのを控えてしまうおそれがあるということです。

このため厚生労働省は、
▽接種後も発熱が2日以上続く場合に加え
▽せきや息切れなどがあったり、
▽においや味を感じなくなったりした場合などは、
新型コロナウイルスに感染している可能性もあるとして医療機関を受診するよう呼びかけています。

また、医療機関に対しても、接種後に発熱が続いている患者などが受診した場合は、検査を行うか、検査機関を紹介するよう求めています。

医師でも副反応か新型コロナの症状か 判断がつかない場合も

感染症の知識がある医師でも、ワクチンの副反応か、新型コロナウイルスの症状か、判断がつかないこともあります。

救急医療や災害医療に詳しい国立病院機構本部の小早川義貴医師は、ことし5月28日の夕方に福島県で1回目のワクチン接種を受けました。

その日の夜に38度を超える熱が出て、翌日(29日)は38度7分、翌々日(30日)には39度2分にまで上がりました。
災害派遣医療チーム「DMAT」の一員として横浜港の「ダイヤモンド・プリンセス」や長崎港の「コスタ・アトランチカ」など、クルーズ船の集団感染の対応にもあたった小早川医師。

接種を受ける数日前まで、北海道で新型コロナウイルスの感染者の健康管理に当たっていたことから、その時に感染した可能性があるとも考えました。

医療機関を受診するか迷いましたが、発熱以外には目立った症状がなかったため、様子を見ることにしたということです。

小早川医師は当時の症状について、「ちょっと『のどが痛いかな』というくらいで、忙しく仕事をしていればそういうこともあるので、なかなか分かりませんでした」と振り返っています。

しかし、接種の3日後(31日)になっても熱は39度3分と下がらず、すぐに医療機関で検査を受けることにしました。

その結果、新型コロナウイルスへの感染が確認されたということです。

その日に入院しましたが、3日後には肺炎が悪化して酸素吸入を受けました。

投薬治療などを受けて容体は回復しましたが、合わせて13日間(~15日)入院したということです。

一方、家族も検査を受けましたが、全員が陰性でした。

小早川医師は、発熱後、念のため、家族とは別々に食事をとるなど接触を避けていましたが、対策を取っていなければ、家庭内で感染が広がるおそれもあったと考えています。

小早川医師は「ワクチン接種による発熱は2日でおさまることが多いと知っていたので、3日目に医療機関を受診しましたが、症状だけでは副作用か新型コロナウイルス感染症かを見分けるのは無理だと思います。受診が遅くなれば治療のタイミングを逃すことがあるので、体調が悪い場合は自分で判断せずに、医療機関を受診したほうがいいと思います」と話しています。