静岡 熱海で土石流 2人死亡 計10人救助 安否不明は約20人か

静岡県熱海市の伊豆山地区で発生した土石流で、これまでに2人の死亡が確認され安否不明者は正確には確認できていないものの、およそ20人いるとみられています。また、これまでに10人が救助されていて、警察や消防などが救助活動を続けています。

3日10時半ごろ静岡県熱海市伊豆山地区の逢初川で土石流が発生しました。

土石流は逢初川を海までおよそ2キロにわたって流れ出たとみられていて、複数の住宅が流され、女性2人の死亡が確認されました。

県や市によりますと、安否がわからない人はおよそ20人いるということですが、正確な数は確認できないということです。

また、熱海市によりますと、住宅に取り残されていた人など6人が、午後9時40分までに救助され、これで、これまでに救助された人は合わせて10人となりました。

警察や消防などがさらに救助活動を続けています。

また、熱海市は市内に11の避難所を開設して午後9時現在、合わせて264人が避難しています。

静岡県知事「総力あげて応急活動に取り組む」

静岡県熱海市で発生した土石流を受けて、静岡県の川勝知事は「総力をあげて応急活動に取り組む」と述べ、関係機関と連携して被害情報の収集や救助活動に全力で取り組む考えを示しました。

静岡県の川勝知事は3日夕方、記者会見を開き、熱海市の伊豆山地区で発生した土石流について、「およそ20人の安否がわからなくなっているという情報が入っている。避難をしている人も多く、心からお見舞い申し上げる」と述べました。

そのうえで「自衛隊に出動を要請し、消防や警察とも連携して情報収集にあたっている。総力をあげて災害応急活動に取り組む」と述べ、関係機関と連携して被害情報の収集や救助活動に全力で取り組む考えを示しました。

また、川勝知事は「今後さらに雨が降ることも予想されるが、すでに地盤が緩んでいるところがある。危ないところからは避難所などに避難し、自治体の情報に注意して安全の確保に万全を期してほしい」と呼びかけました。

2人が病院に搬送

現場からおよそ3キロ離れた熱海市昭和町にある「熱海所記念病院」によりますと、今回の土石流でけがをしたとみられる2人が、救急車で病院に搬送されて治療を受けているということです。

2人の性別や年代などは「明らかにできない」としています。

病院にはほかにも患者の受け入れができるかどうか問い合わせがあり、対応を検討しているということです。

警察「住宅10棟が流される」

警察によりますと、土石流の被害があった逢初川流域で、少なくとも住宅10棟が流されたことを確認したということです。

警視庁は3日午後6時ごろ、広域緊急援助隊としておよそ170人を現地に派遣しました。
警察犬も活用し、安否が分からなくなっている人たちの捜索などにあたる予定だということです。

緊急安全確保 静岡 熱海市内全域2万957世帯に

静岡県熱海市は土砂災害が発生するおそれが極めて高まったとして、これまでに市内全域の2万957世帯の3万5602人に、「緊急安全確保」を出しています。
警戒レベルで最も高いレベル5で、近くの建物や自宅の上の階、斜面から離れた場所など周囲の状況を確認し、少しでも安全な場所で命が助かる可能性の高い行動を取るよう呼びかけています。

静岡県内の停電ほぼ解消 JR伊東線は全線運転見合わせ

東京電力によりますと、大雨の影響で静岡県内では一時、およそ3000戸が停電しましたが、午後6時半すぎに一部を除いて復旧したということです。

また、JR東日本によりますと、JR東海道線は大雨のため、神奈川県の小田原駅と静岡県の熱海駅の間で、3日は終日、運転を見合わせるということです。また、JR伊東線も大雨で線路下の斜面が崩れた影響で、3日は終日、全線で運転を見合わせるということです。

東京農工大学 石川芳治名誉教授「また発生も」

土砂災害に詳しい東京農工大学の石川芳治名誉教授は、「映像からは土石流が発生しているように見える。熱海市周辺は勾配が急な山があり、水を含んで流れやすい火山性の地質が多く土石流が起きてもおかしくない。一度土石流が起きたところでも崩れた土砂がまた水をためて崩れたり、ほかの場所でも水分が地中にしみこむまでに時間がかかったりするので、雨が弱まっても土砂災害の危険性はすぐに下がらない。映像からは土砂が時速数十キロの速さで下っているように見える。土石流などが起きてからでは逃げるのは難しい。土砂災害の危険度が高い地域では避難指示などが続いている間は土砂災害警戒区域から離れてほしい」としています。

静岡大学防災総合センター 北村晃寿教授「ほかの場所でも危険」

被害があった現場の調査に訪れた静岡大学防災総合センターの北村晃寿 教授は「このあたりは火山岩の地盤で、長年の雨で削られた谷にたまった岩石が、大量の水分を含んで流れ出したことが原因と思われる」と指摘しました。

そのうえで「熱海は、非常に海岸に迫っている急勾配な地形で、谷沿いは特に土石流が起きやすい危険な場所だ。同じような岩石は伊豆半島全体にあり、きょう土石流が起きた場所以外でも、同じようなことが起きてもおかしくないので、雨が続けばしばらく危険な状態が続く」と話していました。

“10回以上、土石流のようなものが”

熱海市伊豆山にある寺院の住職は「10回以上、土石流のようなものが襲ってきた。外に出るとすでに土砂が道路を覆っていて、消防が付近の人に避難を促している最中にすごい音がして土石流が流れてくるのが見えたので、走って高台に避難しました。戻ってみると、寺院の前にあった家も車も流されていました。大きな木や壊れた家のものとみられるものががれきになって流れていました」と話しています。

また土砂崩れのあった静岡県熱海市伊豆山地区で釣り具店を営む70歳の男性は、「昨夜から大雨だったが、昼前になって土砂によってすごい勢いで住宅5棟くらいが流されていくのを見た。ゴーゴーという大きな音がして住宅を飲み込み、真っ黒な土砂であっというまに住宅がバラバラになった。こんなことが起きるとは思っておらず驚いている」と話していました。

また伊豆山神社にいる男性は「神社の西側で土砂崩れが起き、けたたましい音がしていた。家も電柱も多くが流されているのが見えた。町内の公民館に多くの人が避難し、いっぱいで中に入れない状況になっていた。土石流が家を直撃したという人も避難していた。あたり一帯では断水と停電が起きている」と話していました。

土石流を目撃したという近所に住む70代の男性は「熱海ではきのうからかなりの雨が降っていたが、そんなにすごい雨だとは思わなかった」と話しました。

土石流の状況については「土石流が起きたのは雨が落ち着いたあとだった。川から異常な音が聞こえて外に出てみるとものすごいスピードで流れる土砂を見た。波の上に建物が乗っているようだった」と振り返りました。

そして男性は「自宅から100メートルほどの場所まで土砂が流れてきて恐怖を感じた。生まれたときから70年以上この土地に住んでいるが大きな災害は今まで一度もなかったのでびっくりしている」と話していました。

1キロ離れたホテル「昨夜 高齢者に避難呼びかける無線」

静岡県熱海市で土石流があった現場から1キロほど離れた場所にあるホテルの30代の従業員の男性は、「土砂災害があった地域は高台になっていて海が一望できリゾートマンションや住宅が建ち並ぶ地域です。2日夜になってから、高齢者に避難を呼びかけるような無線が聞こえていました。高齢者が多い地域なのできのうから早めの避難をしていた人もいた様子でした。ホテルでは土石流があったけさ10時半すぎごろに停電が2回ありました。土石流で東京方面への道が分断され車で向かうことができない状況ですが、幸いきのうは車で来たお客さんはおらず、皆さん新幹線で帰りました」と話していました。

消防団の話

土砂災害があった地区の住民で、救助にあたった消防団の40代の男性は「土砂で巨大な石がたくさん流されてきました。この地区は古い木造の住宅が多く、自分が避難している最中にも流れてきた土砂で家がバラバラになっていました。自分と家族、周辺の人を避難させましたが人手が全く足りません。土砂災害は初めての経験で、手も足も出ませんでした。消防や自衛隊が救助活動にあたっているので、できるかぎり支援したい」と話していました。

土石流とは

土石流は、大雨で崩れた土や石が、水と一体となって一気に流れ下る現象です。

流れ下る速度は数十キロと自動車並みに速く、土石流が発生してからでは避難するのが難しい現象です。
土石流は、勾配の急な川や谷があるところ、谷の出口にある扇状地と呼ばれる場所で起こります。
また、火山灰が堆積した地質の場所でも発生するおそれがあります。

土石流は一度発生すると、繰り返し発生することがあるため、警戒が必要です。

伊豆山地区の住民が避難

静岡県熱海市にあるMOA美術館によりますと、伊豆山地区の住民14人が、地区内で土砂崩れが発生したとして、午前11時ごろから館内の部屋に避難しているということです。

美術館の男性職員は「避難している人にけが人はいませんが、大規模な土砂崩れだということで、動揺している様子でした」と話していました。

熱海市網代 平年の7月1か月上回る雨量

静岡地方気象台によりますと、熱海市で土石流が発生した場所からおよそ10キロ離れた熱海市網代の観測地点では、先月30日午後6時の降り始めから3日正午までに389ミリの雨が観測されました。
これは平年の7月、1か月の雨量、242.5ミリの1.6倍にあたります。

熱海市網代ではその後も1時間に数ミリの雨が観測されています。
気象台によりますと、熱海市を含む県内では、3日夜日付が変わるころから雨が再び降り始めて、4日朝に雨足が強まり、午前中は降り続く見通しだということです。

発生場所は「土石流危険渓流」

ツイッターに投稿された複数の土石流の映像はいずれも熱海市伊豆山地区の東西およそ500メートルの範囲で撮影されていました。

映っていた建物などから方角や場所を分析したところ、土石流が発生したのは相模湾に面した背後に山地がある険しい地形の地区で、住宅が数十軒密集し、ホテルや旅館なども点在しています。

JR熱海駅から北北東におよそ1キロの場所にあり、この地区の海側にはJR東海道本線と東海道新幹線の線路もあります。

土石流は「熱海ビーチライン」付近まで達しているとみられます。

撮影された範囲は標高が最も高いところから低いところまでの距離で、およそ600メートルにおよんでいます。

国土交通省が公開しているハザードマップによりますと今回発生した土石流は「土石流危険渓流」に重なるように起きたとみられます。

土石流危険渓流は土石流が発生するおそれがあり、住宅等に被害を与えるおそれがある渓流で、都道府県が指定しています。