新型コロナ 全国の新規感染者数 増加に転じる 首都圏で顕著に

新型コロナウイルスの新規感染者数を1週間平均で比較すると、全国の新規感染者数は横ばいから増加に転じ、東京都など首都圏では増加の傾向が顕著になってきていて、感染の再拡大が強く懸念される状況になっています。

NHKは各地の自治体で発表された感染者数を元に、1週間平均での新規感染者数の傾向について前の週と比較してまとめました。

全国

全国では、先月3日までの1週間では前の週に比べて0.69倍、
先月10日は0.72倍、先月17日は0.74倍、先月24日は0.94倍と6週連続で減少が続いていましたが、1日まででは1.04倍とわずかに増加に転じました。

1日当たりの新規感染者数は1500人余りとなっています。

緊急事態宣言の地域

全国で唯一、緊急事態宣言が出されている沖縄県では、先月17日までの1週間では前の週の0.60倍、先月24日は0.68倍、1日まででは0.86倍と4週連続で減少していますが、減少するペースは鈍ってきています。

人口当たりの感染者数は依然、高い水準で、1日当たりの新規感染者数はおよそ65人となっています。

重点措置適用中の10都道府県は

「まん延防止等重点措置」が適用されている10都道府県のうち、東京都など首都圏の1都3県では増加する傾向が顕著になってきているほか、大阪府や兵庫県など関西でも横ばいから増加に転じる傾向が見られます。
このうち、東京都は▼先月17日までの1週間では0.99倍でしたが、▼先月24日は1.14倍と増加に転じ、▼1日まででは1.19倍と2週連続で増加しています。

1日当たりの新規感染者数はおよそ523人と先週より80人以上増えていて、感染の再拡大が強く懸念される状況になっています。

千葉県は、▼先月17日までの1週間では前の週の1.03倍、▼先月24日は1.09倍、▼1日まででは1.10倍と4週連続で増加傾向で、1日当たりの新規感染者数はおよそ121人となっています。

埼玉県は▼先月17日までの1週間では前の週の0.77倍と5週連続で減少していましたが、▼先月24日は1.15倍、▼1日まででも1.15倍と増加に転じ、1日当たりの新規感染者数はおよそ97人となっています。

神奈川県は▼先月17日までの1週間では前の週の0.92倍、▼先月24日は0.95倍と6週連続で減少していましたが▼1日まででは1.14倍と増加に転じ、1日当たりの新規感染者数はおよそ207人となっています。

大阪府は▼先月17日までの1週間では前の週の0.68倍、▼先月24日は0.94倍、▼1日まででは0.96倍とほぼ横ばいで、1日当たりの新規感染者数はおよそ94人となっています。

兵庫県は▼先月17日までの1週間では前の週の0.58倍、▼先月24日は0.63倍と6週連続で減少していましたが▼1日まででは1.03倍と増加に転じ、1日当たりの新規感染者数はおよそ22人となっています。

京都府は▼先月17日までの1週間では前の週の0.52倍、▼先月24日は0.61倍と6週連続で減少していましたが▼1日まででは1.13倍と増加に転じ、1日当たりの新規感染者数はおよそ15人となっています。

愛知県は▼先月17日までの1週間では前の週の0.54倍、▼先月24日は0.80倍、▼1日まででは0.55倍と6週連続で減少し、1日当たりの新規感染者数はおよそ46人となっています。

福岡県は▼先月17日までの1週間では前の週の0.64倍、▼先月24日は0.82倍、▼1日まででは0.93倍と7週連続で減少しているもののほぼ横ばいになってきていて、1日当たりの新規感染者数はおよそ31人となっています。

北海道は▼先月17日までの1週間では前の週の0.52倍、▼先月24日は0.51倍、▼1日まででは0.69倍と5週連続で減少していて、1日当たりの新規感染者数はおよそ34人となっています。

専門家「まさに今 1都3県は感染の『第5波』入り口に」

新型コロナウイルス対策にあたる政府の分科会のメンバーで、東邦大学の舘田一博教授は現在の感染状況について「首都圏の1都3県では、1か月以上、夜の滞留人口の増加が続いている。東京では、1週間平均の感染者数が500人を超えて、感染状況が最も深刻な『ステージ4』の状態に入ってきた中で、さらに増加傾向が見られ、今後1、2週間でさらなる感染者数の増加が見られる可能性が高い。まさに今1都3県では、感染の第5波の入り口に差しかかっている」と話しています。

また他の地域の状況について「大阪など関西に関しては、下げ止まった状況が見えてきていて、滞留人口が増加しているので数週間して再増加に転じるということを考えておかなければいけない。また、沖縄県については1日当たりの感染者数が多い状態が続いている上、下げ止まりに近づきつつある。夜の滞留人口も増え、油断すると再増加につながる危険が高くなっていると思う」と話しています。

そのうえで舘田教授は「ワクチンの接種が進む状況で感染者数が増加しても、重症例はそんなに増えないという可能性も言われているが、まだワクチンは十分に普及しているという状況ではない。特に首都圏の感染状況を注視して今月11日に期限となるまん延防止等重点措置の延長や緊急事態宣言の発出を含めてちゅうちょなく必要な対策を取ることが大事だ。オリンピックを開催するからということで対策が遅れてしまうと、非常に厳しい状況になってしまう可能性がある。特に緊急事態宣言の発出となれば、無観客も当然考えて対応していく必要がある」と指摘しました。