米 インド型変異ウイルス感染者増 接種率低い地域で接種促す

アメリカのCDC=疾病対策センターは1日、インドで確認された変異した新型コロナウイルスが広がり、感染者の数も増加がみられるとしたうえで、ワクチンの接種率が低い地域は感染拡大のおそれがあるとして、国民に接種を促しました。

CDCのワレンスキー所長は、1日の記者会見で「この1週間で1日当たりの感染者数の平均が10%増加し、感染拡大の兆しがある」と指摘したうえで、インドで確認された変異ウイルスのデルタ株の増加によって、ワクチンの接種が進んでいない地域では、感染拡大のおそれがあると警戒を呼びかけました。

そして「過去6か月間の死者の99.5%は、ワクチンを接種していなかったという初期段階のデータもある。ワクチンがどこでも接種できる今、悲劇は避けられる」と述べ、国民に接種を促しました。

ワクチンの接種が進んだアメリカでは、1日当たりの接種回数がピーク時の6分の1程度まで減少しています。

この結果、これまでに少なくとも1回の接種をした人は、18歳以上の66.7%で、今月4日の独立記念日までに70%にするというバイデン政権の目標は達成が難しくなっています。

地域ごとにみると、東部バーモント州やマサチューセッツ州など、接種率が80%を超える州がある一方で、南部ミシシッピ州は46%、ルイジアナ州は49%などと、大きく差が出ていて、バイデン政権は、接種率が低い地域で重点的に接種を呼びかけていくことにしています。

“従業員に接種義務づけ”企業で議論に

アメリカではワクチンの接種が進み、在宅勤務から職場での勤務へと戻す企業が増えるにつれて、企業が従業員に対して接種を義務づけるべきかどうかが議論になっています。

アメリカの大手法律事務所、フィッシャー・フィリップスが、5月中旬に全米の600余りの企業経営者を対象に行った調査によりますと、ワクチンの接種を、従業員に義務づけるつもりはないと答えた企業は83%にのぼり、雇用継続の条件として接種を義務づけた、または、義務づけることを検討していると答えた企業は、4%にとどまりました。

一方で、75%の企業は「接種を推奨している」としています。

接種を義務づけないことにした企業に理由を尋ねると、54%の企業が「接種に前向きな従業員は、すでに接種を終えたと見ているため」と答え、32%の企業が「接種を義務化することが法的に認められないおそれがあるため」と答えました。

また、15%の企業は「従業員がワクチン接種を受け入れないと見ているため」と答えています。