新型コロナ 欧州地域で感染者再び増加傾向に転じる WHO

WHO=世界保健機関は、ロシアや中央アジアを含むヨーロッパ地域では、外出制限が緩和されたことや変異ウイルスの感染拡大などを受けて、新型コロナウイルスの新たな感染者の数が再び増加傾向に転じたことを明らかにし、感染対策の徹底やワクチンの接種を改めて呼びかけました。

WHOヨーロッパ地域事務局のクルーゲ事務局長は1日の記者会見で、管轄するヨーロッパやロシア、中央アジアなどの53か国の状況について、先週、新たな感染者が再び増加に転じたことを明らかにしました。

WHOのまとめによりますと、この地域の新たな感染者数は、ことし4月から6月半ばまで10週連続で減少が続いていましたが、21日から27日の週の新規感染者数は前の週をおよそ10%上回ったということです。

クルーゲ事務局長は「人々の接触や旅行、集まりが増えたことや、規制が緩和されたことによるものだ」と述べ、背景には感染力が強いとされる変異ウイルスだけではなく、外出制限などの緩和があるという見方を示しました。


そして、ヨーロッパ地域では現時点でも6割余りの人がワクチンを1回も接種していないとしたうえで、旅行や集まりへの参加はリスクを判断したうえで行い、特に室内や多くの人が集まる場所でマスクを着用するなど感染対策を徹底するとともに、ワクチンを接種することなどを呼びかけています。

ロシアでインド型(デルタ株)の感染拡大

ロシアでは、デルタ株と呼ばれるインドで最初に確認された変異ウイルスの感染が拡大し、ロシア政府によりますと、1日は1日当たりの感染者が2万3000人を超え、死者もこれまでで最も多い672人に上りました。

第2の都市サンクトペテルブルクでは、6月からサッカーのヨーロッパ選手権が開催されていて、地元メディアは、マスクなしで通りに集まる人たちの様子などとともに、感染の拡大に拍車をかけたと伝えています。

プーチン大統領は、6月30日に行われた国民との対話イベントで、ヨーロッパ選手権の試合をロシアでも開催したことについて「国家としての義務を果たさなければならなかった」と述べ、理解を求めました。

一方、プーチン大統領は、ワクチン接種を義務化する方針は支持しないとしながらも「感染拡大を防ぐ唯一の方法はワクチンの接種だ」と述べました。

ロシアではワクチンに対する国民の不信感が根強く、2回の接種を終えた人は人口の12%ほどにとどまっていて、プーチン大統領は接種を強く促しています。

加藤官房長官「状況を把握し対策を講じていきたい」

加藤官房長官は閣議のあとの記者会見で「厚生労働省において、国内や諸外国の感染状況やワクチンの効果に関する最新の科学的な知見、変異株の情報収集などを行っており引き続き、状況を把握しながら、専門家の意見もいただいて、実効性のある感染防止対策をしっかりと講じていきたい」と述べました。