1着2万円! 話題のペット服はデニム生地のリサイクル

1着2万円! 話題のペット服はデニム生地のリサイクル
いつもより少しおしゃれをした日はなんだか気分が上がりますよね。家族同様の愛するペットも一緒におしゃれをしたら、きっと、もっと幸せを感じられるはず。繊維のまちとして知られる岡山県倉敷市では、いま、余ったデニム生地を使って世界に1着しかないペット服を熟練の技で手作りする取り組みが注目されています。(岡山放送局記者 遠藤友香)

1着およそ2万円のペット服

岡山市のデパートに並ぶ犬のマネキン。販売されているのは、こだわりのデザインやダメージ加工が施されたデニム生地の“一点物”で、2つとして同じ柄はありません。

値段は高いもので、なんと1着およそ2万円です。

開発したのは、国産ジーンズ発祥の地として有名な倉敷市児島地区にある創業27年のアパレルメーカーです。

新型コロナウイルスの影響で売り上げは例年の7割ほどに減り、地元メーカーの販売店が建ち並ぶ「児島ジーンズストリート」もご覧のとおりの寂しさです。
どうすればこの厳しい状況を打開できるのか。

新製品の開発を担当する高橋雅彦さんが目をつけたのは、在庫となっていた高級ジーンズやシャツでした。

在庫品を環境に優しいペット服へ

シーズンごとに新作を発表するアパレルメーカーにとって、売れ残ったり、傷がついたりした在庫品は、再び店頭に出すことができないため、どう処分するか悩みの種になっていました。
そこで、捨てるにはもったいない製品やジーンズ作りの際に余ったデニム生地を環境のために有効活用しようと考えたのです。
高橋さん
「大量生産・大量消費が、時代の流れから外れていっているのではないでしょうか。その中で材料をいかに大切に使って、違うものに作り上げるかが大事だと思いました」
高橋さんが注目したのはペット市場。

矢野経済研究所によりますと、2020年度、ペット関連グッズなどの市場規模は推計で1兆6242億円にのぼり、今後も成長が期待されています。
コロナ禍でペットとの生活に癒やしを求める人が増えるなか、どのような製品が必要とされているのか。

5年前からトイプードルのオスのココナッツくんを飼っている高橋さん。愛犬に「着せたい!」と思うデザインのペット服がなかなか見つからないことに気がつきました。
見つからないなら、自分で作ればいい。愛犬への思いとともに、在庫品のジーンズを使ったペット服の開発を始めました。
高橋さん
「なるべくむだをなくしながら環境にいい形で、しかも自分がかわいがっている犬のために作れたら飼い主にとっても犬にとっても幸せなことではないかと思います」

手作業でオンリーワンの服作りを

高橋さんは愛犬をイメージしながら、短時間で着せたり脱がせたりしやすいように子ども服にも用いられるテープを使うなど、犬が嫌がらず、自由に動き回れるデザインを考案。

そのデザインに従って、製作するのはふだんジーンズなどを作っている職人たちです。
いつもは何十枚もの生地を重ねて機械で一気に裁断しますが、ペットの服は在庫品のジーンズから1枚ずつ型を切り出し、1着ずつ手作業で丁寧に縫い上げていきます。

ペット服1着に使われる在庫品のジーンズは、だいたい2枚から3枚。ジーンズと比べてサイズがとても小さいため、細かい作業の連続で手間もかかりますが、新型コロナウイルスの影響で受注が減った職人たちにとって新たなチャレンジになっています。

できあがったペット用のシャツやワンピースは8種類で、価格は1万3000円から2万円ほどとさまざま。

ペンキが散らされていたり、一部がほつれていたりと、もともとのジーンズの風合いを最大限生かしたデザインに仕上がっています。
高橋さん
「飼い主目線で言うと、親ばかかもしれませんが、かっこよく着られているのではないかなと思います」

ペットもストレスフリーに

さらに、高橋さんは知育玩具のマットも開発。

きっかけは、新型コロナウイルスの影響で外出する機会が減少した愛犬がこれまでよりほえるようになったことです。

犬もストレスを感じているのではないかと心配し、少しでも楽しい時間を過ごしてほしいと作りました。
70センチ四方のマットには、ジーンズのポケットやベルトを通す部品で作った仕掛けがいっぱい。生地の隙間に餌を隠し、宝探しのように遊びます。

犬がかんでも簡単には破れない丈夫さも売りです。

高橋さんの愛犬もクンクンと鼻を鳴らしながら夢中で餌を探し、楽しそうです。

モデルの愛犬に評判も上々

完成した製品は岡山市のデパートで期間限定で売り出したほか、インターネットでも販売を始めました。

客からは「ファッショナブルなデザインが気に入った」とか「国産ジーンズが使われているので品質がいい」など反応は上々。岡山県内だけでなく、広島や神戸のドッグカフェやドッグサロンからも問い合わせが相次いでいるといいます。

今後は、犬の特徴に合わせたオーダーメイドの服作りやキャリーバッグといった新たな製品の開発も目指しています。

ペットの服として、再び命が吹き込まれたジーンズ。ものづくりのヒントは身近なところに隠れていると実感した取材でした。
岡山放送局記者
遠藤友香
2019年入局
倉敷市など県西部の取材を担当
いつかペットを飼うのが夢