東京 人出増で再び医療ひっ迫のおそれ 専門家会合で最新の試算

新型コロナウイルスの東京都での今後の感染状況について、6月30日開かれた厚生労働省の専門家会合で、京都大学などの3つのグループがそれぞれの試算結果を示し、今後、さらに人出が増えるなどすれば、再び医療がひっ迫するおそれがあるなどと指摘しました。

先月30日開かれた厚生労働省の専門家会合では今後の東京都の感染症状況について、3つの研究グループが最新のシミュレーション結果を公表しました。

このうち京都大学と東北大学、それに国立感染症研究所のグループの試算では、7月以降も人出の増加が続く場合やインドで見つかった変異ウイルスの「デルタ株」の影響の大きさが中程度以上である場合には、「強い効果のある対策をとらないかぎり、7月下旬から8月中旬ごろに爆発的な感染拡大が起こる可能性が十分にある」という結果となりました。

グループでは、こうした場合には病床がひっ迫し、入院できない人たちが出てくるおそれがあると指摘しています。

また、京都大学の西浦博 教授らのグループのシミュレーションでは今後、接触が10%以上増えるなどして感染拡大のスピードが今より加速すると仮定した場合、7月後半から8月半ばにかけて医療体制がひっ迫する可能性があると試算しました。

このほか東京大学の経済学者のグループは高齢者のワクチン接種によって全体の重症化率は低下するものの、高齢者以外での感染が広がると医療のひっ迫が起こりうるなどとする計算結果を示しました。

会合のあとの会見で、国立感染症研究所の鈴木基 感染症疫学センター長は「あくまでシミュレーションの結果だが、楽観的なシナリオでも入院者数は確保している病床の5割を超える計算となっている。そうなる前に強い対策を行う必要がある」と話していました。