児童5人死傷事故 トラック 電柱衝突後40m進み停止 飲酒影響か

千葉県八街市で小学生の列にトラックが突っ込み児童5人が死傷した事故で、トラックが現場の手前で電柱に衝突したあと、およそ40メートル進んで止まっていたことが分かり、警察は飲酒の影響で適切なブレーキ操作ができなかった疑いがあるとみて詳しい状況を調べています。

28日、千葉県八街市で下校途中の小学生の列にトラックが突っ込み、小学3年生の谷井勇斗さん(8)と小学2年生の川染凱仁さん(7)が死亡したほか、8歳の女の子が意識不明の重体になり、7歳と6歳の男の子が大けがをしました。

警察は、トラックを運転していた梅澤洋容疑者(60)について、アルコールの影響で正常な運転に支障が出る状態だった疑いがあるとして、30日午前、容疑を危険運転致死傷に切り替えて検察庁に送りました。

これまでの調べで、トラックは現場の手前で電柱に衝突したあと、その先にいた児童をはねたことが分かっていますが、捜査関係者によりますと、トラックが止まったのは、電柱からおよそ40メートル進んだところで、その間の路上に目立ったブレーキの跡はないということです。

警察は、飲酒の影響で適切なブレーキ操作ができなかった疑いがあるとみています。

また、梅澤容疑者は調べに対し「右側から人が出てきたので、よけようと急ハンドルを切った」などと供述していますが、警察によりますと、防犯カメラの映像などからは道路に出る人の姿は確認できていないということです。

これまでの調べに対し「帰る途中に酒を飲んだ」などと供述していて、警察は飲酒をした詳しい状況やその影響について調べを進めることにしています。

川染さんの同級生「鬼ごっこがうまかった」

亡くなった川染凱仁さんは、同級生とよく鬼ごっこで遊んでいたということです。

同級生の女の子は「凱仁くんは鬼から逃げるときにいつもスッと逃げていて、鬼ごっこがうまかった。いなくなってさみしい。早く逃げるコツを教えてほしかった」と話していました。

また、この女の子の母親は、凱仁さんについて、元気いっぱいでやんちゃな面がある一方、周りの子どもたちを引っ張っていくような子だったと振り返りました。

女性は「これからもっといろいろなことを経験するはずだったのにこんなことで未来が途絶えてしまうのが許せないです」と話していました。

谷井さんのクラスメート「明るくて頭のいい子だった」

亡くなった谷井勇斗さんと小学校のクラスメートで親しかったという8歳の女の子は「勇斗くんは明るくて頭のいい子でした。亡くなった日も、アルファベットを教えてくれノートに書いてくれた。いつも明るくて元気で、クラスでも人気者だった。事故の日には『またね』といってお別れしました」と話していました。

また、女の子の33歳の母親は「小学校は私の母校で、子どもには同じ小学校に行ってほしいと思って引っ越してきたのに、安心して通わせられずすごく残念です。今後、しばらくは車で送り迎えしますが、ずっとそうするわけにはいかないので、引っ越しをしたほうがいいのか迷います。本当に悲しいです」と話していました。

同級生の母親「とても受け止めきれない」

亡くなった谷井勇斗さんの同級生だという小学3年生の男の子は「鬼ごっこが好きで、走るのが速く、昼休みによく遊んでいた。亡くなってしまって嫌だ」と話していました。

また、男の子の母親は「息子も一緒に遊んでいて知っている子なので、亡くなったことをとても受け止めきれない。子どもが悪くて失われた命ではないと思うととてもつらいし、飲酒運転をしたドライバーのことが許せません」と話していました。

また、学校側からは7月1日から通学を再開すると連絡があったということで「不安もあるが、学校や教育委員会などに動いてもらって、スクールゾーンを設置したり、大型車を通れなくしたりして、子どもの安全を最優先に対策してほしい」と話していました。

勤め先 親会社社長「声かけ伝わっていなかったのではと反省」

30日夕方、梅澤容疑者の勤め先の親会社の知念辰浩社長は報道陣の取材に応じ、児童が登下校する現場付近の道路について「徐行を心がけないといけないところで私も乗用車で通るときには徐行を心がけている。トラックはなおさら気をつけなければいけないところ。そうした声かけが運転手に伝わっていなかったのではないかと反省している。もし業務を再開できるのであれば徐行が基本的な条件になる」と話しました。

そのうえで、業務の再開に当たってはこれまで実施してなかった測定器を用いたアルコールチェックを行う方針を示しました。

また、容疑が危険運転致死傷に切り替わったことについて知念社長は「本当に重い気持ちで受け止めなければいけない。本当に申し訳ないと思っています」と謝罪しました。

八街市 北村市長「現場は十分な措置できず」

事故を受け、八街市の北村新司市長は30日、臨時の記者会見を行い「幼い子どもが命をなくすのは胸が張り裂けそうな思いだ。残念で悔しい。財源が限られる中、今回の場所は申し訳ないが十分な措置ができなかった」と述べたうえで、今後、現場の市道やそのほかの通学路の安全対策を強化する方針を示しました。

現場の市道の安全対策強化へ

八街市によりますと、現場の市道は平成20年度から4年にわたって小学校のPTAが毎年ガードレールの整備などを求めていたということです。

市は、予算などの制約があるとして優先順位を付けて道路の整備を進めていましたが、より優先順位の高い場所があるとして現場の道路へのガードレールの整備は実現していませんでした。

また、現場での最高速度の制限については警察との間で検討したことはなかったということです。

今回の事故を受けて八街市では、現場の市道の安全対策を強化する方針で、現在は60キロとなっている最高速度をより低い最高速度に抑えることを警察に要望するいうことです。

また、道路の一部に速度を出しにくいように膨らみを設けたり、車道の外側を示す線を引くなどの対策を関係機関と協議しながら進めたいとしています。

ほかの通学路も危険箇所の見直し実施へ

また、現場の市道以外の小中学校の通学路についても危険箇所の見直しを早急に実施するということです。

さらに、警察と連携して運送業の事業者やトラック運転手に対し、安全運転の啓発活動をしたいとしています。

北村市長は30日の臨時の記者会見で「幼い子どもが命をなくすのは胸が張り裂けそうな思いだ。残念で悔しい。飲酒運転によるものであれば絶対に許されない。財源が限られるなか今回の場所は申し訳ないが十分な措置ができなかった。通学路全体を考えながら道路の整備を進めていて、順序をつけてやっていたことはご理解いただきたい」と述べました。

そのうえで「教育委員会に危険な場所を洗い出すように指示をした。今回の事故を市としても重く受け止め、子どもたちの安心安全のため全力で取り組みたい」と述べました。

市教委 登下校バスを運行へ

八街市教育委員会は、事故に巻き込まれた児童5人が通う朝陽小学校が7月1日から再開するに当たり、現場の市道を通学路とする児童の精神的な負担を考慮して、当面、登下校のためのバスを運行することを決めました。

バスは登校用に午前2便、下校用に午後4便を運行する予定で、この通学路を使う八街北中学校の生徒も利用できるということです。

また、現場付近には警察の移動交番車が配備されるほか、市の職員などによる見守りも強化するということです。