社会

感染力強い「デルタ株」拡大 ほかの変異ウイルスも次々と…

東京都内では6月30日までに、インドで確認された「L452R」の変異があるウイルスへの感染確認が300人を超えました。
この「L452R」という変異が入ったウイルスのうち、最も拡大しているタイプは「デルタ株」と呼ばれます。しかし変異ウイルスは今、このほかにも次々と存在が明らかになっています。

“インド型” 東京の感染確認 300人超に

東京都は30日、都内で新たに55人がインドで確認された「L452R」の変異があるウイルスに感染していることを確認したと発表しました。

一日の発表としては2番目に多く、これでこのウイルスの感染が確認されたのは都内で349人になりました。
都内で初めてこの変異ウイルスへの感染が確認されたのはことし4月20日で、72日間で300人を上回りました。

イギリスで確認された「N501Y」の変異があるウイルスは、ことし1月に都内で初めて感染が確認されてからおよそ80日間で300人を超えています。

感染力が強いとされる「L452R」の変異があるウイルスが、およそ1週間早く300人に達しました。

「N501Y」の変異があるウイルスは、300人を超えてから9日後には1000人を超えています。

「デルタ株」 1週間の感染報告が2倍に…

「L452R」という変異が入った3種類の変異ウイルスのうち、最も拡大しているタイプは「デルタ株」と呼ばれます。

厚生労働省によりますと、6月28日までの1週間に全国で合わせて71人が「デルタ株」に感染していたことが分かりました。前の1週間に報告された人数を35人、率にして97%上回っています。

全国15都府県・計224人で感染確認

これまでに感染が確認されたのは全国の15の都府県で合わせて224人となりました。

▽東京都が42人
▽神奈川県が40人
▽千葉県が31人
▽愛知県が24人
▽兵庫県が19人
▽大阪府が18人
▽静岡県が14人
▽埼玉県が13人
▽群馬県が10人
▽広島県が8人
▽長野県、岐阜県、三重県、香川県、鹿児島県がそれぞれ1人
となっています。

変異ウイルス 「懸念される変異株=VOC」は4種類

WHO=世界保健機関は
▽感染力が強まる
▽感染した際の重症度が上がる
それに
▽ワクチンの効果が下がる
などの性質の変化が起こったとみられる変異ウイルスを「懸念される変異株=VOC」として国際的に警戒するよう呼びかけています。

また、WHOは特定の国への差別的な扱いを防ぐため変異ウイルスをギリシャ文字で呼ぶよう提唱していて6月30日現在、「VOC」とされた変異ウイルスは4種類あります。

“インド型”「デルタ株」

WHOはインドで見つかった「L452R」という変異が入った3種類の変異ウイルスのうち、最も拡大しているタイプを「デルタ株」と呼んでVOCとしています。

感染力は強まっているとされ、感染した場合に入院に至るリスクも高まっている可能性が指摘されています。

イギリスで行われた分析で、イギリスで見つかった変異ウイルス「アルファ株」と比べても感染力がさらに50%強いという試算が示されています。

インドでは2021年4月ごろに爆発的に感染が拡大しましたが、多くの人が集まった宗教や文化の行事があったことと並んで、変異ウイルスが拡大の原因の1つと考えられています。

ワクチンの効果についてWHOのまとめでは、ファイザーのワクチンではウイルスを中和する効果への影響は、無いかもしくは最小限だったという研究結果が示されています。

WHOの報告書によりますと、6月29日の時点で「デルタ株」の報告があった国や地域は96と、前の週に比べて11増えました。

“イギリス型”「アルファ株」

イギリスで見つかった変異ウイルスの「アルファ株」は2020年12月上旬に初めて報告され、その後、世界中に広がりました。

このウイルスには「スパイクたんぱく質」に「N501Y」と呼ばれる変異があることが分かっています。

これは「スパイクたんぱく質」の501番目のアミノ酸がアスパラギン(略号N)からチロシン(略号Y)に置き換わっているという意味です。

WHOがまとめた情報によりますと、この変異ウイルスは従来のウイルスに比べて感染力が強く、入院や重症それに亡くなるリスクも高くなっているということです。

一方で、ワクチンの効果についてファイザーやモデルナ、それにアストラゼネカのワクチンでは大きな影響はないとしています。

WHOによりますと、6月29日の時点で「アルファ株」の報告があった国や地域は前の週から2増えて172でした。

“南アフリカ型”「ベータ株」

南アフリカで最初に見つかった変異ウイルスは「ベータ株」と呼ばれています。

2020年5月には発生していたとされ、11月中旬に南アフリカで行われた解析ではほとんどがこの変異ウイルスだったとみられています。

「N501Y」の変異に加えて抗体の攻撃から逃れる「E484K」という変異もあることから、ワクチンの効果への影響が懸念されています。

WHOのまとめによりますと、ファイザーのワクチンとモデルナのワクチンについては影響は最小限にとどまるとする研究から、相当程度低下するとした研究まで幅があるとしています。

WHOによりますと、6月29日の時点で「ベータ株」の報告があった国や地域は前の週から1増えて120でした。

“ブラジル型”「ガンマ株」

ブラジルで広がった変異ウイルスは「ガンマ株」と呼ばれています。2021年1月6日、ブラジルから日本に到着した人で最初に検出されました。

ブラジルでは2020年11月のサンプルで確認されていて、WHOによりますと2021年3月・4月の時点ではブラジルで遺伝子を詳しく調べた検体のうち83%に上ったとしています。

南アフリカで確認された「ベータ株」と同様に「N501Y」に加えて抗体の攻撃から逃れる「E484K」の変異もあることが分かっています。

WHOのまとめによりますと、ファイザーとモデルナ、アストラゼネカそれぞれのワクチンについては、影響は少なかったとする研究から中程度あったとする研究まで報告されているとしています。

WHOによりますと、6月29日の時点で「ガンマ株」の報告があった国や地域は前の週から1増えて72でした。

「注意すべき変異株=VOI」は7種類

また、WHOは
▽感染力やワクチンの効果などに影響を与える可能性がある変異ウイルスや
▽国や地域を越えて見つかっている変異ウイルスなどを
「注意すべき変異株=VOI」としていて、これに位置づけられる変異ウイルスは7種類あります。

「イプシロン株」

▽「イプシロン株」
ことし3月にアメリカ・カリフォルニアで確認されました。インドで確認された「デルタ株」などと同様に「L452R」の変異が起こっています。

「ゼータ株」

▽「ゼータ株」
2020年3月にブラジルで検出された変異ウイルスです。

「イータ株」

▽「イータ株」
2020年12月にイギリスで最初に確認された変異ウイルスです。

「シータ株」

▽「シータ株」
フィリピンで見つかった変異ウイルスで日本でも検疫で7例が検出されています。

「イオタ株」

▽「イオタ株」
アメリカ ニューヨークで見つかった変異ウイルスです。

「カッパ株」

▽「カッパ株」
インドで見つかった変異ウイルスで「デルタ株」と同様に「L452R」の変異が起こっています。

「ラムダ株」

▽「ラムダ株」
6月14日に新たに「VOI」となった変異ウイルスで、ペルーで最初に報告されました。WHOによりますと、2021年6月15日時点で29の国や地域から報告されていて、特にペルーやチリ、アルゼンチンなど南米で多く報告されているということです。感染力やワクチンの効果への影響などについてはまだよく分かっていないということです。

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