千葉 八街 児童5人死傷事故 逮捕の運転手“帰る途中酒飲んだ”

28日に千葉県八街市で小学生の列にトラックが突っ込んで児童5人が死傷した事故で、逮捕された60歳の運転手が「帰る途中に酒を飲んだ」などと供述していることが捜査関係者への取材でわかりました。

28日午後3時半ごろ、千葉県八街市で下校途中の小学生の列に大型トラックが突っ込んで、男の子4人と女の子1人の児童5人がはねられ、男の子2人が死亡したほか、1人が意識不明の重体、2人が大けがをして病院で手当てを受けています。
警察は近くに住むトラック運転手、梅澤洋容疑者(60)を逮捕し、過失運転致死傷などの疑いで調べていますが、容疑を裏付けるため29日午前、勤務先の運送会社や自宅を捜索しました。

また、警察は容疑者の身柄を佐倉警察署から留置先となる成田国際空港警察署に移しました。

警察によりますと梅澤容疑者の呼気から基準を超えるアルコールが検出されていますが、その後の調べに対し「帰る途中に酒を飲んだ」などと供述していることが捜査関係者への取材で新たにわかりました。

また「右側から人が道路に出てきたので、よけようと左に急ハンドルを切った。電柱にぶつかり、そのまま子どもたちの列に突っ込んでしまった」などとも供述しているということです。

現場は、幅およそ7メートルの歩道のない直線道路で、警察は周辺の防犯カメラの映像を分析するなどして事故に至る経緯を調べるとともに飲酒の状況についても裏付けを進めることにしています。

梅澤容疑者 事故までの行動

梅澤容疑者が勤める運送会社の親会社の「南武」によりますと、梅澤容疑者は28日午前6時ごろに出勤しました。

その際、特に変わった様子はなかったということです。

会社では、乗務前のアルコール検知器を使った検査を行っておらず、梅澤容疑者は千葉県八街市の事故現場近くにある工場を出発しました。

そしておよそ40キロ離れた千葉県市川市の建設現場に資材を運び、いったん八街市の工場に戻ったということです。

このあと再び資材を積んで、およそ45キロ離れた東京・江戸川区に向かったということです。

その後、八街市の工場に戻っていた途中の午後3時半ごろ、工場まで200メートルほどのところで事故を起こしました。

警察によりますと、トラックは進行方向左側の電柱に衝突したあと、その先にいた児童の列に正面から突っ込み、電柱から40メートルほど先で道路脇の畑に突っ込むようにして停止したということです。

駆けつけた男性「まるで災害現場」

事故現場の近くに住み救急車のサイレンを聞いて現場に駆けつけたという66歳の男性は「着いたときには救急車などが活動していて、まるで災害現場のようでした。運転手の様子は見えなかったが、付近にはランドセルや帽子が散らばっていて、血も付いていた。もともと車の通りも多くスピードを出す場所なので心配していました」と話していました。

容疑者の母「驚いている 申し訳ない」

事故を起こした梅澤容疑者の88歳の父親は「毎日酒を飲んでいたかどうかまでは一緒に住んでいないのでわからない。特に最近、何か変わったことがあったというわけではないと思う」と話していました。

また、85歳の母親は「こんなことになって驚いている。平成16年から今の仕事をしていて会社には毎日まじめに出勤していた。亡くなられたお子さんやご家族には申し訳ないです」と話していました。

同級生の父親「悔しくてしかたない」

被害にあった児童と、事故現場の700メートル手前あたりまで一緒に下校していたという同級生の30代の父親は、「運転手が酒を飲んでいたかもしれないと聞くと、悔しくてしかたないです。子どもにも事故の話はしましたが実感がないようでした」と話していました。

また、30代の母親は、「事故現場は速度を出す車も多く、大型トラックも頻繁に通るため、ふだんから『危ないね』と話していました。こんなことになって本当にショックです」と話していました。

近くに住む男性「道幅狭く接触してもおかしくない」

事故現場は29日の朝も、多くの車が行き交い、すれ違う際に道幅が狭いため速度を落とす車や道路脇にいる人を避けながら運転する車も見られました。

現場に献花に訪れた近くに住む24歳の男性は「小学校の時からよく歩いて現場の道を通っています。すれ違う時に道幅がだいぶ狭いので車が寄ってきて、いつ歩行者に接触してもおかしくないと感じていました。危ないけれどそれが当たり前になっていました。ガードレールを設けるなど安全対策を取ってほしいし、亡くなった児童と親が本当にふびんです」と話していました。

事故現場 雨の中花やお菓子を供えて悼む人の姿

28日、千葉県八街市で小学生の列にトラックが突っ込んで児童5人が死傷した事故で、事故から一夜明けた現場には雨が降りしきる中地元の人などが訪れ花やお菓子を供えて手を合わせていました。

事故があった八街市の現場ではトラックは28日夜のうちに撤去され車の通行もできるようになっていますが、トラックが最初にぶつかったと見られる電信柱が傾いたままの状態となっています。

29日は朝から雨が降り続く中花やお菓子を手向けたり、手を合わせたりする人たちの姿が見られました。

このうち花を供えに来た近くに住む男性は「子どもたちには痛かったねというお悔やみの言葉しかない。この道はスピードを出す車が多い。運転者のモラルが改善するようになってほしい」と話していました。

また近くに住む20代の女性は「自分にも2歳の子供がいるので残された親の気持ちがよくわかる。幼い子供たちの未来が奪われて悔しい気持ちです」と涙ながらに話していました。

運送会社の親会社 社長ら献花

29日午前11時前、容疑者の勤める運送会社の親会社の社長らが事故現場を訪れて献花しました。

献花した社長らは現場で手を合わせ、そのあと一礼をして会社に戻っていきました。

現場近くの住民 スピード出す車多かった

事故現場近くに住み、被害に遭った児童と同じ小学校に子どもが通っていたという50代の女性は「子どもが通っていた時『トラックがビュンビュンスピードを出すから、本当に気をつけなさい』といつも言っていました。特に下校の時はバラバラで帰ってくることもあったので、心配で迎えに行っていました。私が時速40キロくらいで運転していても抜け道になっているからか、平気で抜かしていく車が多かったです。今回こんな事故になってしまって本当に残念で悲しいです」と話していました。

朝陽小学校 十分な説明行えず臨時休校

八街市教育委員会によりますと、子どもたちが通っていた朝陽小学校は事故の詳細が分からず、児童に対して十分な説明を行えずに動揺させてしまうおそれがあるとして29日、臨時休校となりました。

学校は、28日の夜8時半ごろに児童の保護者にメールで休校を知らせたということです。

また、仕事などで保護者が対応できない家庭の児童については、学校や学童保育で預かる対応を取っています。

30日以降の授業の再開については現時点では決まっていないということで、教育委員会や学校は、児童の心のケアや保護者への説明の方法について検討を進めていきたいとしています。

通学路の安全確保徹底を改めて呼びかけへ

今回の事故を受けて、千葉県教育委員会は県立学校と市町村の教育委員会に対して、通学路の安全確保を徹底するよう求める通知を出すことを決めました。

具体的には、通学路で子どもたちの見守りの強化や、危険箇所の安全点検を実施すること、さらに警察や保護者などと連携し登下校時の安全確保を徹底するよう改めて呼びかけることにしています。

また事故に遭った子どもたちが通う市立朝陽小学校に29日朝、県教育委員会から「スーパーバイザー」と呼ばれるベテランのスクールカウンセラーら合わせて4人を派遣し、今後の子どもたちへの心のケアの方針について、管理職や関係する教職員と協議しているということです。

萩生田文部科学相「アルコール事実なら怒り禁じえない」

萩生田文部科学大臣は閣議のあとの記者会見で「千葉県教育委員会からの現時点での報告によると、トラックの運転手からはアルコールが検出されたということで、これが事実だとすれば本当に怒りを禁じえない。事故の詳細に関する調査結果も踏まえて、今後、関係省庁と連携しながら通学中の交通事故をなくすための、さらなる取り組みについて検討していきたい」と述べました。

歩行中の児童の死亡や重傷の交通事故 約3分の1が登下校中に発生

棚橋国家公安委員長は29日の記者会見で「逮捕された運転手は飲酒の疑いもあるとのことで今後、事故の原因究明を含め、必要な捜査が進められると理解している。飲酒運転が許されないことは言うまでもないが、歩行中の児童が死亡、または重傷を負った交通事故のおよそ3分の1が登下校中に発生していて、ドライバーには子どもたちの安全確保にさらに配慮して頂きたい」と述べました。

警察庁によりますと、去年までの5年間に交通事故で死亡または大けがをした小学生は4687人で、58%の2734人が歩行中に事故に遭っていました。

歩行中の児童が事故に遭う時間帯は、午後4時台から5時台にかけてが36%と最も多く、次いで午後2時台から3時台が29%で下校や帰宅時間に集中しています。

登下校中の児童の列に車が突っ込む事故はこれまでも相次いでいて、全国の警察は、通学路に最高速度を30キロに制限する「ゾーン30」を設けたりガードレールを整備したりして関係機関と安全対策を進めています。

登下校中の事故 各地で

小学生が登下校中に車にはねられて死亡したりけがをしたりする事故は、各地で起きています。

10年前・平成23年には、栃木県鹿沼市で小学生の列にクレーン車が突っ込み、児童6人が死亡しました。

また、9年前・平成24年には、京都府亀岡市で登校中の小学生の列に無免許運転の車が突っ込み、児童ら3人が死亡、7人が重軽傷を負ったほか、千葉県館山市で登校のためバスを待っていた小学生らの列に軽乗用車が突っ込み児童1人が死亡しました。

さらに、7年前の平成26年には、東京・世田谷区で下校中の小学生3人が軽トラックにはねられ、1人が死亡し、2人が重軽傷を負っています。

今回の事故で被害に遭った5人が通っていた八街市立朝陽小学校でも、5年前・平成28年に市内の別の通学路で登校中の児童の列にトラックが突っ込み4人がけがをしました。