英ウィンブルドン選手権2年ぶり開幕 変異ウイルス拡大で対策も

イギリスでは変異した新型コロナウイルスの感染が拡大する中、2年ぶりにテニスのウィンブルドン選手権が始まりました。観客にウイルス検査の陰性証明の提示を求めるなど感染対策をとったうえでの開催となります。

ウィンブルドン選手権は去年は感染拡大のため行われず、今回は2年ぶりの開催です。

感染対策としてチケットはオンラインだけで販売され、観客は入り口でウイルス検査の陰性証明や、ワクチンを2回接種してから2週間たっていることの証明などの提示が求められます。

大会には例年、1日に4万人を超える人が訪れますが、今回の観客数は、序盤は収容人数の50%に制限されています。

会場では、名物の「イチゴクリーム」やアルコールも販売され、初日は大勢の人たちでにぎわいました。

人気の試合では観客たちがコートに近い前方の席に詰めて座り、会場内を歩き回る場合に着用が求められているマスクを着けていない人の姿も見られました。

大会の運営を担当するミシェル・ダイトさんは「開催にこぎつけるまで、本当に大変だった。政府と話し合いを続け、収容人数について最終的に決まったのも2週間前だった。大会後の状況についても観察を続けていく」と述べました。

来月10日、11日に行われる決勝は、大規模イベントについての政府の調査の一環で、収容人数およそ1万5000人のセンターコートで満席で行い、ワクチン接種などの事前の確認がどの程度効果があるかなどについて、分析が行われる予定です。

変異ウイルス感染が急拡大 大会では対策も

イギリスでは、インドで確認された変異ウイルスのデルタ株の感染が急速に拡大していて、開催にあたってはさまざまな対策がとられています。

まず、大会序盤は、観客数の上限が収容人数の50%となっています。
その後、政府の調査の一環として上限を徐々に上げていき、決勝は、およそ1万5000人収容のセンターコートに満員の観客を入れて行う予定です。

チケットの販売方法も、例年であれば多くのファンが当日券を求めて、前日の夜からテントを張って泊まり込む光景がおなじみでしたが、ことしはすべてオンラインでの販売となりました。

観客は入場する際、新型コロナウイルスの簡易検査の陰性証明か、2週間前までにワクチンの接種を2回受けたことの証明などを求められます。また、会場内を歩くときはマスクを着けなければなりませんが、観客席に座っているときは外してもいいということです。

一方、出場する選手は、ロンドン市内の指定されたホテルに滞在し、会場との間を往復する以外に外出することはできず、公共交通機関の利用も認められていません。

5月からは大規模会場の屋外イベントで観客入場可に

イギリスでは、感染対策の一環として、大勢の観客を入れてのスポーツ観戦などは認められてきませんでしたが、先月からは屋外のイベントのうち、サッカースタジアムなど大規模な会場で開かれるものについては、1万人を上限として観客の入場が認められるようになりました。

イギリス政府は大規模なイベントの再開に向けた実態調査をことし4月から行っていて、先月までの第1段階ではサッカーの試合、それに屋内や屋外のコンサートなど、9つのイベントを対象に調査しました。

調査では、観客に入場の際、新型コロナウイルス検査の陰性証明を提示することなどを求めました。

その結果、およそ1万8000人の観客が入った、サッカーの国内ナンバーワンのクラブチームを決めるFAカップの決勝や、5900人が入場した野外コンサート、それにナイトクラブの集会など9つのイベントに参加した合わせておよそ5万8000人のうち、陽性と確認されたのは28人で、クラスターの発生などはなかったということです。

ただ、この時期はイギリス国内の感染状況が改善していたほか、イベント後に行ったウイルス検査の結果を報告した人は30%前後にとどまり、正確な分析は難しいとしています。

調査の第2段階では、テニスのウィンブルドン選手権の決勝や、サッカーのヨーロッパ選手権の準決勝と決勝などが対象となっていて、観客は入場する際、ウイルスの簡易検査の陰性証明か、2週間前までにワクチンの接種を2回受けたという証明などが必要になります。