脱炭素化 合成メタン作る「メタネーション」技術開発強化へ

脱炭素化の実現に向け、二酸化炭素と水素を合成させて都市ガスの原料となるメタンを作り出す「メタネーション」と呼ばれる技術について、経済産業省は、大手ガス会社や商社などとの官民協議会を設立し、研究開発を強化することになりました。

経済産業省は28日、大手ガス会社や商社、それに製鉄や海運など20社余りが参加する官民協議会を設立し、初めての会合を開きました。

メタネーションは二酸化炭素と水素を合成させてメタンを作り出す技術です。

メタンは都市ガスの原料となり、合成の段階で二酸化炭素を取り込んでいるため、ガスを燃やしても二酸化炭素の排出量を相殺でき、実質ゼロとみなすことができる計画です。

このため、脱炭素社会の実現に向けて有効な手段の1つとして注目されています。

協議会では今後、各企業と連携しながら、より効率の高い合成の方法や、原料となる水素を安く調達する供給網の在り方、それに制度面での課題について検討を進めることにしています。

政府は2050年の脱炭素化に向けて、合成したメタンを使った都市ガスへの転換を進めれば、二酸化炭素の排出量を大幅に減らすことができるとして、研究開発を強化し、世界をリードしていきたい考えです。

二酸化炭素の実質的排出量をゼロにみなす

メタネーションは二酸化炭素と水素を合成し、メタンを作り出す技術です。

メタンは、天然ガスの主成分で都市ガスの原料となります。

合成の段階で二酸化炭素を取り込んでいるため、ガスを燃やしても二酸化炭素の実質的な排出量をゼロとみなすことができる計画です。

都市ガスを燃やした際に出る二酸化炭素は、日本の排出量全体のうち8%を占めていて、この技術が実用化すれば、大幅な削減が見込めます。

さらに、都市ガスのパイプラインなどの設備をそのまま使えます。

このため政府は利用の拡大を目指していて、2030年には都市ガス全体の1%以上、2050年には90%以上を合成メタンから作り出す目標を掲げています。

一方、利用の拡大に向けて課題となるのが、原料となる水素のコストです。

経済産業省はメタネーションに使う水素について、太陽光など再生可能エネルギーを使って水を電気分解することで作り出すことを想定しています。

ただ、国内では再生可能エネルギーによる発電コストが高いため、海外から調達することも検討することにしていて、2050年までに合成されたメタンの価格をLNG=液化天然ガスと同じ程度にまで抑えることを目指しています。

各国で研究開発が加速

メタネーションをめぐっては、ドイツの大手自動車メーカー、アウディが製造工場を建設し、実際に車の燃料として活用するなどの取り組みを進めています。

一方、国内では新潟県長岡市で資源大手のINPEXがおととしから実証実験を始めていて、メタンの生産を2025年をめどに今の50倍に引き上げ、2030年以降に実用化を目指す方針です。

また、大阪ガスは、水から水素を取り出す過程で、使用する部品に安価な金属を使えるようにしてコストを削減することに成功するなど、各国で技術開発が加速しています。

専門家「最大の課題はコスト削減 技術革新の余地ある」

今回の官民協議会の委員で、エネルギー産業に詳しい国際大学大学院の橘川武郎教授は「メタネーションは脱炭素社会の実現に向けた有効な手段だ。今あるガス管が使えるため、新しいインフラを作らなくていいというメリットもある」としています。

そのうえで、橘川教授は「最大の課題はコストの削減だが、そこには技術革新の余地がたくさんある。その取りかかりを早くすることが大事だ」と指摘しています。