JOCが謝罪文 心と体の性が一致しない理事を女性理事と公表で

JOC=日本オリンピック委員会は、ジェンダー平等の観点から女性の理事を大幅に増やした今月の役員改選で、フェンシング元日本代表で心と体の性が一致しない杉山文野さんを女性理事として公表したことについて「トランスジェンダーについての誤った認識を広げてしまった」などとする謝罪文を出しました。

JOCは今月25日に役員改選を行い、心と体の性が一致しないトランスジェンダーを公表している杉山さんを含む30人の理事を選任しました。

JOCではジェンダー平等を進める観点から女性理事を増やす方針を打ち出し、今月行われた役員改選で30人の理事のうち杉山さんを含む13人を女性理事として公表して、女性が占める割合が目標としていた40%を超える水準になったとアピールしました。

この時の記者会見で杉山さんを女性理事として扱っていることについて質問があり、JOCは「本人に確認したうえで女性枠として扱った」と説明していました。

これについてJOCは28日「役員選考におけるジェンダーの扱いについて」とする文章を公表し、杉山さんを女性理事とした理由について、推薦した日本フェンシング協会に確認をとっただけで杉山さん本人には確認をとっていなかったとして謝罪して訂正しました。

そのうえで「杉山理事本人の思いや考えを正確にお伝えできず、結果としてトランスジェンダーについての誤った認識を広げてしまったことについては関係者の皆様におわび申し上げます」としています。

一方、この文章のなかでフェンシング協会が推薦した理由ついて「多様な人々にとってよりよいスポーツの在り方を目指す思いから、やむをえず女性枠として推薦した」と説明し、女性の数を重視するあまり女性理事の枠を設けて推薦を求めた制度の在り方に課題があることを認め、今後議論を進める考えを示しました。

日本フェンシング協会「本人といろいろな側面で議論した」

フェンシング元日本代表の杉山文野さんをJOCの理事に推薦した日本フェンシング協会は「性別にかかわらず杉山さん個人がベストな候補者なので推薦した。どちらの性別で推薦するかは事前に本人といろいろな側面で議論した。業務を行う上での本人証明にパスポートなど公的機関の証明が必要なため、自認する性別と戸籍上の性別が異なることによる混乱を避けることとした」と説明しています。

JOCが謝罪文を発表したことを受けて協会は杉山さんと改めて話をしたということです。そのうえで「手続き上、女性として推薦する選択肢しかなかったのが実情だ。これを機会に戸籍上の性別しか選べないという課題が認識されよりよい方向に向かうきっかけになってほしい」としています。

杉山文野さん「『女性でお願いします』とは一度も言ってません」

杉山文野さんは27日、みずからのツイッターに「『女性でお願いします』とは一度も言ってません。男性として入ることを希望しましたが今回は男女だけにとらわれない視点を取り入れることが大事であり、性別が原因で推薦が左右されることがないよう最終判断は任せますと。フェンシング協会→JOC→山下会長への伝達過程でそごが生じたのかもしれません」と投稿しています。

JOC 山下会長「大変申し訳ない」

JOCの山下泰裕会長は28日午後、都内でNHKの取材に応じ、フェンシング元日本代表で心と体の性が一致しない杉山文野さんを女性理事として公表したことについて「杉山さんを男女のどちらで公表するか理事として推薦していただいた日本フェンシング協会と相談している際に認識のずれが生じてしまった。非常に繊細な内容なのでより丁寧に確認すべきだったが、杉山さんご本人に確認したものと勘違いをした。杉山さんには大変申し訳なかった」と話しました。