EU マスク着用義務 緩和相次ぐも…「デルタ株」への警戒強まる

EU=ヨーロッパ連合では、新型コロナウイルスの感染対策として義務づけてきた屋外でのマスクの着用について規制を緩和する国が相次ぐ一方で、インドで確認された変異ウイルスが広がりかねないとして警戒も強まっています。

EU域内では新型コロナウイルスの感染状況などの改善を受けて、これまでにフランスやスペインで屋外でのマスクの着用義務が解除されたほか、イタリアでも28日から義務ではなくなります。

スペインでは新型コロナウイルスの感染状況が改善していることなどを受けて、26日から、混雑する場所を除いて、屋外でのマスクの着用が義務ではなくなりました。

首都マドリード中心部では、強い日ざしが降り注ぐ中、マスクをつけずにリラックスした様子で散歩をする人たちの姿がみられました。

女性のひとりは「長い間、マスクをつけなければならず本当に疲れましたが、今はとてもほっとして自由を感じています」と話していました。

一方で、インドで確認された変異ウイルスのデルタ株への警戒感もあって、マスクをつけている人の姿も多くみられました。

マスクをつけていた男性は「マスクの義務を緩和するのは早すぎると思います。あと数か月はつけ続けようと思います」と話していました。

ヨーロッパでは感染状況の改善を受けて、屋外でのマスクの着用義務を解除する動きが広がっていて、フランスではすでに今月17日から始めたほか、イタリアでも28日から義務ではなくなります。

一方で、各国は変異ウイルスの流入を警戒して、空港や港での水際対策を強化しています。

ECDC報告書 “8月末にはデルタ株がEU域内の新規感染者の90%に”

ECDC=ヨーロッパ疾病予防管理センターは23日に報告書を発表し、デルタ株はイギリスで確認されたアルファ株よりも感染力が40%から60%強く、感染した場合に入院するリスクも高いとしています。

さらに、ワクチンを1回した接種した人も感染する可能性があるとしていて、8月末にはデルタ株の占める割合がEU域内の新規感染者の90%になるという見通しを示しています。

このためECDCは、人との距離を保つソーシャル・ディスタンスや、屋内や混雑した場所でのマスク着用といった対策を各国が緩めれば、去年秋のような感染の再拡大を招くおそれもあるとしています。

EU域内では今月26日時点で18歳以上の58%が1回目のワクチン接種を終えていますが、2回目を終えたのは35%にとどまっています。

ECDCのアモン所長は、デルタ株の広がりを抑えるためには地域状況に応じた感染対策に加えて、できるだけ早く2回目の接種を終えることが欠かせないとしていて「ワクチン接種を非常に速いペースで進めることが極めて重要だ」と訴えています。