陸上男子110mハードル 泉谷が日本新で優勝 3人が五輪代表内定

東京オリンピックの代表選考を兼ねた陸上の日本選手権は大会最終日の27日、男子110メートルハードルの決勝が行われ、泉谷駿介選手が13秒06の日本新記録で優勝し、2位の金井大旺選手、3位の高山峻野選手とともに、東京オリンピックの代表に内定しました。

泉谷のタイム 13秒06は今季世界3位

男子110メートルハードル決勝は、日本記録を持っていた金井選手と高山選手、泉谷選手に加えて26日の予選で村竹ラシッド選手も参加標準記録を突破し、8人のうち半数の4人が参加標準記録を突破して迎える、まれに見るハイレベルなレースになると見込まれてました。

しかし調子を上げていた村竹選手ともう1人の選手がフライングで失格になり、決勝は6人の争いとなりました。

仕切り直しのスタートでは、まず金井選手が飛び出しました。その金井選手を中盤以降、泉谷選手が激しく追い上げ、終盤で前に出てトップでフィニッシュし、初優勝でオリンピック内定を決めました。
タイムは、金井選手が持っていた日本記録を0秒1更新する13秒06の日本新記録で代表内定に花を添えました。

泉谷選手は「公認でこのタイムが出るとは思わなかったので少しびっくりしています。走りの手応えはあんまり覚えていませんが、いつもよりハードルにぶつけずにしっかりと行けたと思います」と話しました。

そのうえで「このタイムは自信になります。オリンピックではしっかり戦って、決勝に進めるように頑張りたいです」と初出場となる東京大会に向けた意気込みを話しました。

また、金井選手が13秒22で2位、高山選手が13秒37で3位に入り、それぞれオリンピックの代表に内定しました。
泉谷選手がマークした13秒06の日本新記録は、世界陸連のホームページによりますと今シーズン世界3位にランキングされる記録で、またリオデジャネイロオリンピックでは金メダルに0秒01と迫る驚異的なタイムでした。

泉谷選手は記録更新の背景について「スプリント能力の向上が今シーズンの好調につながっている。走る練習をしっかりしてきたので基礎体力がついて100メートルのタイムが上がってきた。それがいい結果につながっていると思う」と分析しました。

泉谷選手は、走り幅跳びや三段跳びといった跳躍種目でも強さを発揮する選手です。跳躍競技で培ったバネに加えてスプリント練習によるスピードを身につけたことで110メートルハードルに欠かせないスピードとリズムを兼ね備えたハードリングにつながったものとみられます。

また、泉谷選手は先月に行われた関東学生対校選手権で追い風5.2メートルの参考記録ながら13秒05のタイムで走っています。

27日の決勝も「その大会をイメージして走った」と話していて、13秒0台のタイムを事前に体感していたことも、好記録につながった一つの要因だと考えられます。

泉谷駿介選手とは

泉谷駿介選手は神奈川県出身の21歳。順天堂大の4年生です。

走り幅跳びや三段跳びといった跳躍種目もこなすバネを生かした走りが持ち味で、おととしの日本選手権で当時の日本記録に並ぶ13秒36で走り大きな注目を集めました。

期待された昨シーズンはけがの影響もあり、日本選手権では金井大旺選手、高山峻野選手に次ぐ3位に終わりました。

復活を期す今シーズンは、3月に大阪で行われた60メートルハードルの室内レースで7秒50の日本新記録をマークしたほか、5月の関東学生対校選手権では13秒30をマークしてオリンピックの参加標準記録を突破していました。

金井大旺選手とは

オリンピックの参加標準記録を4人が突破し迎えた決勝で2位に入り初のオリンピック代表に内定した金井大旺選手は北海道函館市出身の25歳。

鋭いスタートから中盤にかけての加速が持ち味のハードラーで、2018年と去年の日本選手権のチャンピオンです。昨シーズンから急成長をみせ、ことし4月に広島市で行われた織田幹雄記念国際大会では13秒16の日本新記録をマークしました。

金井選手は、競技のかたわら歯科医師を目指して勉強も続けていて、競技生活の区切りを東京オリンピックと決め、東京オリンピックでの決勝進出を目標にしていて「自分にとって最初で最後の挑戦。競技人生の集大成として悔いなく終わりたい」と意気込んでいました。

金井選手の自己ベスト、13秒16というタイムは、2016年のリオデジャネイロオリンピックでは銀メダル、2019年の世界選手権では銅メダルに相当する記録です。

もちろん風などのコンディションが違うため単純に比較はできませんが、金井選手が世界トップレベルにいることはわかります。
決勝進出者のラインで見ると、リオデジャネイロオリンピックの決勝進出者の最低タイムは13秒41で、2019年の世界選手権では13秒36になっています。

金井選手はこのタイムをマークしたあとの取材で「オリンピックの準決勝にピークを持っていく」と話していました。半端ではない緊張感のなか代表を決める選考レースで実力を発揮して代表をつかんだ金井選手。

今大会は2位で東京オリンピックの代表に内定したことについて金井選手は、「代表をとることが最低限の目標だったので、まずはほっとしている」と話しました。

そのうえで、東京オリンピックに向けて「決勝進出が目標なので、これから1か月間最大限の準備をしていきたい。国内で非常にハイレベルなレースをしているので、互いに高め合って刺激しながらやっていきたい」と意気込みました。

高山峻野選手とは

高山峻野選手は広島県出身の26歳。日本歴代2位となる13秒25の記録を持つハードラーです。

日本記録保持者の金井大旺選手とともに近年の成長著しい男子110メートルハードル界をけん引してきました。

1メートル82センチの長身を生かした正確なハードル技術が持ち味で、これまで日本選手権で3回優勝しているほか2018年のアジア大会では3位に入るなど勝負強さも兼ね備えています。

今シーズンは左のアキレスけんのけがなどで本来の走りができていませんでしたが、日本選手権に照準を合わせていました。

今大会、決勝のレースは4位と100分の1秒差で3位に入り、東京オリンピック代表に内定した高山選手は「あまり走りがよくなくだめだと思いましたが、代表を勝ち取れてうれしいです」と振り返りました。

また初めてのオリンピックに向けては「まずは予選を突破して、海外の選手と一緒に走ることで自分を高めていきたい」と話していました。

フライング失格の村竹は…

男子110メートルハードルの決勝でフライングで失格となった村竹ラシッド選手は「きのうはこれまでにないくらいいい状態で跳べた分、きょうは不安もあった中で、スタートに立ったときは吹っ切れたが、意気込みすぎてしまってフライングになってしまった。こんなところで人生初のフライングをしてしまって悔しいが、これも1つの経験だと思って次につなげたい」と振り返りました。

また、日本新記録で優勝し、オリンピック代表に内定した順天堂大学の先輩の泉谷駿介選手について「少し追いついたと思ったら、離されてしまったので、これからは12秒台を目指す勢いでレースに臨みたい」と話しました。