私、35歳 友だち減ってない?

私、35歳 友だち減ってない?
この夏、私、転勤することになりました。

友だちに報告しなくてはと、意気込んでLINEの「友だちリスト」を見ました。

報告するのは、○○ちゃんと、○○ちゃんと…。

「え、、2人しかいないかも、、、」

ネットの声でも、調査でも、友だちが減る時期ってあるみたいです。

(ネットワーク報道部 記者 谷井実穂子 吉永なつみ 井手上洋子)

友だち減りました

仕事を始めて14年目。

転勤の行き先を報告する友だちが2人という私。

でも、社会人になった頃の私は違っていました。
あの時は最初の転勤で、送別会という名のもとに学生時代の友だちが大勢、集まったっけ。

遠慮なく声を掛け合い確かにみんなが、来ていた。

再会があることを疑いもせず「またね!」と言って別れた。

それから10数年。

35歳になった私は悟りました。

「友だちが減った」のだと。

みんなも友だち減っていた!

気になってSNSを調べたら、結構そうした声が、飛び交っていました。
「30代になると急に友達減ったなぁと思うこの現象なに…?」
年齢的にも私と同じくらいの人たち。

よく読んでみると結婚したとしない、子どもがいるといない、双方がなんていうかお互いを気にして、ちょっと友人としての距離を置く雰囲気です。

友人の出産がそのきっかけになった、お子さんがいないと思われる方のツイートです。
「大好きな友達がこれから出産で、毎年バーゲン一緒に行ってた友達だったから本当寂しい。もう行けないな」
お子さんがいる方からも友だちが減ったの声が。
「子供出来てから友達減った!子供優先になる」
3年前の投稿ですが
「娘産んでからずっと悩んでる。 友達、減ったなぁって。独身だったり子供のいない友達の何人かは、距離を置くようになった」

「もう私は昔の私じゃないんだろうなぁ。赤ちゃん連れじゃ、めんどくさいんだろうか」
というものも。

私は子どもがいないので、子育て中の友だちを誘うのは迷惑になるんじゃないかとか思って、距離が遠のいてしまってます。

一方で、子育て中の人のツイートを見てもやっぱり気を使っているように思えます。

“友だち”っていうくくりにいた人たちが、大人になって、それぞれの生き方が分かれていく。

すると違う選択の人たちとよく言う“友だちつきあい”ができなくなることがある、30代から40代ってそういう時期でしょうか。
小説でも角田光代さんや唯川恵さん、柚木麻子さんがこうした友人関係のすれ違いをテーマに作品を書いていましたし、読みました。

“おとなになったら友だちをつくるのはとたんにむずかしくなる”といった言葉もあって、うなずいたりしました。

調べてみると…

友だちとのつきあいが減る傾向は世論調査の結果にもでています。

NHK放送文化研究所が加盟する研究グループが、2017年に行った調査です。

友人づきあいと生活の満足度との関連などを調べたもの。

この中で、親しい友人と直接会ったり電話やインターネットで接したりしている割合を聞いています。
18歳から29歳までの女性では「親しい友人と接触している頻度」が週1回以上というケースが67%です。

それが30代に入ると一気に減って44%、40代は45%となっていました。
NHK放送文化研究所世論調査部 村田ひろ子さん
「今回の調査では結婚されている方が20代までは15%ほど、それが30代では急に高くなり70%近くに、40代では80%近くになりました。そうしたライフステージの変化が友人関係に影響しているのかもしれません」

そういえば

そういえば、今回取材した3人で話していて、ひとつ気づいたことがありました。
昔、親しかった友人とは生き方が変わったり、出産したかどうかなんかで、気兼ねして友人関係が少し変わってしまうことがある。

でもそんな互いの背景を知らないまま、趣味やいわゆる“推し”を通して新しく知り合った人とは、割と気軽に友だちになれたりする。

そう、互いをよく知っているからこそ、意外と難しいことが友人関係にはあるんです、きっと。

楽になるわよ

そうは言っても、友だちが減っているのは現実で、ちょっとさみしいので悩みでもある。

みんなこの時期をどう過ごし、このあとどうなるのだろう。

それを知る身近にいる人生の先達と言えば、母だ。

聞くと答えはあっけらかんとしていました。
母(60代後半)
「楽になるわよ」
へっ?
「いまはそういうことに悩む時期なのよ。でも仕事も子育ても必ず一段落する。50代、60代になると置かれた状況に関係なく、また面白おかしくおしゃべりできるようになるわ」
そうか、同じ道を歩いていた友だちは、ある時、道が分かれて、別の方に行くかもしれない。
でも分かれた道はその先でつながっているという先達の教えだ!

あのころ好きな人の話題とかで、いくらでもおしゃべりできた友だちたち。

そうした時代がいつか、再び、再び!
母(60代後半)
「いや話題は違うわね、まあこの年になると『ここが痛い』『どこが悪い』みたいな話ばかり、あはは、いやになっちゃうけど」
母の声は字面よりもとても明るかった。

そもそも移ろうもの

別の記者も先達(母)に話を聞いてみた。

「同じ友だちとずっと一緒とは思わなくてもいいんじゃない」って話してくれたようだ。

“友だち=永遠ではなく時によって移ろうもの”。

それが私たちよりかなり長く生きた経験から導き出された見解。

友だち関係は、その時々の状況によって、得た価値観によって、そもそも変わってくるものでいいんじゃないかと。

うーん、深い。

いまの私の状況を言い当てているような気がとてもする。

答えなんてないけれど

この記事を書くのは少し勇気がいった。

そっとしておけばいいものを、表に引っ張りだすような気がしてしまって。

3人でやめようかとも話した。

でも取材してみて、小説のテーマに繰り返しなるほど、多くの人がこの“成年期の友人減少問題”に悩み、複雑な気持ちを持って過ごしていることがよくわかった。

これって専門家に聞いて「こうすればいい!」という答えがある簡単なものでもない。

友人との向き合い方は千差万別。

それぞれの中で、折り合いをつけていくしかない。

ただすぐに解決する方法などないにせよ、先達の言うとおり友人関係は長い目で見て、近づいたり遠のいたりすることが当然あるものだと思った方がいいように感じた。

とりあえず、いまは、時折SNSで流れてくる友だちたちの姿をそっと見守っていよう。

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