博士号取得 異色のジャンパー戸邉直人 内定ならずも… 陸上

東京オリンピックの代表選考を兼ねた陸上の日本選手権は大会1日目の24日、男子走り高跳びの決勝が行われ、この種目の日本記録保持者、戸邉直人選手が2メートル30センチの記録で2年ぶり4回目の優勝を果たしました。
しかし、東京オリンピックの参加標準記録2メートル33センチは3回跳んでいずれも失敗し、この大会での代表内定はなりませんでした。

羽生結弦選手のジャンプも研究

戸邉選手は今大会で内定はなりませんでしたが、オリンピックの参加標準記録にあと3センチと迫る2メートル30センチをただひとり跳んで優勝し、世界ランキングでの代表入りに一歩近づきました。

戸邉選手の跳躍は論理的に分析する探究心に支えられています。戸邉選手は大学院で走り高跳びを研究し、博士号を取得した異色のジャンパーです。
選手と研究者の二刀流を続け、みずからが実験台となって、跳躍動作を詳しく解析してきました。

研究の対象は意外な競技にも広がっています。それが高いジャンプ力が求められるフィギュアスケートです。
なかでも羽生結弦選手などトップスケーターのジャンプは大いに参考になるといいます。

難度の高い4回転ジャンプの成功には高さが不可欠です。
戸邉選手が着目したのは踏み切る軸足ではなくジャンプに入る前に振り上げる逆の足の動作でした。振り上げる足の使い方は高跳びのメカニズムと似ていて、戸邉選手は繰り返し動画を見て研究してきました。

戸邉選手は「振り上げる足を大きく後ろに引いてからすごい勢いで前に持ってくるその速さと力強さは素晴らしいし参考になる」と話しています。
今大会でもその振り上げ足をうまく使って2メートル30センチを跳びましたが、参加標準記録にはわずかに3センチ届きませんでした。

それでも今月22日時点の世界ランキングでは19位と、ランキングでオリンピックの代表に入れる位置にいて、今大会の好記録の優勝でさらに代表に近づいたことになります。

戸邉選手は「東京オリンピックの参加標準記録を出せなかったのは残念ですが、優勝できてほっとしました。風がいろいろな方向から吹いてきて、難しい状況でしたが、2メートル30センチの跳躍では最大限の力を出すことができました」と振り返りました。