高卒社員“すでに離職”企業側回答 約3割 就職支援会社が調査

民間の就職支援会社が企業の人事担当者などに調査した結果、この春に高校を卒業し入社した新入社員の中で「すでに離職した人がいる」と回答したのはおよそ30%に上りました。調査した会社は、新型コロナウイルスの影響で早期離職につながるミスマッチが起きている可能性があると分析しています。

就職活動を支援する大阪の会社「ジンジブ」は、今月、企業の人事担当者などを対象にインターネットで調査を行い、496人から回答を得ました。

それによりますと、高校生の採用を行っていると回答したのは227人で、このうち、この春に高校を卒業し入社した新入社員の中で「すでに離職した人がいる」と回答したのは70人で、率にして31%に上りました。

調査した会社は、高校卒業後の早期離職はこれまでも課題となってきたとしたうえで、新型コロナウイルスの影響で離職につながるミスマッチが起きている可能性があると分析しています。

会社によりますと、この春に高校を卒業し入社した人から「新型コロナウイルスの影響で実際に職場を見ることができずに入社したが、仕事になじめない」などの相談が寄せられています。

また、高校生を採用した企業からは「業務に追われて新入社員のフォローができない」という声が聞かれるということです。

佐々木満秀社長は「コロナ禍で希望した業界や職種に就職できなかった高校生が多いうえ、企業のことを十分に知らずに入社した人も少なくないため、早期離職につながっていると感じる。企業は入社後の教育体制やコミュニケーションの取り方をしっかり考え、フォローすることが重要だ」と話しています。

厚生労働省は、感染拡大による求人の減少などで、高校を卒業後、当初の希望とは違う業種に就職したケースも少なくないとみていて、全国のハローワークの窓口で相談に応じるなど支援を強化したいとしています。

調査した会社 “企業側は採用意欲高い”

大阪の会社「ジンジブ」が今月、高校生の採用を行っている企業の担当者227人に行った調査では採用の意欲が高いことがわかりました。

調査では来年春に卒業する高校生の採用の予定を聞いたところ
▼「増やす」が26%(58人)
▼「変わらない」が43%(97人)
▼「新たに始める」2%(4人)でした。

これらの回答をした人にその理由をたずねたところ「人材不足のため」が65%(103人)と最も多くなりました。

この会社が24日都内で行った勉強会では、参加した企業から「今の高校生は考えがしっかりしているし、SNSなどの感度が高い。若者の声を会社の事業にいかしたい」という声や「社員との年の差があり価値観などの違いからコミュニケーションをどうとればいいのか戸惑うこともあるが受け入れる企業側が理解をする必要がある」などの意見が出されていました。

また高校を卒業した後に就職した若手の社員からは「高校を通した就職活動では求人の数が限られたり希望の会社に応募できなかったりしたので、もっと柔軟な就職活動をしたかった」という声が聞かれました。