ランドセル 人気の色は?金額は? “ラン活”最新事情

ランドセル 人気の色は?金額は? “ラン活”最新事情
毎日、大事に背負って学校に。

教科書や持ち物を詰めすぎてパンパンに。

時に乱暴に振り回してしまって…

小学校の頃の思い出といつも一緒にあったランドセル。

コロナ禍の今、少し変化が起きているようなんです。

この記事でわかること
・悩む女の子、そのとき男の子は…
・ことしの人気1位は○○色
・購入額は?時期は?
・ランドセル最新トレンド
・コロナ禍で売り場に変化

女の子は悩むけど、男の子は…

ランドセルを購入する時には悲喜こもごものドラマがあります。

先日、あるツイートが話題になりました。
ランドセル選んできた。
色選びがね、一苦労。
「女の子は色で悩まれます」ってお店の人が言うから、
「男の子は?」
「背負ってもらえたらラッキーですね。ランドセルに興味ありません」
投稿したのは、5歳の娘を持つ40代の女性。

来年4月、娘が小学生になるのにあわせてランドセルを買いに行った際の出来事でした。

このツイートには共感が集まって8万5000以上の「いいね」がつきました。

さらにたくさんのコメントがついて、思い出話に花が咲きました。
「我が家の男子は、選ぶ時間3分あとは虫を探すのに夢中でした」

「6歳兄より末娘が熱心に選んでおりました。(兄は1分で飽きて遊びに行ってしまいました)」

「娘に選ばせたら、売り場で一番高いものをチョイス…」
投稿した女性
「さまざまな方がこんなに思い出を語れるランドセルってすごいですね。これから選ぶ方にも、たくさんのすてきな思い出ができますように」

人気の色 1位に異変が…

子どもたちを悩ませるランドセルの色。

実は、ことし人気1位が入れ代わる異変があったんです。

かばんメーカーでつくる団体、日本鞄協会ランドセル工業会は「ランドセルに関する購入調査」を毎年発表しています。

小学校に進学する子どものいる親を中心に1500人が回答しました。

ことしの調査で購入したランドセルの色を訪ねたところ、女の子の1位は去年の赤に代わって「紫/薄紫」になりました。
「紫/薄紫」が1位になるのは初めてです。

この理由をランドセル工業会の担当者に聞くと「アニメ映画などでお姫様の服装に紫色が使われるケースがあり、人気が出ているのではないか」ということでした。
女の子の順位では「うす茶」も初めて5位以内に入るなど人気が分散する傾向で、色の好みが多様になっているということです。

一方で男の子の色の順位は、2018年の調査開始以来まったく変化がなく、常に60~70%が「黒」を選んでいます。

冒頭で紹介したツイートのとおり、男の子は女の子ほど色にこだわっていないのかもしれません。

購入金額が過去最高!

気になるお金についての調査もありました。

購入した人のうち一番多い価格帯は、27.8%が選んだ「6万5000円以上」。

平均は5万5339円で、去年より1739円上昇して、過去最高になりました。

購入金額は、年々上がっています。
担当者の指摘
・セミオーダーや小売店の独自商品が増え、単価が上昇
・革などの原材料費の上昇
・少子化で1人あたりにかける予算が上昇
支払いは「両親」が42.8%の一方で、「祖父母」が53%となっていて、金額が上昇する中でおじいちゃんおばあちゃんが頼りになっているのかもしれません。

「ラン活」が激化? 購入のピークは

では、皆さんいつごろランドセルを購入しているのでしょうか。

過去には年末やお盆など、頼みの祖父母に会う帰省の時期が購入のピークになっていたということですが、年々前倒しされています。

去年は5月から8月にかけて多くの人が購入していました。
担当者の指摘
・小売店のランドセル売り場が3月ごろにオープン
・製造できる数が限られる人気の製品はすぐに売り切れる
まさにこの時期、6月ごろは“ラン活”がピークにさしかかっているかもしれません。

“ラン活” に変化

実際、来年4月の入学に向けた“ラン活”はどうなっているのでしょうか。

専門店の売り場を取材すると、いろいろな変化が見えてきました。

人気の色1位が「紫」になったと調査結果を紹介しましたが、最近のランドセル選びの最大のトレンドは色の多様化だといいます。

店内には、紫だけでなく、水色や鮮やかな緑、ピンクに白と、確かに色とりどりのランドセルが並んでいました。
セイバン 広報担当者
「ひと昔前は、あまり特徴的な色だとためらう親御さんもいましたが、今は何色でも受け入れられるようになっている傾向があります」

ドラゴンが人気になったわけ

一方、少し意外に感じてしまうランドセルも人気だといいます。

「剣とドラゴンの力強さを背に、勇敢な一歩を踏み出そう」

そんなコピーを掲げて、側面や内側にはドラゴンや剣をあしらった紋章がたくさん。
このランドセルが男の子向けで、売り上げナンバー1だというのです。

6年間使うには、少し子どもっぽすぎるのでは…
セイバン 広報担当者
「大人目線だと、少しびっくりするかもしれませんが、子どもの意思を尊重しようという親御さんが増えているんだと思います。もし高学年になった時恥ずかしくなったとしても、それも『経験』だと。事前に話しあったうえで、最後は子ども自身に決めてもらおうということのようです」
背景には、実は子育ての意識の変化があるのかもしれません。

最新トレンドは? “光る” “守る”

ほかにも、今の時流に合わせたランドセルも登場しています。

まず、ランドセルの縁の部分が夜間に車などのライトに照らされると明るく光る加工がされている“光る”ランドセルです。

暗い夜道や雨の日でも認識されやすくなるため、子どもが事故に遭わないよう心配する保護者から好評だそうです。
また、ICT教育の本格化で、タブレット端末を収納できる専用のポケットがついているランドセルも人気があるそうです。

大型のタブレットもすっぽりと収納でき、“守る”ことができます。
中には、素材にこだわった高級なランドセルもあります。

「革のダイヤモンド」といわれる貴重な馬の尻の革「コードバン」や、高級なヌメ革を使った物だと、値段は10万円以上に。

なんと、高い物では14万円もします。

性別問わず好きな色を

男の子は「黒」、女の子は「赤」。

こうした固定観念にとらわれない色とデザインを取り入れた商品も登場しています。

土屋鞄製造所は、子どもたちが性別にとらわれず自分の好きな色を選べるように、ことしから新しいシリーズを販売しています。

落ち着いた赤やグレーなど5色のランドセルは、すっきりとしたデザインで、男の子でも女の子でも選びやすくしました。
背景にあるのが、多様性を求める意識の高まりです。

この店は、来年春に小学校に入学する子どもを持つ保護者300人余りに対してアンケートを行いました。

自分が小学生の頃に使っていたランドセルは「黒」か「赤」だというのが9割を占めたのに対し、ランドセルの色は「性別による固定観念が無いほうがいい」という回答が8割にのぼりました。
こうした多様性に応える新シリーズのランドセルは、販売開始から3か月間の売り上げで、トップ5の商品のうち4つを占めるほど人気だということです。
土屋鞄製造所 広報担当者
「親世代の固定観念を当てはめず、子どもの好きなものを親が尊重してあげられるきっかけになるお手伝いができるとうれしいです」

バーチャルでお出迎え

ランドセル売り場は、コロナ禍で例年とちょっと違っている所もあるようです。

大手スーパーのイトーヨーカドーはことし3月、バーチャル店舗を開店しました。
気になったランドセルを画面上でクリックすると、価格や性能といった詳しい説明を見ることができ、担当者が性能を説明する動画も現れます。

気に入ったら、実際の店舗を訪れなくても、サイト上で購入できます。
イトーヨーカ堂 担当者
「ランドセルは6年間使う物なので、選ぶのにどうしても時間がかかり、売り場での滞在時間が長くなりがちです。コロナの影響で店に来るのが難しいというお客様もいるので開設しました」

みんなが選べるように

たくさんの種類が選べるようになったランドセルですが、決して安くないのも事実です。

子どもたちみんながランドセルを背負って新入学を迎えられるよう、支援する動きもあります。

茨城県結城市はことしから、小学校に入学する子どもがいるすべての家庭を対象に、ランドセルの支給を始めました。

しかも、用意したのは7種類です。
黒や赤だけでなく、流行の紫に、男女を選ばない茶色など。

できるだけ希望に応えられるようにと、多くの種類をそろえました。

さらに、不要になったランドセルを回収して、必要な人に渡す動きも出ています。

奈良市にある「ランドセルの木ノ下」がことし2月から始めた「ランドセルバンク」という取り組み。

回収したランドセルを店でクリーニングして、糸のほつれを直し、きれいな状態に仕上げてプレゼントします。
希望する人には来店してもらい、好きな物を選んでもらうほか、遠くの人には送ることもしています。

これまでに全国から200個ほどのランドセルが寄せられ、ことしは40人近くの新1年生にランドセルをプレゼントすることができました。
ランドセルの木ノ下 木下修平店長
「ランドセルはいわばお祝いの品です。初めて社会に出る際の『頑張って勉強してね』『応援しているよ』という思いが込められています。どんな状況にある1年生も、みんな希望を持って入学式を迎えてもらいたいです」
例年、盛り上がりを見せる“ラン活”には、親や周りの人の子どもへの思いがいっぱい詰まっているようです。

(ネットワーク報道部 記者 大窪奈緒子 加藤陽平 鈴木有)