大阪 緊急事態宣言解除も医療現場からは「第5波」を警戒する声

一時、危機的な状況に陥った大阪の医療提供態勢は、重症病床の運用率がおよそ35%となるなど改善されつつあります。しかし、インドで確認された変異ウイルスの感染拡大の兆しが見えるほか、PCR検査の数も減っていないことから、医療現場からは「第5波」の発生を警戒する声が上がっています。

新型コロナの中等症の患者を受け入れている大阪市立十三市民病院では、4月下旬から先月上旬のピーク時には、70床のうち61床が埋まり、受け入れはほぼ限界の状態が続いていましたが、現在、入院患者数は、23人にまで減少しています。

それでも病院では今も病床数をピーク時と同じ、70床を確保しています。

背景にあるのが第5波への備えです。

西口幸雄病院長が、重視しているのが、症状を訴えるなどしてPCR検査に訪れる人の数が減少していない実態です。

大阪府内の新型コロナの検査件数は、日によって変動はあるものの、1週間単位でみると、今月第1週は1日当たりおよそ1万件、第2週は1日当たりおよそ1万1100件、第3週は1日当たりおよそ1万0300件と、いずれも1万件を超えています。

3月に2度目の緊急事態宣言が解除された際にも、入院患者は減ったものの検査に訪れる人が特に若い世代で増えるなど、今と類似した状況だったとしています。

さらに大阪など各地で人出が増えていることが、感染の再拡大につながりかねないとして、西口病院長は「今の状況は、前回の宣言が解除された3月の状況とよく似ている。前回はイギリス変異株で感染者が大幅に増えたが、今回もインド変異株の影響で今後、同じように感染の急拡大が起きることを心配している。ワクチンもまだ十分に接種が進んでいない状況で、『第5波』は来ると思っている」と警戒を強めています。

そのうえで「今後、万が一、感染が拡大したときに備え、常に病床を確保し、受け皿になろうとしているが、やはり、人の流れを抑えないと感染拡大は防げない。解除後も、ワクチンが行き渡るまでは今までどおり、手洗いやマスク着用、3密を避けこととに注意してもらいたい」と呼びかけています。