コロナ禍の学生支援から朝鮮大を除外 国連特別報告者 是正要求

新型コロナウイルスの影響で生活が困窮した学生に最大で20万円を支援した国の制度で、朝鮮大学校は適用されなかったことに関して、国連の特別報告者は「人種や民族に基づく差別にあたるおそれがある」として是正を求めました。これに対し政府は「差別にはあたらない」と回答しました。

政府は去年5月からことし3月まで、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、生活が困窮した学生に最大で20万円の給付金を支援し、支援の総額はおよそ503億円にのぼりました。

この支援制度には外国からの留学生も含まれましたが「成績が優秀である」といった要件が設けられ、また、朝鮮総連=在日本朝鮮人総連合会が、都内に設立した朝鮮大学校は対象外とされました。

こうした点に関して、国連人権理事会から任命された人種差別問題担当のアチウメ特別報告者など、人権や教育などを担当する4人の特別報告者は、ことし2月「社会的少数者の教育機会を脅かし、人種や民族に基づく差別にあたるおそれがある」などとして、是正を求める書簡を政府に送付しました。

これに対して政府は4月、給付支援制度の対象は大学、短大、専門学校、それに日本語学校などに限られ、朝鮮大学校が対象に含まれなかったのは学校教育法の「各種学校」に該当するためであり、人種などに基づく差別にはあたらないなどと回答し、是正に応じませんでした。