スポーツクライミング 五輪代表内定の野口・楢崎が優勝

スポーツクライミングの複合の日本一を決めるジャパンカップが盛岡市で行われ、東京オリンピックへの調整として国内では最後の実戦に出場した女子の野口啓代選手と男子の楢崎智亜選手が優勝しました。

この大会は、18日から2日間、盛岡市で行われ、オリンピック代表に内定している女子の野口選手と野中生萌選手、男子の楢崎選手がオリンピックへの調整と位置づけて出場しました。

ことしのジャパンカップは、3年後のパリオリンピックに合わせて、ボルダリングとリードの2種目の複合で行われ、決勝では女子の野口選手がボルダリングで課題と呼ばれる複数あるコースを3つのうち2つ登り切って1位となり、登った高さを競うリードでもただ1人、ゴール近くまで迫り、両種目トップで優勝しました。

野中選手はボルダリングとリードでいずれも2位で、総合成績も2位でした。

男子は、楢崎選手がボルダリングで3つの課題のうち2つを登り切って1位、リードでも3人並んでの1位となり、優勝しました。

また、3人は、東京オリンピックで行われる3種目複合を想定してジャパンカップの前にスピードの記録会にも臨み、オリンピックと同じ流れを確認しました。

男子で優勝した楢崎選手は「優勝したことは素直にうれしいがリードは反省点があった。でも、どんな形でも優勝できてよかった」と安どの表情を浮かべました。
そして1か月あまりに迫った東京オリンピックに向けて「大会が延期されたこの1年は長く感じたが、トレーニングで自分の弱点や長所に向き合うことで、パワーアップもできた。大会について確定していないことがあっても、自分はぶれずに目標を大切にして、金メダルを目指すことと最高のパフォーマンスを発揮することを忘れずにやりたい」と話していました。

今大会を欠場した原田海選手を加えたオリンピック代表内定選手の4人は、今月23日からオーストリアで開かれるワールドカップに出場し、オリンピック前、最後の大会に臨みます。

野口「オリンピックに弾みをつけたい」

複合のジャパンカップとしては3大会ぶりに優勝した野口選手は「ことしの今までの大会はいまいち集中しきれなかったが、今回は本当に集中して自分らしいトライができた。来週出場するボルダリングとリードそれぞれのワールドカップで両方とも決勝に進んでオリンピックに弾みをつけたい」と笑顔で話しました。

また、東京オリンピックで現役を引退する32歳の野口選手にとって、今大会は国内大会としての最後でもありました。野口選手は「きのうの夜もすごくさびしかったが、その分、いい一日にしよう、楽しんで登ろうと思った」と話し、その一方で「大会にひとつ出ると気付きや成長があり、今回は自信を得られた。まだまだ頑張りたい」と、集大成の東京オリンピックを見据えどん欲な向上心ものぞかせました。

野中「オリンピックまで駆け抜けたい」

野中生萌選手は「ボルダリングですべて完登していたら結果が違ったので悔しいが、リードは自分の想像以上に頑張れたのでよかった」と振り返りました。

1か月余りに迫ったオリンピックに向けて「あと1か月余りでまだ改善できる点はたくさんあって、それらを改善できる自信もあるし、過去の自分と比べても調子が上がっている。このまま集中してオリンピックまで駆け抜けたい。100%楽しみでしかない」と目を輝かせていました。

楢崎 五輪に向け「楽しみだが 多少緊張」

「3種目を通せる最後の大会なので、全力で最高のパフォーマンスを発揮したい」

予選後に今大会の大切さを強調した楢崎智亜選手。東京オリンピックと同じ3種目の流れを実戦形式で確認し、ボルダリングとリードの2種目複合の大会としては有言実行の優勝を果たし、本番へ弾みをつけました。

楢崎選手はおととし8月の世界選手権の複合をスピード2位、ボルダリング1位、リード2位と圧巻の内容で制し、東京オリンピックの切符をつかむとともに初代オリンピック王者の最有力候補に躍り出ました。
金メダルを確実につかむため、この2年近くの間に取り組んできたのが、弱点を補いより完全な強さを手に入れることでした。

その1つが、楢崎選手が複合を戦ううえで「よい順位を取ることが必須」と位置づけるボルダリングでの苦手克服です。もともとダイナミックな“動的”な動きを得意とするのに対し、じわじわ力を発揮する“静的”な動きが苦手でした。

そこで、ことしから新たにボルダリングのコーチをつけ、てこずる課題を設定してもらい客観的なアドバイスを得ながら徹底的に向き合ってきました。ことし3月には練習量の多さにひじを痛めたほどでした。

今大会の予選の第1課題は、スプーンのような形をしたホールドが横に並び、親指に力を入れ続けながらじわりと移動することが要求される設定でした。

そこでも楢崎選手は1回のトライで登り切り「ボルダリング全体として完登に要するトライ数が少なくなっていて成長は見られると思う」と自信を深めていました。

オリンピック開幕があと1か月余りに迫っている現在の心境を尋ねられ「楽しみがいちばんだが、多少緊張している。周りからの期待も感じるし、自分が自分自身に期待している」と答えた楢崎選手。
万全に準備を整え、気持ちの高ぶりを徐々に感じながら初の大舞台を迎えようとしています。