宣言解除を前に 都内の酒卸売り会社 出荷作業に追われる

東京都が21日から利用人数や滞在時間を制限したうえで、飲食店での酒の提供を認めることを受け、酒の卸売り会社には注文が相次ぎ、出荷作業に追われています。

およそ3000か所の飲食店などに酒を納入している東京 新宿区の酒の卸売り会社「佐々木酒店」では、18日夜から、取り引き先からのアルコール類の注文のファックスや電話が相次いでいます。

19日は、これまで台数を減らしていた配送用のトラックをすべて稼働させ、朝から社員が生ビールのたるや日本酒、焼酎の瓶などをトラックに積み込み、飲食店などに向けて発送していました。

この会社では、酒を提供する店に休業要請が出された4月下旬以降、売り上げが大幅に落ち込んでいましたが、東京都が酒の提供の容認を発表した18日夜は、ここ1か月間の一日平均の4倍ほどの注文があったということです。

現在は仕入れを2割ほど増やして対応していますが、今後は飲食店の客足の回復状況を見ながら入荷量を調整したいとしています。

佐々木実社長は「注文が相次いでいて、久しぶりに社員も張り切り活気づいている。酒の提供ができないというこれまでに経験のない状況だったが、制限つきとはいえ再開され一歩踏み出せたと思う。まだまだ厳しい状況には変わりないので、国は企業存続のためさまざまな支援をしてほしい」と話していました。

京都 清水寺は閑散

21日からまん延防止等重点措置に移行する京都市の観光地では、これまでどおり観光客の姿は少なく閑散としています。

京都など7都道府県では、緊急事態宣言が20日で解除され、21日から来月11日までの期間、まん延防止等重点措置に移行します。

これを受けて京都府は18日、京都市を「重点措置」の対象地域とし、飲食店などに対し営業時間を午後8時まで、酒類の提供を感染対策を取ったうえで午後7時までとするよう要請することを決めました。

ふだんは多くの観光客でにぎわう京都市東山区の清水寺の周辺では、週末の19日も行き交う人の姿は少なく貼り紙で臨時休業や閉店を示す土産物店や飲食店が多く見られました。

地元の商店街組合の会長を務め、竹細工店を営む神田智弘さんは「宣言が解除されれば活気が出てくるかと期待していましたが、軽い措置に切り替わるだけなので、人も戻ってこないのではと思っています。しかたないですが残念です」と話していました。

福岡 街の声は

福岡県に出されている緊急事態宣言は20日をもって解除され、週明けの月曜日からは「まん延防止等重点措置」に移行します。

こうした中、福岡市では引き続き、感染防止に気をつけたいという声が聞かれました。

60代の男性は「緊急事態宣言の解除はうれしいですが、感染状況が今後どうなるかわからないのでまだ不安です。酒類が提供可能になっても外で飲むのは控えたいです」と話していました。

また、子ども連れの30代の女性は「宣言中は行きづらかったので、子どもを公園や動物園に連れて行ってあげたいです。解除されても感染に気をつけて行動するのにかわりはないです」と話していました。

一方、20代の女性は「新規の感染がゼロに近づくまで宣言は続けたほうがいいと思います。つらいですが、我慢は必要だと思います」と話していました。

このほか、イベント関連の仕事をしている20代の男性は「新型コロナウイルスは終わったわけではないので、まだ気は抜けないと思います。自分以外にも仕事がなくて困っている人がいると思うので協力していきたいです」と話していました。