五輪・パラ「最新研究踏まえ感染対策を」 重症患者治療の医師

東京オリンピック・パラリンピックの開催について、東京で新型コロナウイルスの重症患者の治療を行ってきた医師は、開催によって感染が再び拡大し、医療のひっ迫が起きるのを防ぐため、無観客での開催や、観客を入れる場合には最新の研究を踏まえた感染対策を取ってほしいと訴えています。

国立国際医療研究センターの忽那賢志医師によりますと、17日の時点で入院している患者は20人ほどと1か月前の半分ほどに減り、医療現場の状況は確実に改善してきているといいます。

その中で、東京都では感染拡大の前に増えることが多い現役世代の感染者の割合が多くなっていて、東京オリンピック・パラリンピックの開催で、感染が再拡大して医療のひっ迫につながらないか、懸念しているとしています。

忽那医師は「医療従事者の立場からすると、オリンピックの開催によって患者さんが増えるとまた負担になるという不安がある。選手の方々も頑張ってきてわれわれも勇気づけられることはあり、開催する意義はあると思うが、開催するのであれば、感染が広がるリスクを最低限にとどめる対策を行うべきだ」と話しています。

そのうえで、忽那医師は「観客を入れると、客席の距離を十分に空けたとしても、トイレに行く時など距離を保ちにくくなるタイミングが必ず出てくる。リスクを極力減らすという意味では無観客での開催が理想だ」と話し、観客を入れるのならばイベントでの感染対策についての最新の研究を踏まえて対策を徹底してほしいと訴えました。