新型コロナ ほとんどの地域で減少も 東京は下げ止まり傾向明確

新型コロナウイルスの新規感染者数を1週間平均で比較すると、緊急事態宣言が延長される沖縄県を含むほとんどの地域では減少していますが、20日が宣言の期限となる東京都では前の週とほぼ変わらず、下げ止まりの傾向が明確になっています。

1週間平均での新規感染者数の傾向

NHKは、各地の自治体で発表された感染者数を基に、1週間平均での新規感染者数の傾向について前の週と比較してまとめました。

全国

全国では5月中旬以降減少に転じ、
▽5月20日までの1週間では、前の週に比べて0.85倍
▽5月27日は0.77倍
▽6月3日は0.69倍
▽6月10日は0.72倍
▽18日まででは0.74倍となっています。

感染者数は、5週連続で減少が続いていて、1日当たりの新規感染者数は、およそ1550人となっています。

緊急事態宣言の地域

緊急事態宣言が出されている地域では、7月11日まで緊急事態宣言が延長される沖縄県でも2週連続で減少し、10都道府県すべてで減少していますが、東京都は感染者数の減少のスピードが鈍化し、下げ止まりの傾向が明確になっています。

【東京都】

▽6月3日までの1週間では、前の週の0.81倍
▽6月10日は0.82倍でしたが、
▽17日まででは0.99倍で下げ止まっていて、
1日当たりの新規感染者数は、およそ386人と、依然として多い状態が続いています。

【沖縄県】

大型連休明けから感染が急速に拡大し、
▽5月23日に緊急事態宣言が出されたあと、
▽6月3日までの1週間でも前の週の1.22倍と増加していましたが、
▽6月10日は0.71倍
▽17日まででは0.60倍と、2週連続で減少しました。

しかし、1日当たりの新規感染者数は、およそ111人で、人口当たりの感染者数でも依然、高い水準となっています。

【北海道】

▽6月3日までの1週間では、前の週の0.59倍
▽6月10日は0.56倍
▽17日まででは0.52倍と、
3週連続で減少していて、1日当たりの新規感染者数は、およそ96人となっています。

【愛知県】

▽6月3日までの1週間では、前の週の0.65倍
▽6月10日も0.65倍
▽17日まででは0.54倍と、
4週連続で減少していて、1日当たりの新規感染者数はおよそ104人となっています。

【大阪府】

▽6月3日までの1週間では、前の週の0.63倍
▽6月10日は0.74倍
▽17日まででは0.68倍と、
7週連続で減少し、1日当たりの新規感染者数は、およそ104人となっています。

【兵庫県】

▽6月3日までの1週間では、前の週の0.59倍
▽6月10日は0.69倍
▽17日まででは0.59倍と、
5週連続で減少していて、1日当たりの新規感染者数は、およそ35人となっています。

【京都府】

【京都府】
▽6月3日までの1週間では、前の週の0.64倍
▽6月10日は0.93倍
▽17日まででは0.52倍と、
5週連続で減少していて、1日当たりの新規感染者数は22人となっています。

【広島県】

▽6月3日までの1週間では、前の週の0.50倍
▽6月10日は0.47倍
▽17日まででは0.73倍と、
4週連続で減少していて、1日当たりの新規感染者数は、およそ27人となっています。

【岡山県】

▽6月3日までの1週間では、前の週の0.44倍
▽6月10日は0.38倍
▽17日まででは0.51倍と、
5週連続で減少していて、1日当たりの新規感染者数は、およそ7人となっています。

【福岡県】

▽6月3日までの1週間では、前の週の0.51倍
▽6月10日は0.49倍
▽17日まででは0.64倍と、
5週連続で減少していて、1日当たりの新規感染者数は40人となっています。

「まん延防止等重点措置」適用中の地域

「まん延防止等重点措置」が適用されている地域では、20日に解除される岐阜県と三重県などでは減少していますが、期限が延長される千葉県や神奈川県などでは減少のペースが鈍り、下げ止まりとなっています。

【神奈川県】
▽6月3日までの1週間では、前の週の0.86倍
▽6月10日は0.98倍
▽17日まででは0.92倍と、
ほぼ横ばいの状態が続いていて、1日当たりの新規感染者数は、およそ190人となっています。

【千葉県】
▽6月3日までの1週間では、前の週の0.84倍と、3週連続で減少していましたが、
▽6月10日は1.03倍
▽17日まででも1.03倍と、
下げ止まっていて、1日当たりの新規感染者数は、およそ101人となっています。

【埼玉県】
▽6月3日までの1週間では、前の週の0.79倍
▽6月10日は0.81倍
▽17日まででは0.78倍で、
1日当たりの新規感染者数は、およそ73人となっています。

【岐阜県】
▽6月3日までの1週間では、前の週の0.86倍
▽6月10日は0.44倍
▽17日まででは0.59倍で、
1日当たりの新規感染者数は、およそ16人となっています。

【三重県】
▽6月3日までの1週間では、前の週の0.98倍
▽6月10日は0.63倍
▽17日まででは0.56倍で、
1日当たりの新規感染者数は、およそ9人となっています。

専門家「感染増加の兆候でちゅうちょせずに手を打つことが大事」

新型コロナウイルス対策にあたる政府の分科会のメンバーで、東邦大学の舘田一博教授は現在の感染状況について「緊急事態宣言が延長される沖縄県は、油断はできないが確実に減少傾向が見られる。一方で東京都は下げ止まりの傾向が強く見られ、来週以降、リバウンドの兆候がさらに見えてくる可能性が高いと考えておかねばならない」と指摘しました。

そのうえで「東京都で宣言が解除され、一部の飲食店でお酒の提供が始まり、さらにオリンピックの開催でお祭り気分になって気が緩むおそれがある。観客を入れて大会を開催する場合は人の流れが増加し、濃厚接触の機会も増えると考えられる。そこに感染力が強いと指摘されるインドで確認された変異ウイルス『デルタ型』の影響が重なって、前に大阪で見られたような爆発的な感染者数の増加になるというのが最悪のシナリオだ」と述べ懸念を示しました。

さらに、舘田教授は「1週間平均で1日の感染者数が500人程度にまで戻ると『ステージ4』の状況になるので、医療現場の状況も見ながら、緊急事態宣言を遅れることのないように出すことを考えないといけない。爆発的な感染の増加の兆候が見られた段階で、ちゅうちょせずに次の手を打つことが大事で、オリンピックが始まるからといって、対策が遅れることがあってはならない」と話しています。