意識もうろうで運転か 歩行者死傷でタクシー運転手 書類送検

ことし1月、東京 渋谷区でタクシーが歩行者を次々にはね、1人が死亡、5人が重軽傷を負った事故で、死亡したタクシー運転手が当時、くも膜下出血の症状で意識がもうろうとしていたにもかかわらず、およそ10分間にわたって運転を続けたとみられることが捜査関係者への取材で分かりました。警視庁は、運転手を18日に過失運転致死傷の疑いで書類送検しました。

ことし1月、渋谷区笹塚の甲州街道で、タクシーが横断歩道を渡っていた歩行者を次々にはね、近くに住む49歳の女性が死亡したほか、小学生の男の子を含む5人が重軽傷を負いました。

この事故で、タクシーの73歳の男性運転手も病院に搬送されましたが、ことし3月、意識が戻らないまま死亡しました。

事故が起きた当時、くも膜下出血を起こしていたということです。

警視庁が、その後、ドライブレコーダーの映像を解析するなどして捜査を進めた結果、運転手が当時、意識がもうろうとしていたにもかかわらず、客を乗せた状態でおよそ10分間にわたって運転を続けたとみられることが捜査関係者への取材で分かりました。

ドライブレコーダーには、運転手がうつむいた状態で体を揺らしたり、タクシーが蛇行したりする様子が写っていたということです。

警視庁は、そのまま赤信号の交差点に進入したことが事故につながったとして、運転手を18日に過失運転致死傷の疑いで書類送検しました。

体調に異変も運転続け事故 過去にも

国土交通省によりますと、バスやタクシーなどの運転手が体調に異変を感じたあとも運転を続け、重大な事故につながったケースは2018年までの5年間で少なくとも3件あり、2人が死亡、26人がけがをしています。

このうち2018年10月には、横浜市の国道で路線バスが、赤信号で停止していた車に追突するなどして、乗客の男子高校生が死亡したほか、6人が重軽傷を負いました。

国の調査委員会が、ことし1月にまとめた報告書によりますと、バスの運転手は当時、失神していた疑いがあり、事故の数十秒前には血の気が引くような感覚があるなど体調に異変を感じていたということです。

しかし、運転手は調査に対し「バスを停止させようという考えには至らなかった」と話していたということで、調査委員会は体調に異変を感じたにもかかわらず、そのまま運転を続けたことが事故につながったと考えられると指摘しています。

運転を続けてしまう理由について、国土交通省は代わりの運転手が必要になり、会社や乗客に迷惑をかけてしまう、といった運転手の意識が背景にあるのではないかとしています。

こうした中、国土交通省は事業者に対し、引き続き運転手の健康管理の徹底を求めるとともに、体調に異変を感じたらすぐに運転をやめたり、ためらわずに報告したりできる環境を整えるよう指導することにしています。