政府の大規模接種センター きょうから18歳~64歳にも接種開始

政府が設置した新型コロナウイルスワクチンの大規模接種センターは17日から、18歳から64歳の人を対象に加えての接種が始まりました。

政府の大規模接種センターは先月24日の開設以降、65歳以上の高齢者を対象に接種が進められてきましたが、予約枠に空きがあったことから18歳から64歳の人も対象に加えられ、17日から接種が始まりました。

東京 大手町の会場には、高齢者に交じって会社員や飲食店の従業員など64歳以下の人たちが次々と訪れ受け付けが行われる建物に入っていきました。

製薬会社に勤めているという東京 墨田区の28歳の男性は「仕事で病院に出入りする機会もあり、安心感を持ってもらうためにもできるだけ早く接種を受けたいと思っていました。地元では自分たちの年代はまだ接種を受けられないので、こちらを選びました」と話していました。

防衛省によりますと、今月20日までの4日間については、東京会場、大阪会場ともに16日夜の時点で予約は埋まり、東京会場は今月21日から27日までの1週間についても、17日午後、予約は埋まったということです。

一方、大阪会場は、今月21日から27日までの分は17日午後5時の時点でおよそ1万6800件の空きがあるということです。

今月28日以降は2回目の接種を受ける人で予約枠はほぼ埋まっていることから、防衛省は、大阪会場については、接種を希望する人は早めに予約するよう呼びかけています。

東京会場についても、キャンセルが出れば接種の前日までは予約ができます。

接種を受けるには接種券が必要で、予約はインターネットのほか、電話でも受け付けています。

電話番号は、東京会場が0570-056-730、大阪会場が0570-080-770で、土日祝日も含め、午前7時から午後9時まで受け付けられています。

大阪会場でも若い世代の人たちが接種に

大阪市に設置された会場では若い世代の姿も見られ、早速、接種を受けていました。

接種を受けた大阪 箕面市の28歳の女性は「きのう接種券が届いたのですぐに予約しました。2回の接種を終えたら海外旅行をしたいです」と話していました。

予約を申し込むには高齢者と同じように接種券が必要なため、大阪府内の自治体では64歳以下の市民に接種券が行き渡るよう急きょ、発送を前倒しする動きも出ています。

64歳以下の人 大規模接種センターでの接種選んだ理由

17日に接種を受けに来た18歳から64歳の人は、なぜ、大規模接種センターでの接種を選んだのか、東京の会場で話を聞きました。

話を聞いた10人余りは全員が、すでに18歳から64歳の人全員に接種券を発送した、東京 墨田区、または中野区から訪れていました。

中野区の60歳の女性は、大阪で1人で暮らしている母親に安心して会いにいきたいと、接種を受けに来たといいます。

女性は「大型連休に大阪に行きましたが、そのときはガラス越しにしか会えなかったので、今度は一緒に外出したい。2回の接種が終わったら、お盆休みには会いにいくつもりです」と話していました。

中野区に住む35歳の女性は、この2年、北海道の夫の実家に帰省しておらず、2歳になる長女は生まれてから1度も義理の母親に会わせることができていないといいます。

女性は「地元ではまだ接種を受けることができず、なるべく早く接種を受けたいと思ってきました。来月中旬に2回目の接種を受けたら、その4日後には帰省する予定で、飛行機のチケットも予約しています。早く孫を抱いてもらいたい」と話していました。

メーカー勤務だという中野区の63歳の男性は、今は取引先に不安を与えないよう出張は控えていて、接種を受ければ出張を再開できると考え、地元より早く接種を受けられる大規模接種センターを選んだといいます。

男性は「今は対面でコミュニケーションを取ることはできませんが、ワクチンの接種を受けていれば安心して受け入れてもらえると思います」と話していました。

また、中野区に住む32歳の大学職員の男性は「ニュースで予約枠が余っていると知ったので、接種を受けることにしました。オンライン授業なので、学生と触れ合う機会は少ないですが、全くないわけではないので、接種を受ければ学生の安心にもつながると思います」と話していました。

基礎疾患あり介護の仕事「接種券なくても接種を」

一方、基礎疾患のある埼玉県の男性は、接種を受けるのに必要な接種券が届いておらず「接種券がなくてもワクチンを接種できるようにしてほしい」と訴えています。

埼玉県所沢市に住む50代の男性は「慢性肺疾患」という肺の基礎疾患があり、新型コロナに感染すると重症化する可能性もあります。

さらに介護の仕事で毎日多くの人と接するため、常に感染への不安を抱えていて、できるだけ早くワクチン接種をしたいと考えていますが、まだ接種券が届いていません。

男性は市役所に電話をして、接種券がいつ届くのか問い合わせましたが「まだ決定していない」と言われたということです。

所沢市によりますと、高齢者への接種券は先月25日に発送しましたが、17日の時点で64歳以下や基礎疾患のある人の接種券の発送は、まだ時期が決まっていません。

男性は「基礎疾患があるので、新型コロナに感染すると重症化する可能性があって、早くワクチンに打ちたいが、道筋が見えずに不安になる」としたうえで「接種券が届いていない自治体に住んでいると予約ができないのは不公平で、早い者勝ちのように感じる。本人確認は免許証やマイナンバーでもできるので、接種券がなくても打てるようにしてほしい」と訴えています。

東京23区の担当者「国にはしごを外された思い」

東京23区のうち、ある区の担当者は「これまで基礎疾患のある人や高齢者施設などの職員を優先するためにきめ細かいスケジュールを組んできたが『接種券を送ってくれないと国の大規模接種の予約ができない』という苦情が区に殺到していて、国にはしごを外された思いだ。こうした声に応えたいが、区の職員の業務がパンクしてしまうので現状では不可能だ」と話していました。