香港警察 「リンゴ日報」5人逮捕 反政府的な動きを取締り

香港の警察は、中国に批判的な論調で知られる新聞「リンゴ日報」の編集部門のトップら5人を、香港国家安全維持法に違反した疑いで逮捕しました。

香港の警察は17日、記者会見し、中国に批判的な論調で知られる香港の新聞「リンゴ日報」の編集部門のトップや経営部門の幹部ら男女合わせて5人を、反政府的な動きを取り締まる香港国家安全維持法に違反した疑いで逮捕したと発表しました。

リンゴ日報が2019年から30回以上にわたり、記事などを通じて外国の組織などに対し、中国や香港の政府に制裁を科すよう呼びかけたとして、外国勢力と結託し、国家の安全に危害を加えた疑いがあるとしています。

また、警察は印刷工場などの資産合わせて1800万香港ドル、日本円でおよそ2億5000万円余りを凍結したほか、500人体制で関係先を捜索したということです。

リンゴ日報をめぐっては、創業者の黎智英氏がおととし行われた複数の抗議活動に関連して、無許可の集会に参加した罪で実刑判決を受け、刑務所に収容されているほか、国家安全維持法違反などの罪にも問われ、裁判が続いています。

香港の警察トップはこれまでリンゴ日報に対し「誤った報道で社会の憎悪を呼び起こしている」などと非難を繰り返していました。

中国共産党創立100年と香港の中国返還記念日を来月1日に控える中、香港では政府に批判的な論調を続けるリンゴ日報の存続を懸念する声もあがっています。

香港の警察 取材資料も差し押さえ可能に

香港の警察は17日朝早く、事件の証拠を集めるためリンゴ日報の本社を捜索しました。

リンゴ日報がSNSに掲載した映像では、警察の車両が次々と本社に到着し、大勢の警察官が建物の中に入っていく様子が見られました。

警察は、裁判所からの捜索令状では、国家安全維持法43条に基づき、取材に関わる資料なども差し押さえることができるとしていて、記者の取材源が警察に把握されるおそれが出ています。

国家安全維持法の43条には「犯罪の証拠が残っている可能性のある場所や電子設備を捜査することができる」と記されています。

リンゴ日報「夜明けが訪れるその時まで闘い続ける」

「リンゴ日報」はインターネット版で、読者に向けた声明を発表しました。

声明では「警察が500人を動員して5時間にわたって行った捜索で、記者たちのパソコン38台が押収されており、その中には取材の資料が大量に含まれている。香港で保障されている言論の自由が危ぶまれる事態だ」と警察の対応を強く非難しました。

そのうえで「どんなに弾圧に直面しても、リンゴ日報の全員が自分の役割に忠実に、夜明けが訪れるその時まで闘い続ける」と決意を表明しています。

香港記者協会や民主派政党が批判や非難

香港の警察が「リンゴ日報」の幹部を逮捕したことについて、香港政府の保安部門のトップ、李家超局長は17日記者会見し「今回の逮捕はメディア全体を標的にしたものではなく、取材の自由や言論の自由は引き続き保障される」と説明しました。
これに対して、香港記者協会の楊健興代表は、香港メディアの取材に応じ「今回は記者のパソコンなども捜査の対象となっている。今後どのような取材が問題視されるのか分からず、記者の心理的な圧力が増すとともに、情報提供者にとっても圧力となってしまう」と述べて、言論の自由を脅かす事態だとして、警察の対応を批判しています。

また、民主派の政党、民主党は声明を出し「恐怖によって香港の市民とメディアを黙らせようとしている。言論の自由は香港の核心的な価値であり、政府はメディアの発表の機会をつぶそうとしている」などと強く非難しました。