日本が無償提供のコロナワクチン ベトナムに到着

日本政府が無償で提供したおよそ100万回分の新型コロナウイルスのワクチンが16日夜、ベトナムに到着しました。

ワクチンを積んだ航空機は現地時間の16日夜10時前、ベトナムの首都ハノイの空港に到着しました。

日本政府が提供したのはアストラゼネカなどが開発したワクチンおよそ100万回分で、空港にはグエン・タイン・ロン保健相らが駆けつけました。

ベトナムはこれまで厳格な対策で新型コロナウイルスの感染拡大を抑え込んできましたが、4月末以降、変異ウイルスの拡大などに伴って感染者数が大幅に増えています。

ワクチンの接種は15日の時点で少なくとも1回接種した人が人口に占める割合が東南アジアの中で最も低い1.6%余りにとどまっていて、ワクチンの確保が急務となっています。
ロン保健相は「ワクチンの提供に心から感謝を申し上げる。最大限活用したい」と述べ、感染者の数が多い南部の都市ホーチミンで使用する考えを示しました。

ベトナムには日本が提供したものも含めてこれまでにおよそ400万回分のワクチンが届いていますが、ベトナムの人口は9700万人余りで、ベトナム政府は国民の7割が接種できる量を年内に調達する方針を掲げて各国政府や製薬会社に働きかけを強めています。

ベトナムではベトナム国産ワクチンの臨床試験も

新型コロナウイルスワクチンの調達が急務になっているベトナムでは国産ワクチンの製造も進められていて、先行している製薬会社は今月10日から最終となる第3段階の臨床試験を行っています。

この臨床試験は18歳以上のおよそ1万3000人が対象で、首都ハノイの会場では被験者は体温を測ったあと医師による問診などを経て接種を受けていました。

臨床試験に参加した30代の女性は「感染から自分と社会を守るため参加を決めました。ワクチンを開発した人々を誇らしく思いますし、ベトナムがつくったワクチンを接種できてうれしいです」と話していました。

製薬会社はこのあと被験者の観察を通じてワクチンの安全性や有効性を評価し、ことし9月以降に臨床試験の結果を明らかにする見通しです。