「線状降水帯」の発生知らせる情報 きょう運用開始 気象庁

発達した積乱雲が帯状に連なり、大雨による被害をもたらす「線状降水帯」。気象庁は、この「線状降水帯」による大雨が確認された場合、土砂災害や洪水の危険性が急激に高まったことを知らせる「顕著な大雨に関する情報」の運用を17日から始めました。

「線状降水帯」は、去年の7月豪雨や平成30年の西日本豪雨など、これまでの豪雨災害で繰り返し確認され、短い時間で状況が悪化する危険性があります。

しかし、現在の技術では「線状降水帯」の十分な予測はできないため、気象庁は実際に「線状降水帯」による大雨が確認された場合「顕著な大雨に関する情報」を出して、厳重な警戒や安全の確保を呼びかけることになりました。

情報の運用は17日午後から始まり、3時間の解析雨量や雨雲の形などから「線状降水帯」の発生を判断し気象情報として発表します。

予測の情報ではないため、この情報が発表されたときにはすでに屋外への避難が難しい状況になっていることも予想されます。

さらに、過去の災害で検証したところ、この情報が発表される条件でなくても被害が出ていたケースもあるということです。

このため気象庁は、市町村からの避難の情報や、気象庁のホームページで確認できる危険度分布、河川の水位情報などをもとに、早めの避難を心がけてほしいとしています。

災害情報が専門で東京大学大学院の片田敏孝特任教授は「災害が起きる前にこの情報が必ず発表されるとはかぎらないということを理解しておいてほしい。みずから身の回りの状況を確認し、自分や家族の命を守る対応を進めていく努力が求められている」と話しています。

情報発表の基準は

「線状降水帯」による大雨は現在の技術では十分な予測ができないことから「顕著な大雨に関する情報」は一定の条件を設定して「線状降水帯」を判断し、土砂災害や洪水の危険度が急激に高まってきた場合に発表されます。

情報が発表される基準は、3時間の解析雨量が100ミリ以上の範囲が500平方キロメートル以上あり一部は150ミリ以上に達していること、そしてその領域の形状が「線状」であることなどとしています。

期待の一方 懸念も

気象庁は、この情報を発表することで災害の危険度が高まっていることを伝え、住民や行政の危機感を高めることができるとしています。

一方、情報について議論された検討会では気象や災害情報の専門家などから繰り返し懸念が示されていました。

大雨警戒レベルとの関係は?

ことし改めて変更された「大雨警戒レベル」との関係です。

「顕著な大雨に関する情報」は災害発生の危険度が急激に高まっているときに発表されるため「避難指示」など避難の情報には関連づけられず「レベル4相当以上」という位置づけになっています。

また、専門家からは、この情報が出るまで避難しなくてもよいという誤解を与えかねないという指摘もあります。

情報 さらに増えることに

さらに、大雨に関する情報には「警報」や「特別警報」をはじめ「記録的短時間大雨情報」「土砂災害警戒情報」「氾濫危険情報」などすでに多くあり、さらに新しい情報が加わることで住民がわかりにくくなるという指摘もありました。

現状では台風による雨雲も「線状降水帯」として発表されるという課題もあります。

気象庁は「運用後も情報の受け手の意見も踏まえ情報の改善に努める」としています。

専門家「大切なのはみずから命を守る判断力」

災害情報が専門で気象庁の検討会で委員を務めた東京大学大学院の片田敏孝特任教授は「平成30年の西日本豪雨で大きな浸水被害が出た岡山県倉敷市の事例では今回の情報の発表基準を満たしていないなど、災害が起きる前にこの情報が必ず発表されるとは限らないということを理解しておく必要がある」と指摘しました。

そのうえで「降水量が増え集中的に事態が悪化することもある中、その場所に適した情報を適切なタイミングで出すことは難しくなっていると思う。『防災気象情報が充実化しているから、それに任せればいい』という依存心が出てくることは心配で、情報を活用しつつも大切なことはみずから身の回りの状況を確認し自分や家族の命を守るという判断力や対応力だ」と話しています。