4月以降の“措置”と“宣言” 大阪では効果も東京で確認できず

ことし4月以降に出された「まん延防止等重点措置」と緊急事態宣言の効果について、国立感染症研究所などの研究グループが分析したところ、大阪府では重点措置と宣言、どちらも感染者数の減少に対する効果が確認できた一方で、東京都では宣言のあとに感染拡大のスピードが下がる傾向があったものの、効果を明確には確認できなかったとする結果をまとめました。

国立感染症研究所や東京大学、京都大学などのグループは4月以降、重点措置や宣言が出されてから、どれくらいのスピードで感染者数が減少したか分析を行いました。

その結果、重点措置や宣言が出されたあと、効果が出始めると期待された8日目から16日目までについて分析すると、大阪府では、新規感染者数の減少に対する効果が確認できた一方、東京都では感染拡大のスピードが下がる傾向はみられたものの、統計学的には効果を明確には確認できなかったとしています。

また、研究グループで、感染の広がりやすさを示す「実効再生産数」がどれくらい下がったか分析すると、重点措置が適用された16都道府県のうち、1週間で収束の方向に向かう「1」を下回ったのは6県で、推定で2%から19%、実効再生産数が下がったとしています。

緊急事態宣言が出された10の都道府県では、宣言後1週間で実効再生産数が「1」を下回ったのは、沖縄県を除く9都道府県で、推定で26%から39%下がり、重点措置よりも強い効果が見られたとしています。

東京都と大阪府で効果に違いが見られたことについて、分析を行った国立感染症研究所の鈴木基感染症疫学センター長は「東京都は人口密度が高く、生活圏とする範囲も広いため、流行を抑えにくい要素がある。今回、大阪府では急激な感染拡大で医療ひっ迫が起き、その情報も伝わったことで自発的な行動変容も起きて、人出が減少し感染が下がったと考えられる」と話しています。