宣言解除後 人出増えれば 五輪期間中に感染者増の可能性も

京都大学などのグループは、今月20日に緊急事態宣言が解除された場合の東京都の感染状況についてのシミュレーションを行い、宣言解除後に人出が増えると、インドで確認された変異ウイルスの影響を小さいと仮定しても、オリンピック開催期間中に再び緊急事態宣言のレベルまで感染者数が増加する可能性があるとする結果を公表しました。

このシミュレーションは、京都大学の古瀬祐気特定准教授と東北大学、それに国立感染症研究所のグループが、16日開かれた厚生労働省の専門家会合で示しました。

シミュレーションでは、宣言が今月20日に解除された場合、人出が増えると想定したうえで、インドで確認された変異ウイルスのデルタ株の影響などによって東京都の1日当たりの感染者数がどう変化するかを試算しました。

その結果、インドで確認されたデルタ株の影響が比較的小さいと仮定した場合でも、宣言を解除したあとに人出が10%増えるとオリンピック期間中の人出の増加がなくても8月の前半に再び緊急事態宣言のレベルとなる1日1000人を超える結果となりました。

また、オリンピックの期間中にさらに人出が5%増えた場合は、開催期間中の8月はじめには1000人を超える計算になったということです。

人出がこれより増える場合は、感染者数の増加のペースはさらに速くなりました。

一方、インドで確認されたデルタ株の影響が全く無い場合は、宣言解除後の人出の増加をオリンピック期間中も含めて15%程度以下に抑えることができれば、1000人を超えるのを避けられる可能性があるということです。
厚生労働省の専門家会合のあとの会見で、脇田隆字 座長は「今後の見通しについては、人流がどの程度増えるのかと変異ウイルスの影響の2点が重要で、人流が増えれば影響は大きくなる。ワクチン接種が進めば、重症者を減らす効果は期待できるが、直ちに感染拡大を抑える効果は期待できない。人流を抑え、変異ウイルスが広がるのを防ぐ対策が必要だ」と話していました。