変異ウイルスの感染防ぐ中和抗体 富山大学などが作製に成功

さまざまなタイプの変異した新型コロナウイルスが、細胞に結合するのを防ぎ、感染を防ぐことができるとする中和抗体を人工的に作ることに成功したと、富山大学などの研究グループが発表しました。
製薬会社と連携し、治療薬としての開発を目指したいとしています。

これは富山大学の研究グループが16日、会見を開いて明らかにしました。

研究グループでは、新型コロナウイルスに感染して回復した患者の血液から、抗体を作り出す免疫細胞の「B細胞」を取り出しました。

そして、このB細胞の遺伝子を組み換えて抗体を作らせることで、特に感染を防ぐ力が強い中和抗体を、人工的に作り出すことに成功したとしています。

研究グループによりますと、この中和抗体は、体の中で新型コロナウイルスが細胞に結合するのを阻害する働きがあり、軽症や中等症の患者に投与すれば重症化を防ぐことが期待できるとしています。

さらに、現在確認されているほとんどの変異ウイルスの感染を防ぐことができるとしていて、研究グループはこの抗体を「スーパー中和抗体」と名付けました。

人工的に作り出した抗体を投与する新型コロナウイルスの薬は、「抗体医薬」と呼ばれ、海外では緊急使用されたものもありますが、変異ウイルスで効果が下がることが課題になっています。

富山大学では今後、製薬会社と連携し、治療薬としての開発を目指したいとしています。